Honda/FIT e:HEV Modulo X(286万6600円)

 筆者的に一番推しのコンパクトカー、Honda「FIT」。その中でも「FIT e:HEV Modulo X」は、今イチバン買うべきFITだと信じて疑っていません。

ですが、スポーツカー大好きな新 唯(あらた・ゆい)さんは、いまだFIT e:HEV Modulo Xに乗ったことがないというので(※取材時)、試乗レビューをしてもらうことになりました。


Moduloらしく走りを楽しめるFIT

FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
FIT e:HEV Modulo X

 FIT e:HEV Modulo Xは、4代目FITが登場してから約1年半後の2021年6月に登場しました。ですから出てから1年も経ってないブランニューな1台です。「普通、新車が出た時にラインアップするものじゃないんですか?」と唯さんから素朴な疑問が。普通はそうです。ですがModulo Xの開発は、FIT完成後からスタートします。Honda車を知り尽くしたホンダアクセスの匠が、手塩にかけてジックリと育て上げた1台なのです。気になる価格は286万6600円(税込)。


 そんなFIT e:HEV Modulo Xは、ポジショニング的に以前のFITに用意されていたスポーティーグレードである「R.S.」の代わりといえそう。ですが、Moduloは一歩上を目指し「上質なオトナのスポーティーコンパクト」を目指したようです。言い換えるならサーキットでガンガン踏まないと楽しむことができない、という走り屋仕様ではありません。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
FIT e:HEV Modulo Xのパワーユニット

 一般的にスポーツモデルというと、馬力アップとかを狙いがち。ですが、FIT e:HEV Modulo Xのパワーユニットは、ノーマルの「FIT e:HEV」に何一つ手を加えていません。

パワーユニットは最高出力98PS/最大トルク13.0kgf・mを発する1.5リッター直4DOHC16バルブエンジンに、最高出力109PS/最大トルク25.8kgf・mの交流同期電動機の組み合わせ。パワーユニットによって生み出された出力は、CVTを介してフロントタイヤに伝達されます。「パワーユニットは一緒といっても、エンジンの98馬力にモーターの109馬力が加われば、合計で200馬力越えになるので十分では?」と唯さん。ですが、残念ながらHondaのハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」は、そのような動作はしません。


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FIT e:HEVの動作モードについて

 e:HEVは走行状況に合わせてEVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードという3つのモードを適宜切り替えることで、燃費の向上を図っています。上の図を見てもらうとわかりやすいのですが、EVモードとエンジンモードは、その名のとおりどちらかで駆動します。そしてハイブリッドモードはエンジンを回して発電し、得られた電力をモーターに給電するシリーズハイブリッド動作で走行します。よってクルマ全体の最高出力は、217馬力ではなくモーター出力の109馬力というわけ。


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FIT e:HEV Modulo Xには専用ホイールが奢られる。これはデザイン面だけでなく、機能面としても優れた効果を発揮する

 「では、Moduloはどこに手を加えたのですか?」と、再び疑問を抱く唯さん。それはズバリ脚とエアロと内装です。ホイールは専用設計品。

一般的にホイールは「硬くて軽量が正義」とされ、鍛造品がもてはやされます。ですがModuloは、サスペンションの一部と考えているホイールをしならせることで、タイヤの接地面圧を高めることを狙ってるため、リム部とスポーク部の剛性を最適化……誤解を恐れずにいえば、標準装着のホイールより“あえて”剛性を落としているのだとか。具体的にどれくらい、というのは明かされていませんが、S660のホイールでもこの手法で成果を挙げていますから、効果は折り紙付きでしょう。


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FIT e:HEV Modulo X専用ダンパー

 これに合わせた専用ダンパーを装着することでModuloの足は完成します。「え? サスペンションじゃなくてダンパー?」と唯さんは鋭い洞察力で指摘。そうなんです。バネはノーマルのままなのです。これは運転支援や安全予防として標準装備している「ホンダセンシング」に対応させる都合、定員乗車時も含めた車高を変化させることはできないというのが主な理由。ダンパーは純正形状で、S660 Modulo Xのような減衰力調整機構はついていませんが、ダンパー内部構造やオイルなどにまで変更が加えられているこだわりの逸品です。残念ながらこれらのホイールとダンパーは純正アクセサリーとしての単品販売はしていません。「Modulo Xオーナーの特権」というわけです。


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FIT e:HEV Modulo Xのフロントマスク
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FIT e:HEVとFIT e:HEV Modulo Xでは、フロントマスクの形状が大きく異なる
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新たに空力パーツが取り付けられたFIT e:HEV Modulo X
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フロントバンパー底面に取り付けられたフィンも実効空力に効果を発揮する

 続いてエクステリアを見てみましょう。

変更されているのは、フロントエアロバンパー、リアエアロバンパー、そしてテールゲートスポイラーの3ヵ所。唯さんは「Moduloといったら実効空力ですよね」とバッチリスマイル。日常の速度域でも体感できる空力効果に重点を置いて開発することで、リフトバランス改善、ヨー発生減、直進安定性アップ、コーナリング姿勢の安定性アップ、4輪の接地性アップを図ったエアロを「実効空力」と呼んでいます。これらは風洞実験だけではなく、とことん走行テストを繰り返しながら煮詰めている理詰めの一品で、いわゆる見かけだけのエアロではなく、キチンと効くエアロに仕上げられているのがポイント。このエアロと足で気持ちのよい走りを得よう、というわけです。


内装は高級感のあるラックススエードと本革仕上げ

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FIT e:HEV Modulo Xのドライバーズシート
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FIT e:HEV Modulo Xの(ボルドーレッド)の室内
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FIT e:HEV Modulo Xの(ボルドーレッド)の室内
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FIT e:HEV Modulo Xの(ブラック)の室内
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FIT e:HEV Modulo Xの(ブラック)の室内

 内装は、ラックススエードと本革のシートをはじめとして、スポーティーさと上質さを兼ね備えたイイモノ感溢れる仕上がり。カジュアルリビング志向のノーマルFITとは趣きが異なります。Modulo Xといえば、各所にボルドーレッドを配するインテリアなのですが、今回はブラックもラインアップに加わりました。両方見比べたのですが、筆者は「どっちもイイ」、けど自分なら無難なブラックを選ぶかな? でも選んでから「やっぱボルドーレッドにしておけば……」と悔やむわけです。クルマ選びに限らず、人生とはそういうものです。ちなみに唯さんはボルドーレッドのインテリアが気に入っていました。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
FIT e:HEV Modulo Xのラゲッジをチェック

 FITの良いところのひとつに「荷室の使い勝手」が挙がります。。

これは数多あるコンパクトカー随一といえるでしょう。そこで今回はASCII.jpらしくPCケースを使ってご紹介しましょう。用意したケースはASUSのROG Z11という、Mini-ITXケースとしては大型のタワー型。ゲーミングPCっぽいデザインですが、自宅の作業PC用に購入したものです(ASUSのB550マザーボードと「ROG Z11」で人気のMini-ITX自作に挑戦!)。


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まずは後席座面を起こした状態でPCケースを積載

 まずはテールゲートを開いて普通に積載。これはほかのクルマでもできること。普通なのですが、間口が広いだけでなくリアバンパーがテールゲートより出ていないこと、そして荷室と開口部の段差が少なく荷物が載せやすいのです。細かいところですが、こうした使い勝手の良さがFITのイイところ。


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後席の背もたれを倒した状態
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後席の背もたれを倒した状態でPCケースを入れてみた
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カメラ等の取材機材とPCケースを一緒に入れた状態

 続いて後席シートの座面を倒してみましょう。ちょっと段差はできますが、基本的にフルフラットといっても良さそう。ここにPCケースを入れてみると、もちろん余裕たっぷり。奥行きは結構ありますが、さすがに車中泊ができるほどの広さはありません。

折角ですので、筆者の撮影機材も一緒に載せてみましょう。背もたれを立てた状態ですと撮影機材だけでラゲッジは埋まってしまったのですが、ラゲッジ側から簡単にリアシートが倒せるので、荷物を全部降ろさないとシートバックを倒すことができないとか、いったん後席に回って……という作業は不要。これは雨の日には大変ありがたいもの。意外に思われるかもしれませんが、こういった事ができないクルマは今でもあるんですよ。


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後席シートの座面を跳ね上げてPCケースを積載した状態
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床面の様子

 地下駐車場など、壁や隣のクルマが近くにあるためテールゲートを開くことができない状況って往々にありますよね? その時はクルマを少し前に動かすか、後席に荷物を積み込むことになると思います。で、荷物をそのまま載せたらシートの座面に汚れが……、という心配は誰もが抱くことです。そこで便利なのが後席跳ね上げ機構。その名の通り、後席の座面を跳ね上げることで、後席スペースを荷室として使うというもの。PCケースだとオーバースペックに見えますが、たとえば観葉植物など「高さのある倒せない荷物」を載せる時に、これが大変重宝するんです! 唯さんは、このシートアレンジを初めて見たようなのですが、あまりの便利さに言葉を失っていました。


 この荷室の使い勝手をはじめ、ほかにもFITには数字では表しづらい使い心地の良いクルマだったりします。触れれば触れるほど惚れること間違いナシです!


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後席の様子
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前モデルに比べ肉厚となったクッション
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USB Type-A端子を用意。フタがついているので、ゴミなどが入りづらいのも◎

 続いて後席の座り心地をチェックしましょう。

先代よりも肉厚となったクッションにより座り心地が良好。唯さんも「足元も広くて快適ですね。長時間乗っていても平気かも」とご機嫌な雰囲気。さらにうれしいのは、2系統のUSB Type-Aレセプタクルを上側に用意したこと。エアコンダクトがないから、というのもあるでしょうけれど、大抵は下側に設けることが多いので、上側にコネクターを配置したことは使い勝手が良く感じます。


 「下側にあると屈まないといけないので面倒ですよね。カバンからケーブルを取り出してスグに刺せるのはイイです!」と唯さん。後席に座る事なんてめったにないから、USBはなくてもイイと思うことなかれ。運転席側はスマホ、後席側でモバイルバッテリーというように、大変重宝するのです。しかも上側にあれば差し込みやすいうえに、近くにトレイがあれば、スマホを置いたりしてさらに使いやすい。改めてFITはよくできたクルマだと感じました。


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FIT e:HEV Modulo Xの車内(写真はブラック)

 再びフロント側へ戻りましょう。FITの美質として挙げられるのが視界の広さ。フロントガラスは、Aピラーはどこに行った? と思えるほどの圧倒的な拡がりに加え、上下方向も広いから文句ナシです。特に上下方向は感動的で、最近のクルマでよく見かけるカーナビが上へせり出した、後付け感の強いデザインとは異なって、メーターパネルと同じ高さにしたのは、使い勝手の面と安全性の面から◎。上にせり上げてきてしまうと、今度はルームミラーとの間が狭くなりがちで、座高の低い方にとっては視界が狭く感じてしまうのです。「この視界の広さは驚異的ですね。開放的で気持ちがイイです」と唯さんもニッコリ。


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Modulo X専用のパワースイッチボタン
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専用セレクトレバー
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専用フロアカーペットマット

 メーターパネルは7インチの液晶タイプ。バイザーが小さいので光の加減で見えづらい時があるのでは? と危惧したのですが、表面に低反射素材を使っているようで視界は良好。文句ナシです。Moduloらしさとしては、シートのほかに、セレクトレバーやパワースイッチボタンまわり。特別仕様車の中には恥ずかしさを覚えるほどの「いかにも!」感を主張するクルマがあったりしますが、Moduloのさりげなさには好印象を抱きました。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
イグニッションを押すと、専用スプラッシュスクリーンが表示される

 さらに純正オプションのナビを装着すると、始動時にModulo Xというスプラッシュスクリーンが表示され、所有感を満たしてくれます。こういった細かい演出は、世界観を伝える意味でも重要。唯さんからも「いかにもスポーツ系という感じが少ないのがイイ」と高評価を頂きました。


ワインディングで実効空力を感じ
一般道ではハイブリッドならではの静粛性

 運転の時間です。今回は都内のほか、信号の少ないワインディングロード、そして新東名120km/hと3つのステージを走行してみました。


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市街地を走行するFIT e:HEV Modulo X

 まずは一般道から。発進時は基本的にEVモードになるようで、ほぼ無音で走り始めます。ちょっと電気自動車っぽい感覚。ですが、しばらくするとエンジンが始動してハイブリッドモードに。でも走りの滑らかさは変わらずですし、エンジンが動作しているのはわかりますが、不快感を覚えるようなことはありません。何よりモーター駆動ならではのトルクフルな走りはストレスフリーのひと言! 荒れた路面でゴツゴツしているなぁと感じますが、欧州のコンパクトカーに乗っている感覚に近く、不快さはそれほど感じません。トルクフルな走りとキビキビした足は、低速で交差点を曲がる、加速する、信号で止まる、という動作を繰り返す退屈な街乗りを楽しい時間に変えてくれます。


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ワインディングを走るFIT e:HEV Modulo X

 実効空力を感じるのは、ワインディングロードに入ってから。安定感が良いだけでなく、ノーズがスッと入るステアフィールが気持ちいいではありませんか。ココにノーマルに比べて均等に接地していることがわかる足が加わり、ちょっと頑張っても怖くない! 怖くないから……ここは心のブレーキをかけることにしましょう。「ちょっと硬めの足が、スポーティーでイイですね。ワインディングのコーナーってちょっと苦手なんですけれど、このクルマなら安心感がありますから楽しく走れます」と、小気味よく走る唯さん。本当にクルマの運転が好きで、典型的な「体にガソリンが流れているタイプ」だなぁと、運転している姿を見て思った次第。


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FIT e:HEV Modulo X(※走行中の写真ではありません)

 こうして唯さんの運転パートは終了。「ハイブリッドのコンパクトカーでも、足とエアロが良ければ走りが楽しめるんですね。使い勝手の良さと走りの楽しさがありますから、FIT e:HEV Modulo Xはクルマが好きな人にとっての福音になるのではないでしょうか?」。唯さんはそのように語って、クルマを降りました。


鈴鹿サーキットまでを往復し
その走行性能と燃費をチェック!

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東名高速・用賀IC近くのエネオスで給油
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オドメーターを0kmにセットして、いざ東名高速へ!

 唯さんを降ろしたあと、走りのステージは高速道路へ。高速道路の巡航テストです。今回は東京料金所から2年3ヵ月ぶりの開催となった「Honda Racing THANKS DAY」の会場である鈴鹿サーキットまでを往復し、乗り心地だけでなく実際の燃費も計測することにしました。まずは用賀インターチェンジ近くのガソリンスタンドで給油し、オドメーターを0にセットしていざ出発!


 ワインディングでも感じていたのですが、高速道路に乗ると改めて「空力ってすげーなー」と思わずにはいられません。イマドキ、100km/h以上出すとどこへ飛んで行くかわからないコンパクトカーはないのですが、ふらつくことなく、地にしっかりと根付いたかのような安定感は見事! 安心につながります。しかもFIT e:HEV Modulo Xは速度を出せば出すほど車体が安定するではありませんか。


 安全運転支援システム「Honda SENSING」のひとつ、車線維持支援システム(LKAS)と、先行車両との車間を監視するアダプティブクルーズコントロール(ACC)を組み合わせると鬼に金棒。車線が見えづらい状態でも、しっかりとキープしますし、山北区間の右ルートでもレーンキープしてグイグイ曲がります。往路は仕事終わりの深夜11時出発6時到着という強行軍だったのですが、クルマそのものの安定感と「Honda SENSING」のお陰で実にラクラクな高速巡行。これなら夜のドライブも安心快適です。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
深夜の右ルート。誰も走っていませんが、80km/hでキープレフト

 と、言いたいのですが、ラクでなかったのは乗り心地で、80km/hでは細かな振動を拾って常に体が上下方向に揺さぶられるのです。制限速度の表示を確認し100km/hにアップすると、フラット感が増してくるものの、道路のつなぎ目を乗り越えたときの衝撃の強さはそのまま。こうした揺れは体に疲労として蓄積されていきます。山北区間が終わった頃には、午前中から歩きっぱなし&書きっぱなし仕事をしていたこともありヘトヘト。足柄SAで風呂に入って休もうかと何度思ったことか……。御殿場JCTから新東名に入って120km/h区間へ。すると快適な乗り心地になりました。


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鈴鹿ICを降りた直後の車内からの様子

 途中休憩も挟んで鈴鹿ICに到着したのは朝6時のこと。一般道を30分程度走って鈴鹿サーキットに到着。さて燃費はというと……。


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往路の燃費。403km走行して19.3km/L

 403kmを走行してメーター読みで19.3km/Lを記録。ガソリンは半分程度残っているようです。マイカーのS660(CVT)だとリッター18kmを下回りますし、何より25リットルしか入らないということもありますが、鈴鹿サーキットへ入場する前に近くの出光(セルフ)で給油するのがお約束だったので、「まだ半分残っている」ということそのものに感動したり。鈴鹿サーキットとFIT e:HEV Modulo Xの写真を撮ろうと思ったのですが、駐車した場所のHonda車以外のクルマが結構あり、オトナの事情で掲載することができません。残念。


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帰りは鈴鹿ICからではなく、みえ川越ICから、という指示
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みえ川越ICで給油
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給油の領収書。おサイフが痛い

 とはいえ、往復できるほどの残量は残っていない様子。ナビによると帰り道は鈴鹿ICからではなく、みえ川越ICまで一般道を走行せよ、ということなので、その案内に従いながら走行。そしてIC手前のスタンドでレギュラーガソリンを給油することに。433.6km走行し、入れた量は23.44L。よって、ここまでの燃費は約18.5km/Lということに。メーター読みだと19.6km/Lですので、1.1km/L分のズレが出ていました。


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みえ川越ICから東京料金所へ

 あとは高速道路に乗って、一路東京料金所へ。帰路も80km/h巡航は硬さを感じ、120km/h巡航は快適という傾向に変わりはありませんでした。気になる燃費ですが、メーターで見ていた感じでは、100km/hより高速で走ると悪化する雰囲気。これは他社のハイブリッドカーでも同様です。最も効率がよいと思われるのは90km/h巡航時。ですので、ステアリングを握りながら「燃費だけで考えるなら100km/h以下で走行したいのだけれど、乗り心地の面を考えると120km/hで走りたい」というジレンマを抱き続けながら新東名の120km/h区間を走り抜けました。


 御殿場JCTを抜けると、山北区間のダウンヒルが待っています。ここでも再度、Honda SENSINGのテストを実施。80km/hではキッチリとラインをトレースします。路面に特殊舗装が施されているため、断続的に強い振動が疲れている体に襲い掛かるので、速度をあげたいのですが、ここは我慢。キープレフトです。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
東京料金所を通過。気づけば休日割引が復活していました
FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
走距離は778.6kmを記録
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2回目の給油は15.86L

 さて、燃費ですが2回の給油を終えて、合計39.3Lを消費。走行距離が778.6kmということですから、19.81km/Lと、惜しくもリッター20kmには届かず! メーター読みで20.5km/Lでしたので、その差は0.7km/L。ともあれリッター20km弱は驚き! FIT e:HEV Modulo Xの燃費の良さに驚きです。


【まとめ】全部入りでオトクなコンプリートカー

FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!
FIT e:HEV Modulo X

 今回、改めてFIT e:HEV Modulo Xに触れて、お値段以上の価値がある1台であることを再認識。途中で触れている通り、唯さんもFIT e:HEV Modulo Xを気に入られた様子です。


FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!

 車両価格は286万6600円。とはいえ「Modulo Xは高いから、イイのは当たり前」という声が聞こえてくるのも事実。ですがイマドキのクルマの買い方である「残価クレジット」を使うことも考えると、高額でもオトクと思えるグレードなのです。というのもフロアカーペットマットやアルミホイール、エアロパーツといったディーラーオプションは「残価」にはカウントされないから。


 一方Modulo Xは、これらの装備が全て車両本体価格に含まれているため残価の対象になるのです。それにディーラーオプションで内外装をカスタムしていくと、月々の支払額がModulo Xとほとんど変わらなくなることも。


 たとえばModulo Xのベースとなった「LUXE」とModulo Xの価格差は44万円なのですが、フロアーマットを装着し、ロアースカートやテールゲートスポイラー、フロントグリルを取付け、ホイール交換まですると工賃抜きでも約30万円になります。ですがModulo Xには最初から全部ついてきます。つまり少なからずカスタマイズを視野に入れているなら、最初からModulo Xにした方が残価率の高さから乗り替えるときにも有利なうえに、メーカー純正カスタムゆえにリセールに強い(高価買取が期待できる)のです。


 FIT e:HEV Modulo Xは、乗り心地がよい上に、走って楽しいだけでなく、リセールも期待できるという3拍子が揃った「今、一番買うべきFIT」なのです。


■関連サイト


モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

FITのコンプリートカー「FIT e:HEV Modulo X」は、今一番買うべきFITだ!

 10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo Nakajima Racingのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添える。


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