終わってみれば、主要キャラの不在も作品の内容にはさほど影響しなかったようだ。
連続ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)の最終回が9月29日に放送され、平均世帯視聴率10.7%をマーク。
本作はNetflixで高い人気を誇る韓流ドラマ「梨泰院クラス」のジャパンオリジナル版。日本では海外ドラマのリメイクが失敗しがちといった経緯もあり、放送前には「六本木クラス」にも惨敗を予想する声があがっていたという。
「原作ファンからは出来栄えを心配する声も数多く寄せられていました。大きな理由の一つは放送時間が大幅に短縮されていること。本家の『梨泰院クラス』は1話70分×全16話とかなりのボリュームなのに対し、『六本木クラス』は1話54分×全13話と6割ほどの長さしかなく、物語が駆け足になることが危惧されていたのです。ところがふたを開けてみると、無理やり短くした印象はなく、実に巧みにカットしたものだと感心させられましたね」(韓流ドラマ好きの女性誌ライター)
最終回を例にあげると、アメリカ行きを決意した長屋龍二(鈴鹿央士)が麻宮葵(平手友梨奈)に別れを告げに行く場面が典型的だろう。「六本木クラス」では葵がビルから出てきたところに龍二が出くわす形だが、「梨泰院クラス」ではグンスがまずタンバム(二代目みやべに相当する居酒屋)を訪れ、店員たちとしばらく会話を交わしてから、イソに会いに行っていた。
ただこういった編集を施しても、さすがに物語を4割も短くするのは困難なはず。果たして「六本木クラス」の制作陣はどんな裏技を使ったのか? それはなんとも大胆な手法だったというのである。
「その手法とは、主要キャラを一人減らしてしまうことでした。『梨泰院クラス』には父親が韓国人で母親がギニア人のトニーという人物が、主人公パク・セロイ側の主要キャストとして登場しています。
なお、トニーに相当するキャラが「六本木クラス」からカットされたことにより、誰よりもがっかりしていた芸人がいたという。それはお笑いコンビ「マテンロウ」のアントニーだ。
昨年9月に「六本木クラス」の制作が発表された時、アントニーは「トニー役はどうなんだ!?アントニーはあるのかぁぁぁ」とツイート。日米ハーフの自分こそ、トニー役にはふさわしいとの自負があったのだろう。
だが残念ながらトニー役はなくなり、アントニーのもくろみは崩れることに。それ以来、アントニーが「六本木クラス」に関してひと言もツイートしていないことには、同情が寄せられても不思議はなさそうだ。