『ルックバック』は2021年に「少年ジャンプ+」で公開された、ひたむきにマンガ家を目指す2人の少女を描く、藤本タツキ渾身の青春物語だ。公開されると同時に、著名なクリエイター陣をはじめ数多くのマンガファンの間で話題を呼び、「このマンガがすごい!2022」のオトコ編第1位を獲得した。2024年には押山清高監督により劇場アニメ化され大ヒットとなり、同作は世界最大規模のアニメーション映画祭である「アヌシー国際アニメーション映画祭」をはじめ世界各地で上映されるなど国内外から高い評価を受けた。
このたびの実写映画化では、2018年に『万引き家族』で「カンヌ国際映画祭」の最高賞パルム・ドールに輝き、最新作が常に世界で待望されている映画監督・是枝裕和が監督・脚本・編集を務める。是枝監督も『ルックバック』が紡ぐ、切実な物語に魅了された一人だそうだ。偶然立ち寄った書店で表紙の“背中”に惹かれて購入し一気に読んだといい、初めて読んだ感想について「きっと藤本タツキさんはこの作品を描かないと先に進めなかったのだろうなと、そんな気持ちが痛いほど伝わってきました。自分にとっては、『誰も知らない』がそんな作品でした」とコメントする。
そんな原作との出会いのあと、本作のプロデューサーを務める小出大樹より実写映画化のオファーを受け、原作者の藤本と対面を果たした。その帰り道に、「“やらないわけにはいかない”と覚悟を決めた」という。藤本もコメントで、自身が初めて観た是枝作品に『海街dairy』を挙げその細やかな演出を絶賛し、「是枝監督がルックバックを撮ってくれるなら僕はもう何も言う事はないです。楽しみにしています!」と全幅の信頼を寄せている。
マンガと映画、ジャンルは違いながらも常に最前線を走り続ける 2 人のクリエイターが出会い、歩み始めた実写映画『ルックバック』。原作同様に、小学生時代からはじまる13年にわたる2人の主人公・藤野、京本の軌跡を、美しい四季とともに丁寧に描く作品となる。撮影はすでに終了しており、秋田県にかほ市を中心に地元の方々の温かい協力のもと、豊かな四季を通じて行われたそうだ。現在は編集作業に入っているという。
さらに、発表に伴い第1弾ビジュアルとなるティザービジュアル2点もお披露目された。雪深い道を歩く2人の後ろ姿に、部屋で机に向き合いマンガを描く2人と、ともに劇中の印象的なシーンが映し出されている。本作では、国内外で活躍する写真家・濱田英明が撮影現場に帯同しており、このビジュアルのスチール撮影も担当した。
『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』などの代表作を持つマンガ家・藤本タツキのマンガを原作とする実写映画『ルックバック』は、2026年に公開される。日本国内のみならず、すでに韓国・台湾での公開も決定しているという本作。国をまたいで多くの人々に観てもらえるよう、全世界での公開に向けて準備を進めているとのことで今後の展開が注目される。
<以下、コメント全文掲載>
・ 脚本・監督・編集/是枝裕和
京都からの新幹線の帰り、品川駅の本屋に平積みされていた表紙の「背中」に惹かれて、思わず手に取ったのが、「ルックバック」との出会いでした。
その晩、一気に読みました。
漫画と映画でジャンルは違いますが、同じ作り手として、覚悟が切実に伝わってくる作品で、きっと藤本タツキさんはこの作品を描かないと先に進めなかったのだろうなと、そんな気持ちが痛いほど伝わってきました。
自分にとっては、『誰も知らない』がそんな作品でした。
その出会いのあと、小出プロデューサーから「ルックバック」を実写映画に、という誘いを受け、藤本さんにお会いする機会をいただきました。
まずは、このような作品を世に産み落としていただいたこと、その作品に同時代に出会うことができたことへの感謝をお伝えできればと思っていたのですが、その帰り道、「やらないわけにはいかない」と覚悟を決めたことを覚えています。
撮影は終了し、現在、編集中ではありますが、とても豊かなものが映し出される作品になるのではないかと思います。
・原作/藤本タツキ
是枝監督作品で初めて見たのは『海街 diary』です。
主人公が新しく住む事になる家の中や、町の食堂の中の家具などがとても生活感があって物語に説得力を持たせるものになっていました。物語に関わらない細かい演技なども、キャラクターが日々、僕達の見えない所で生きていると思わせるもので感動しました。
是枝監督がルックバックを撮ってくれるなら僕はもう何も言う事はないです。楽しみにしています!
・企画・プロデューサー/小出大樹
ジャンプ+で公開された日に何度も読み返しました。衝撃でした。すごいものを読んでしまったと思いました。
その矢先、藤本タツキさんにご挨拶できる日がありました。藤本さんに読んだ直後の感想を伝えたいと思っていたのですが、ぼくは、間際になって、この漫画を、是枝監督による実写映画にさせていただけないかと伝えたいと思っていることに気がつきました。
是枝監督とは、ぼくが学生の頃に受けていた授業の先生として出会い、教室の席からその背中をみつめていました。『誰も知らない』で、1 年をかけて四季をめぐりながら子どもたちの成長を撮影したこと、『海街diary』や『奇跡』で、子役の方に台本を渡さずにセリフを口伝えで演出されたことなど、これまで見聞きした話が思い出されました。なによりも、『誰も知らない』を観た際に抱いた強い感情が呼び起こされ、考えれば考えるほど、この実写映画化に際しては、是枝監督しかいないのではないかと思い、お声がけしました。
是枝監督をはじめ、キャストとスタッフの皆さん、秋田県にかほ市の方々と、四季を通じて、出来うる限り丁寧に撮影してきました。力を尽くして作りますので、楽しみにしていただければと思います。
<作品概要>
『ルックバック』
2026年公開
原作:藤本タツキ「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・編集:是枝裕和
企画・プロデューサー:小出大樹
配給:K2 Pictures
(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2Pictures・集英社
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