長編アニメーション賞と主題歌賞でノミネートされるという快挙にアニメ業界も沸いている。アカデミー賞の前哨戦とも言えるゴールデングローブ賞では「最優秀長編アニメーション映画賞」と「最優秀主題歌賞」をダブル受賞した。また、2月2日に発表された『第68回グラミー賞』では、主題歌である「Golden」が『Best Song Written for Visual Media(最優秀視覚メディア楽曲賞)』を受賞。映画・映像作品に伴う楽曲に制作者(作曲家・プロデューサー)に贈られるこの賞でK-POP楽曲として初の受賞となった。
今、世界は『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』にその目を向けている状態となっている。映像・音楽共に話題をさらっているこの作品について改めてその魅力を探っていきたい。
◆表の顔は世界的K-POPアイドル、裏の顔は悪霊と戦うデーモンハンター
そもそもは「ソニー・ピクチャーズ アニメーション」が制作したアニメ映画である本作。同社作品といえば映画『モンスター・ホテル』シリーズや映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』で3Dアニメーション作品を世に送り出してきたアニメ制作会社だ。アメリカ的なアニメーションの作りであり、物語はK-POPが舞台、さらにNetflixでのみ視聴ができるということもあり、世界と同じように配信開始直後の爆発的に流行するとまではいかなかったけれど、やはりショート動画配信サイトなどで多くの人に楽曲が届いたことで、改めて作品に触れる人が増えたように感じた。
物語は、韓国でスタジアムを満員にするほどの人気のルミ、ミラ、ゾーイの3人組K-POPガールズグループ「HUNTR/X(ハントリックス)」が主役。実は大人気アーティストである彼女たちには裏の顔がある。
現代でハンターを継承した「HUNTR/X」は、最高潮のパワーで黄金に輝く「黄金のホンムーン」を作るべく戦っていた。そんな彼女たちの前に悪霊の少年グループ「Saja Boys(サジャボーイズ)」が現れ、舞台上でも舞台裏でも戦いを繰り広げるのだ。
アニメでありながらミュージカル映画として作られた本作は、最新鋭のポップミュージックがふんだんに織り交ぜられ、登場人物たちの歌のみならず、ステージパフォーマンスやファンが熱狂する様子に会場の興奮が伝播して、物語を熱く彩った。そんな音楽によって、視聴時間でのライブ感の体験が高い視聴率という数字に繋がったと感じる。
◆ヒットの鍵は“音楽”。Billboardを制しTikTokでバズを生んだ主題歌「Golden」の魔力
先に述べたように『第98回アカデミー賞』の長編アニメーション賞にノミネートされた本作。同賞には他にも、ナタリー・ポートマン製作総指揮の『Arco(原題)』、ディズニー&ピクサー史上最も“やさしい”感動の物語との呼び声高い『星つなぎのエリオ』、神戸生まれの作家アメリー・ノートンの自伝的小説が原作の『アメリと雨の物語』、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作で世界中から続編が待たれていた『ズートピア2』がノミネートされた。
そんな中この作品群で『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』が突出しているのは、やはりダンサブルなビートが彩るジェットコースターのようなストーリー運びと音楽による魅力だ。その実力は『第68回グラミー賞』の受賞が物語っている。
「HUNTR/X」の退魔方法が音楽であることで、ステージから響く「人々を救う歌」はまっすぐに胸に届き、ハートを揺さぶる。
タイトルに「K-POP」を謳っていることもあり、「HUNTR/X」、「Saja Boys」の歌を収録したサウンドトラックも注目を集めた。特に「HUNTR/X」が歌う劇中歌「Golden」はアメリカのヒットチャートBillboard Hot100で通算8週1位を獲得し、あまりにも大きなヒットを記録。その「Golden」は、ルミパートを作曲家のイジェ、ミラパートにラッパーのオードリー・ヌナ、そしてゾーイのパートをラッパーのレイ・アミの3人が歌う。ステージで歌うまでの苦悩やそれを打ち払うようなストーリーに引き込まれながら、彼女たちの過去、現在、未来が詰まる歌詞に強さが宿るメッセージが聴く者を揺さぶる、とても力のある一曲だ。また歌うイジェはアメリカ留学歴があり、オードリーとレイは韓国系アメリカ人なだけにネイティブスピーカーとして歌う英語詞は世界を席捲する力があるのもうなずける。
登場人物と出演者を紹介したい。
【登場人物/主演者紹介】
「HUNTR/X」 デーモンを倒す力を持った世界的なKPOPガールズグループ。
●ルミ 主人公。グループのリーダーでメインボーカルを務める。
[声優]アーテン・チョ(アメリカで活動する韓国系アメリカ人女優、歌手、モデル。出演作にドラマ『Teen Wolf』など)日本語吹替版:寿美菜子
[歌唱]イジェ(約10年間SMエンタテインメントの練習生を経て作曲家に転身。aespaやTWICE、LE SSERAFIMなど数々のKPOPアーティストに楽曲提供し、ヒット作を生む)日本語版:堤育子
●ミラ サブ主人公。長身のメインダンサー。
[声優]メイ・ホン(韓国の俳優で声優。出演作に『メリー・アン・シングルトンの物語』吹替など)日本語版:田村睦心
[歌唱]オードリー・ヌナ(韓国系アメリカ人R&Bアーティスト。2019年シングル「Souffle」でデビュー)日本語版:MARU
●ゾーイ サブ主人公。メインラッパーで一番背が小さい末っ子ポジション。
[声優]ユ・ジヨン(韓国の俳優。ドラマ『マイ・ラブリー・ジャーニー』ヤン・ソンア役など)日本語版:渡谷美帆
[歌唱]レイ・アミ(韓国系アメリカ人で歌手兼ラッパー。2021年ミックステープ「Foil」でデビュー)日本語版:横山愛実
「Saja Boys」悪魔の王グウィマによって作られた男性アイドルグループ。メンバーはジヌ、アビー、ロマンス、ミステリー、ベイビーの5人。
●ジヌ 悪霊。グループのリーダーでグウィマの側近。センターを務めるメインボーカル。
[声優]アン・ヒョソプ(韓国の歌手で俳優。ドラマ『社内お見合い』カン・テム役など)日本語版:石川界人
[歌唱]アンドリュー・チェ(韓国の歌手で作曲家)日本語版:藤正裕太
錚々たるメンバーで制作された『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』楽曲たち。日本ではむしろ「Golden」や、「Saja Boys」が歌う「SODA POP」がTik TokやYouTubeから広がり、アニメへの注目度として輸入されていったように感じる。歌うことに高い表現力を必要とするこの楽曲のカバー動画を名だたるK-POPアーティストが披露したことも大きいだろう。
IZ*ONEの元メンバーで現在IVEで活躍中のユジンをはじめ人気の女性アーティストから、BE:FIRSTとアメリカで共演して話題となったATEEZのジョンホなどの男性アーティストなど幅広いKPOPアーティストがカバーを披露。日本でもLittle Glee MonsterのかれんやNovelbrightのボーカル・竹中雄大といった“歌ウマ”アーティストたちが原キーで歌い上げ、Tik Tokなどでバズったことで「Golden」は日本にも浸透していった。
◆世界は共存競作の時代へ。『KPOPガールズ』が示す、アニメの新たな未来
アニメ制作に世界的に信頼感のある日本発信ではない、アメリカで制作された韓国が舞台のアニメーションが、アニメフィールドやアジアに限定しない欧米を席捲し映画賞を賑わせていることは、世界のアニメーションが人々の心を動かすクオリティへと踏み出していることの証だ。
ここからの未来において、日本のアニメーションが世界各国の作品と競い合い、切磋琢磨からさらにブラッシュアップされた良作が生まれる可能性が高くなったのではないかと思う。
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