“片想いをめぐる妄想と暴走”を80~90'sタッチでコミカルに描くTVアニメ『ガンバレ!中村くん!!』が、2026年4月1日より放送中。

今回アニメ!アニメ!では、中村・広瀬の担任、乙切想を演じる江口拓也さんにインタビュー。
原作への思いや乙切というキャラクターの魅力、そして作品ならではの空気感についてたっぷり語っていただきました。

[取材・文=濱田果歩]

■原作ファンだからこそ、出演は「純粋にうれしかった」
――出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。

元々原作マンガが大好きだったので、純粋にうれしかったです。単行本の巻数自体が少ないからこそ、ある意味で妄想が捗る作品でもあって。このマンガの中に流れている空気感がいいなと思っていましたし、それがアニメになったらどうなるんだろうという興味もありました。

――原作を知ったきっかけはあったのでしょうか?
作家の先生方をSNSでフォローしていると、おすすめのマンガがタイムラインで流れてくるんです。それで、気になったらすぐ電子書籍で買ってしまうタイプで(笑)。『ガンバレ!中村くん!!』もその中で出会って読んでいた作品のひとつでした。

――今回演じる乙切想は、先生役ですね。

最近は、先生や “導く側” の役柄をやることが増えてきたので、やりがいを感じますね。先生役のような年を重ねていく中で選んでいただける立場の役柄を、どんどん広げていきたい気持ちもありました。

――江口さんから見て、乙切先生はどんなキャラクターですか?

かっこいいです。
真面目なだけではなく、生徒にも寄り添い、フランクに肩を並べて物事を考えてあげられる人なんだろうなと感じます。そういう安心感や頼もしさを意識して演じました。

マンガの描写の中にも、生徒から憧れられる瞬間や、「昔はヤンチャだったのかな」と思わせるところがあるんです。自分自身も嗜好品としてタバコを吸うので、タバコを吸うキャラクターにはものすごく感情移入できますね。「この瞬間、吸いたいんだろうな」とか(笑)。

――頼りがいのある大人でありながら、どこか抜け感や親しみやすさも感じられる。そのバランスは、どのように掴んでいったのでしょうか?

何かを演じる上で、明確なモデルがいるわけではないですが、これまで自分が出会ってきた人たちの記憶はやっぱりあるんです。自分の高校時代に、印象に残っている担任の先生がいて。その先生は、最初から否定せずに、生徒の考えを受け止めてくれる人でした。

当時、僕は卒業したら東京に行って声優を目指したいと話していましたが、親も含めて周りからはかなり反対されていて。でも、その先生だけは「やってみないと向いているかどうかもわからないし、向いていなかったらまた新しいものを探せばいい」と。そういう、自主性を大事にしながら生徒に寄り添う感覚は、乙切の空気感にも通じるものがある気がします。


■真に可愛いのは中村…? 広瀬との距離感は“癒やし”そのもの

――乙切が担任を務める、本作主人公の中村(CV.小林千晃)や広瀬(CV.榊原優希)についての印象をお聞かせください。

中村は、マンガの時からいちいち反応がかわいいんです。いろんな表情を見せてくれるし、そこがこの作品の魅力だと思います。広瀬がかわいいのはもちろんなんですけど、中村が一方的にわちゃわちゃしていて、真にかわいいのは中村だなと。また千晃が演じる中村が本当に最高なので、皆さんにも早く見てほしいです。

――広瀬についてはいかがですか?

榊原くんが演じたら、もうかわいいに決まっているんですよ(笑)。収録の時も2人の掛け合いを聞くのが楽しみでした。終始、癒やされに行ってました。

――アフレコ収録時の雰囲気はいかがでしたか?

作品の世界観が平和だからか、のほほんとした人たちが集まったなという感じでした。穏やかな空気感の中で、皆楽しみながら作品を作っている印象でしたね。音響監督の岩浪さんの空気感の作り方が上手くて、本当に毎回楽しみなアフレコでした。

朝からの収録が多く、そうすると終わるのが昼過ぎくらいなので「じゃあどこかで昼ご飯を食べるか」となることも多かったです。

千晃が毎回、何とかして僕に昼飯を奢ってもらおうとしていましたね。「今日は寿司が食べたいな~」みたいな(笑)。時間に余裕がある時は、結構連れて行ったりしていました。

――江口さんも乙切先生のように、先輩声優として後輩声優を見守られているのでしょうか?

自分が声優になりたての頃は、先輩からいろいろ教わったり、声をかけてもらったりして、先輩たちがいなかったら今の自分はないと言えるくらい、多くのことを教えてもらいました。ただ、僕自身は、何か気になったことがあったとしても、あまり言わないタイプなんです。今の自分より下の世代は、自分からいろいろ吸収していく子が多いので、あえて言わなくても大丈夫かなと感じることも多いです。どちらかというとアクの強い子が多いので(笑)。そういう自由さも含めて、のびのびやってくれたらいいなという気持ちでいます。

■物語の中でも現場でも中村くんは“ガンバっている”!?
――放送が始まったばかりですが、本作の魅力や見どころを教えてください。

序盤は、まだ友達なのかどうなのか曖昧な距離感、どこかぎこちなさいところから始まりますが、登場人物はそれぞれの魅力がすごく溢れている印象があります。ところどころで出てくる人たちもすごいんですよ。演じている大先輩たちのぶちかましも面白すぎて(笑)。


――個性豊かなキャラクターがあふれていますが、印象に残っているキャラクターはいますか?

オカルト・ホラー研究部の部長の青木山さんです。声が入ったらさらに魅力的になっていて。あの超ハイテンションな感じは、聞いていて痛快なんです。青木山さんには“平成のエネルギー”をすごく感じますね。

――キャラのほかにも、中村の不器用だけどまっすぐな思いや、広瀬に近づきたいのに簡単には踏み込めない……といった人間模様も魅力だと思います。江口さんも共感した部分はありますか?

自分自身、そこまで積極的に輪の中に入っていくタイプではなく、どこか一歩引いたところから教室を見ていた生徒でした。なので、人と人とのやり取りの面白さや難しさは、客観的に感じていたと思います。

中村くんたちは自分にはなかった青春だからこそ、見ていて面白い部分もありますし、絶妙な感情の揺れ動きは、多くの人が共感できるんじゃないかなと思います。平和な日々の中にもちゃんとドラマがあって、日常に転がっている小さな変化も、中村くんみたいな視点で見たら、大きな出来事になるんだなと感じました。

――江口さんも学生時代に葛藤してましたか?

皆で同じ方向に進まなければいけない、みたいな空気は少し苦手でしたね。分かれ道があった時に、皆が右へ行くなら自分はふらっと左へ行ってしまうようなタイプだったので、集団の空気に窮屈さのようなものをずっと抱えながら過ごしていたんじゃないかなと思います。

――そんな江口さんが、奮闘する中村にアドバイスをするとしたら?

彼は十分、今を楽しんでいると思うんです。
結局、何が正解かなんて存在しないですし。この中村と広瀬の2人の関係がこの先どうなっていくとしても、その時々で本人が葛藤しながら答えを出していくこと自体が素晴らしいことだと思います。だから、何かを急がせるというよりは、そのまま穏やかに過ごしてほしいな。

――中村を見ていて、「ガンバレ!」と応援したくなる瞬間も多いですよね。

中村は、最初は“見ているだけで満足”から始まるんですけど、少しずつ仲良くなっていくと、“やっぱりもっと仲良くなりたい”っていう欲が出てくる。でも近づきすぎると関係が壊れてしまうんじゃないかと、その思春期特有の距離感があるんです。

傍から見ているからこそ言えますけど、中村には「もっと積極的に広瀬に近づいても大丈夫!」と思っています。

――中村を演じる小林さんのお芝居はいかがでしたか?

現場では彼も頑張ってましたね。ずっと叫んでいるので、朝から本当によく声が出るなと(笑)。 中村は、モノローグ以外は気持ちが漏れないように落ち着いているんですけど、とにかくモノローグがてんやわんやなので。そういう意味では、毎回“中村くんパーティー”です。

作中、川村さんたちの妄想の中でイケメンバージョンな中村が出てきたりもするので、演じる千晃も収録現場でもいろいろな角度からディレクションを受けていました。
「イケメンな感じで」といったアプローチも含めて、たくさん試していたので、どのパターンが実際に使われているのかは、オンエアを見て本人も気付くんじゃないかなと思います。いろいろ録っていたので、見ていて面白かったですね。

――一方で、江口さんが乙切先生を演じる際の現場はどうでしたか?

乙切はあまりアップダウンが激しいタイプではなくて、わりと常に平常心だったので、そこまで振り切ることはなかったです。でも、乙切フォーカス回の場面では大人の余裕やかっこよさ、哀愁のようなものをどう出すか、いろいろ探っていました。

■懐かしさと新しさが同居する「ガンバレ!中村くん!!」ならではの “癒やし”

――発表時のキャストコメントでも、本作について“癒やし”という言葉を挙げていました。あらためて、その理由について教えてください。

原作に流れている空気感やエピソードをどう形にしていくんだろうと思っていましたが、1話1話が丁寧に表現されていて、流れる時間がゆったりしている気がしました。ある意味、詰め込んでいない。そのテンポ感が、この平和な作品世界の空気感にめちゃくちゃマッチしている印象がありました。見ている方にも同じ穏やかさが伝わってくると思います。

――原作の持つ80~90年代的な空気感と、現代のアニメ表現についてはどう見ていますか?

平成に子ども時代を過ごした大人の「懐かしいものに触れたい」という今の流れに、上手くマッチしているんじゃないかなと思います。毎回エンディングが違うところも、その繋ぎ方も見ていてグッとくるんですよね。僕はとくに6話のつなぎが好きなんです。

OP・ED曲も、物語の空気感も、映像の色使いもどこか懐かしさを感じる、新しさと懐かしさが同居している感じで好きでした。不思議なタイムスリップをしているような感じを楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

――ちなみに、江口さんの子ども時代、好きだったアニメやカルチャーの記憶はありますか?

うちは夕飯の時間にテレビがついている家だったので、夕方から夜に放送していたアニメは、記憶に残っているものが多くて。かなりアニメっ子だったかもしれません。

家には父が持っていたファミリーコンピュータがあって、それがスーパーファミコンになって、ゲームボーイが小型化したりカラーになったりして、さらにプレイステーション、プレイステーション2へと進化していく流れを、ちょうど体験した世代なんです。あの変化をリアルタイムで見られたのは、すごく新鮮で楽しかった。時代が移り変わっていく感覚を、味わえたのはありがたかったなと思います。

――最近の “平成・昭和レトロブーム” についてはどう感じていますか?

過去に流行っていたものが何周かして、また新しく見えるのは面白いですよね。平成っぽいものが、今見るとむしろ新鮮だったりする。ファッションもそうですけど、スキニーパンツがすごく流行った時期があった一方で、今はビッグシルエットが主流だったりして、またいつか逆転してくるんだろうなと思います。平成らしいカラフルなものって、見ていて楽しくて、古着屋でそういうアイテムを探すのも好きです。

――最後に、放送を楽しみにしている読者や視聴者へメッセージをお願いします。

すでに見ていただいている方には、魅力は十分に伝わっているんじゃないかなと思いますが、この記事を通して興味を持ってくださった方は、とりあえず1話から見ていただきたいです。

中村くんの世界に流れている空気感って、ここにしかないんですよね。新しさもあるし、懐かしさもある。不思議な気持ちにさせてくれる作品だと思います。毎回エンディングが違うのも凝っていますし、オープニングもすごく癖になる。いろいろな角度から独特な空気を感じられる作品になっているので、ぜひ中村くんワールドにどっぷり浸っていただきたいなと。長いようで短い期間ではありますけど、最終話まで、純粋にこの作品の空気感を楽しんでほしいと思います。

【放送情報】
TOKYO MX、とちぎテレビ、群馬テレビ 、BS11:毎週水曜 24:30~
北海道放送 :毎週木曜 25:26~
AT-X :毎週金曜 20:30~
静岡放送 :毎週土曜 26:08~
中京テレビ :毎週土曜 26:25~
ABC テレビ :毎週土曜 26:30~
RKB 毎日放送 :毎週土曜 27:00~
RCC 中国放送 :毎週日曜 26:30~
※放送日時は変更になる可能性がございます。

【配信情報】
毎週水曜 24:30 より Hulu にて地上波 1 週間先行・見放題最速配信!
ほか各配信プラットフォームにて毎週水曜 24:30 より順次配信
<見放題配信>毎週水曜 24:30~
Hulu/d アニメストア/d アニメストア for Prime Video/d アニメストア ニコニコ支店/FOD/ABEMA/U-NEXT/
アニメ放題/バンダイチャンネル/Lemino/Prime Video/Netflix/J:COM STREAM(見放題)/
milplus 見放題パックプライム/TELASA(見放題プラン)/DMM TV/AnimeFesta
<無料配信>毎週水曜 24:30~
TVer
<都度課金配信>毎週水曜 24:30~
バンダイチャンネル/Prime Video/ニコニコチャンネル/TELASA/J:COM STREAM/milplus
※配信日時は変更になる可能性がございます。

【CAST】
中村男久斗:小林千晃/広瀬愛貴:榊原優希/乙切 想:江口拓也/川村ひふみ:ファイルーズあい/武内剛太:野
津山幸宏/向井 亮:田丸篤志/浜岡ゆうか:小市眞琴/奥田マサコ:舞原ゆめ/大森 司:笹 翼
幕の内:山口勝平/宅:竹内順子

【STAFF】
原作:春泥『ガンバレ!中村くん!!』(ヒーローズ刊)/監督・脚本・キャラクターデザイン:梅木 葵
監督補佐:吉邉尚希/シリーズ構成・脚本:蒼樹靖子(スタジオモナド)/コンセプトディレクター:畳谷哲也
美術監督:李 天馥(ST.BLUE)/色彩設計:大野春恵(MADBOX)
撮影監督:若林 優(ENISHIYA)/ビジュアルディレクター:神田智隆/編集:上野勇輔(柳編集室)
カラースクリプト:ゆえ/プロップデザイン・2D ワークス:永木歩実/衣装デザイン:中村ユミ/音楽:辻田絢菜
音響監督:岩浪美和/アニメーション制作:ドライブ

【主題歌】
『瞬発的に恋しよう』(作詞・作曲・編曲:岡村靖幸)
岡村靖幸・中島健人
Produced by 岡村靖幸
(C)Nakamura-kun!! Animation Project
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