劇場版『名探偵コナン』の静野孔文が監督を務め、『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行がキャラクターデザインを手掛ける長編アニメ映画『アズワン/AS ONE』が公開中だ。本作はメカニックデザインに、原作『星と翼のパラドクス』のデザインも務めた刑部一平が参加している。
戦闘メカからデブリ除去メカへの方向転換がなされた、リアリティを追求した迫力の機体がスクリーンに登場するのも見どころのひとつなのだ。

2025年8月22日に公開された『アズワン/AS ONE』は、アーケードゲーム『星と翼のパラドクス』の世界観を引き継ぎ、新たな物語を描く完全オリジナルの劇場作品だ。日本を代表する人気メカデザイナー・刑部一平が劇中に登場する機体デザインを担当しており、圧倒的な存在感を放つビジュアルを生み出している。

刑部といえば、ゲーム版『星と翼のパラドクス』をはじめ、『ガンダム Gのレコンギスタ』や『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』など人気「ガンダム」シリーズのメカニックデザインも手掛けてきた、メカニックファンにとってはおなじみの存在だ。

今回のオファーの経緯について、刑部は「2020年頃、アーケードゲームの運営終了のタイミングで、世界観を共有した劇場オリジナル作品としてメカの正式発注をいただきました。ゲームの立ち上げから参加している作品の映画化なので、参加は即決でした」と語る。本作では、ゲーム版の「スーパーロボット×リアルロボット」というコンセプトを踏襲しつつ、リアルな重機メカの要素も取り入れている。

刑部は「サイズはゲームの半分で人とのお芝居がしやすい19.8mとし、カラーリングは他ではあまり見ない民間運営的でスポンサーの存在を匂わせるグラデーションを採用しました。装備は隕石を砕くための“石割り”技術を巨大メカで運営する方法を模索し、設定化しました」と細部へのこだわりを明かす。また、刑部が特に思い入れのある機体として挙げたのはソリディア(劇中名:エアリアル)だ。これについては「ゲーム、映画を通して原点にあたる機体なので思い入れは大きいです。実は軍用機体もデザインしていたのですが、本編未登場となりました。
機会があれば見ていただきたいですね」と述べる。

さらに、今回の挑戦については、刑部は「世界観を共有しつつ時代が違う、という作品はこれまでも多く携わりましたが、世界観を共有して運用方法が全く違う、しかも戦闘メカからデブリ除去メカへ、というのは今までにない方向性で、楽しい挑戦となりました」と振り返る。メカデザイナーとしての信条については「メカデザインという役割ですが、意識としては企画を強化することに主眼を置いています。舞台として特徴的な演出を誘発したり、展開の手札を増やしたり、作品の立ち位置をいかに面白くできるかを常に意識しています」と話し、常に作品全体を盛り上げる発想でデザインに臨んでいることをうかがわせた。

これから作品を鑑賞する人に向けて、「ゲームをプレイしていた学生さんも今や社会人というくらい時間が経っての映画化なので、その期間の人生を含めて感慨深く見られる方もいるかもしれません。白岩瑠姫さんが主人公の声を当てられることで、普段ロボットアニメにご縁がない方々も劇場に足を運ばれると思います。王道のボーイミーツガールとしても楽しんでいただける作品ですので、皆さんで楽しんでいただけたら嬉しいです」とメッセージを寄せた刑部。

その手によって命を吹き込まれた機体たちが、映画『アズワン/AS ONE』の世界をより深く、迫力あるものへと押し上げる。ぜひスクリーンでその全貌を目撃したい。

映画『アズワン/AS ONE』
8月22日(金)新宿バルト9他全国ロードショー
出演:
白岩瑠姫(JO1)
白石晴香、武内駿輔日笠陽子
丸山隆平
主題歌:「巡星」RUKI (JO1)(LAPONE ENTERTAINMENT)
監督:静野孔文
キャラクターデザイン:貞本義行
メカニックデザイン:形部一平
配給:ギャガ
原作 星と翼のパラドクス
(C)SQUARE ENIX, SUNRISE

(C)ASONE製作委員会
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