TVアニメ『光が死んだ夏』第6話「朝子」が放送され、放送直後からSNSでは「一番緊張感のある回」「朝子がカッコよすぎる」といった声が相次いだ。

『光が死んだ夏』は、モクモクれんによる漫画を原作とする青春ホラーストーリー。
高校生のよしきと、親友・光(ひかる)の姿をした得体の知れない「何か」との交流を描く。「次にくるマンガ大賞2022」Webマンガ部門でGlobal特別賞を受賞し、「このマンガがすごい!2023」オトコ編では第1位に選ばれた話題作だ。

とある集落で幼馴染として育った同い年のよしきと光。照りつける太陽、耳にこびりつくクマゼミの声、帰り道に食べるアイス、他愛もないことで笑い合ういつもと変わらない夏。しかし半年前に山で行方不明になった光は、一週間後にふらりと帰ってきた。声も姿も光に見えるモノ、その中に蠢いていたのは――。友人の姿をした"ナニカ"との奇妙な日常が始まり、時を同じくして奇怪な事件が集落を襲い始める。

※以下の本文にて、本テーマの特性上、作品未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さい。

第6話の冒頭では、「スワンプマン」の思考実験が持ち出される。哲学者ドナルド・デイヴィッドソンが提示した、記憶や経験が全くないにもかかわらず、外見も行動も本人と同じ存在は“同じ人”といえるのか――という問いだ。これまで物語の底に流れてきた「ヒカルは光なのか」というテーマが、今回はより直接的に突きつけられる。


合唱大会を前に、よしきは巻、朝子、結希と共にヒカルの家へ泊まりに行く。そこで描かれる花火のシーンは、制作陣が特に力を入れたとされるもの。火花の細かなきらめきや煙の揺らめきまで丁寧に描かれ、「花火がリアルすぎる」「夏の描写の引き出し、まだあったのか…!」と絶賛された。

夏らしい映像の中、よしきとヒカルたちが楽しそうに笑い合う姿には、ホラー描写の多い本作だからこそつい安心してしまう。第5話のカツラのお化けのインパクトがありすぎた分、束の間の日常回にほっとした視聴者も多かったのではないか。

しかし、その安堵は長く続かない。これまで霊感を感じさせる言動を見せてきた朝子の過去が明かされたからだ。輪廻転生の話を聞かされて育ち、人には見えないものが見え、聞こえる日常を送ってきた朝子は、それが必ずしも悪いものばかりではないと知っていた。だからこそ、ヒカルと二人きりになった朝子はまっすぐに問いかける。

「あなたは一体、誰ですか?」

視聴者からは「ついに来た」「勇気ありすぎる」と興奮混じりの感想が相次いだ。しかし、正体を探られたヒカルは朝子を殺そうと動く。その姿を見たよしきは、軽蔑の色を隠さない。
ヒカルにとって、生と死はただ形が違うだけ。だからこそ命に重みはない……はずなのに、よしきだけは死んでほしくないと思っている。よしきと過ごした時間は、言葉通り“特別”で、そばにいたくて、幸せを願ってしまう。その大きな矛盾には胸を締めつけられる。互いに視線を交わすことなくすれ違う二人の姿に、「胸が痛すぎる」「朝子を殺そうとしたのだから仕方ないけれど、辛い」と嘆く声も多かった。

特殊エンディングでは、幼少期の光が花火を見るよしきを横顔から見つめるカットが挿入され、「よしき……」と切なく呼ぶ、ヒカル役・梅田修一朗の声が胸を締めつけた。通常のエンディングではよしきが光を見つめているが、今回は視点が逆転。「お互いを想い合っているようで泣けた」「視点の構図が効いてる」との感想が相次ぐ。前半の穏やかで楽しい場面にも花火が描かれていたからこそ、後半のこのシーンで同じ花火を重ねることで、ヒカルの抱えるよしきへの大きな想いが強く響き合う構成になっていた。

さらに、よしきに手を伸ばすヒカルの腕から“中身”が突き破って出てくる演出には、「ホラーとして完璧」「鳥肌が止まらない」との声も。よしきを失いたくないという思いが、光の記憶によるものなのか、自分自身の感情なのか分からない……ヒカルの中で蠢くのはそんな葛藤だ。

青春のきらめきと不穏な影、哲学的な問いが同居した濃密な回となり、放送後には関連ワードが飛び交う盛り上がりを見せた第6話。
「今一番推している夏アニメ」「毎週リアタイしている」との声も多く、よしきとヒカルの切ない距離感に、視聴者の心は揺さぶられるばかりだ。

夏アニメ『光が死んだ夏』は毎週土曜日24時55分より日本テレビ系ほかにて順次放送開始。またNetflixでの世界独占配信、ABEMAでの無料独占配信も実施される。

TVアニメ『光が死んだ夏』
放送局情報
7月5日(土)よりTVアニメ放送開始
日本テレビ系にて毎週土曜24:55より順次全国放送
Netflix世界独占・ABEMA無料独占配信開始
スタッフ:
原作:モクモクれん(KADOKAWA「ヤングエースUP」連載)
監督・シリーズ構成:竹下良平
キャラクターデザイン・総作画監督:高橋裕一
ドロドロアニメーター:平岡政展
プロップデザイン:應地隆之介
サブキャラクターデザイン:渡辺舞、西願宏子、長澤翔子
美術設定:多田周平、高橋武之、曽野由大
美術監督:本田こうへい
色彩設計:中野尚美
色彩設計補佐:越田侑子
3D監督:中野祥典
撮影監督:前田智大
2Dデザイン:永良雄亮、津江優里
編集:木村佳史子
音響演出:笠松広司
音響制作:dugout
音楽:梅林太郎
オープニング主題歌:「再会」Vaundy
エンディング主題歌:「あなたはかいぶつ」TOOBOE
アニメーション制作:CygamesPictures
キャスト:
辻中佳紀:小林千晃
ヒカル:梅田修一朗
田中:小林親弘
暮林理恵:小若和郁那
山岸朝子:花守ゆみり
巻ゆうた:中島ヨシキ
田所結希:若山詩音
(C)モクモクれん/KADOKAWA・「光が死んだ夏」製作委員会
編集部おすすめ