アニメ『チェンソーマン』の主人公・デンジがチェンソーマンに変身した姿(マスク)を100円ショップで手に入れた素材だけで再現した動画がYouTubeに投稿され、その完成度の高さが話題となっている。

投稿したのは、様々なアニメ作品に出てくるアイテムを工作で再現している「2階の図工室」(@2F_Zukoshitsu)さん。
生物とメカが融合した独特の形状を立体的に作り上げた作品には多くの反響が寄せられ、投稿主がこれまで取り組んできた創作活動の姿勢にも関心が集まっている。

2階の図工室さんは、ものづくり系の動画を日常的に視聴する中で「自分も好きなものを発信してみたい」と感じ、動画投稿を始めたという。チャンネル名の『2階の図工室』は、実際の作業場所が自宅の2階であることが由来するのだとか。

何か造形に使えるものはないかと店内を探し回るのは宝探しみたいで楽しい
「小学生のころの図工の授業も好きだったので、その要素も入れようと、この名前にしました。創作活動の原点は、幼少の頃から時間を忘れて黙々とイラストを描いたり工作をしたりするのが好きであったことです。今でも変わらず、何か創作時は没頭してしまいます。制作アイテムは、漫画やアニメに出てくるアイテムでの中で、造形や配色、見た目が琴線に触れたもの、平たく言うと“カッコいい”と思ったものが中心になります」

今回『チェンソーマン』のマスクに挑んだ理由については、「これまでにない“チェンソーのマスク”という奇抜さと、生物とメカの融合した複雑な形状を作ってみたい! という意欲が湧いたから」と説明する。

「工夫した点は、磁石を使って顎を着脱式にしたことです。取り外せることによりマスクをコンパクトにし、できるだけ見た目がスマートになるように心がけました。今回活用した100円ショップの素材の中でも、EVAスポンジシートは造形を行う上で欠かせない材料です。加工がしやすく、ある程度の強度もあるので、ベース形状を作る上で重宝しています。また、他にも何か造形に使えるものはないかと店内を探し回るのは宝探しみたいで楽しかったです」

また、よりリアルに再現するためにこだわった点もあるそう。


「『チェンソーマン』は、原作など特にダークな作品です。その不気味さを出すためにも、歯をわざと粗く切り出したり、紙粘土で歯茎を作ったり、チェンソーについた赤黒い血の表現を行いました」

『葬送のフリーレン』の杖や『キングダム』の王騎将軍の矛など大型の作品も
2階の図工室さんは、過去には『葬送のフリーレン』の杖や『キングダム』の王騎将軍の矛など、サイズや構造が大きく異なるアイテムにも挑戦してきた。大型作品は「寸法をすべて自分で決める必要がある」ため、バランスをとることが特に難しいという。

「細部にこだわりすぎてバランスがとれていないと、せっかく複雑な形状でも不格好になってしまいます。バランスがとれていないと感じた時は、作り直すこともあります」

作品ごとに譲れない再現ポイントも存在する、と語る。

「『葬送のフリーレン』の杖は、偉大な魔法使いの杖を意識しました。C形の部分と真ん中の赤い円形が象徴的だったので、少し大きめに作成し、カラーリングも目を引くようにビビットにしています。

一方『キングダム』は、武器が出てくるのは迫力があるシーンばかりなので、それを表現するため、先端の刃や装飾の存在感が出るように細部を作り込みました。『チェンソーマン』のマスクでは使用していない工作用紙を用いて、先の尖った矛の刃部分の鋭利さと曲面を表現しています。

また、全体の作品を通して最後に汚しや擦れの加工を行うことが多いです。これをすることで、使い古された感じやアンティークさを表現できるので、ただ色を塗るよりもリアルさを出すことができます」

こうして工作の投稿を続けるうちに視聴者から寄せられるようになったコメントは、創作活動の励みになっているという。

「当初は自身が楽しくて動画投稿を始めましたが、視聴者さんからの楽しんでいただけた旨のコメントやお褒めの言葉をもらうと素直に嬉しいです。
過去の自分と同じように楽しんでもらえたと思うと、それも創作活動の励みになります。

ありがたいことに様々なコメントを頂きますが、『工作の悪魔』や『大創のフリーレン』というように、作品の内容とリンクさせたりもじったりしているものは“面白いなぁ”と印象に残っています。また、『動画を参考につくりました!』『子どもと一緒に作ってみました』というコメントもほのぼのして嬉しかったです」

種類や形状も多種多様な『鬼滅の刃』の日輪刀を作ってみたい
今後挑戦したいアイテムとしては『鬼滅の刃』の日輪刀を挙げ、「種類や形状も多種多様なので、それぞれ作ってみたい」と意欲的な姿勢を見せる。

「『2階の図工室』としての目標は、動画投稿を続けていくこと。視聴者さんには、これからも“創作活動の楽しさ”を伝えていきたいです。創作をする中で一番楽しいと思えるのは、完成品を想像しながら作ること。『ここにあれを付けて、この色を塗って…』と頭の中で想像を膨らませながら作るのはワクワクします。その中で、アイテムの造形の美しさや構造の緻密さに気づくこともあり、それも魅力の一つだと思います。

生活の合間を縫って活動をしているので、投稿の期間が空いてしまうこともありますが、創作活動は続けていきたいと思っています」
編集部おすすめ