999.9(フォーナインズ)/SP-13T(4万2800円)

 最近では手近な物が見えづらくなるなど、年々視力が悪化している不肖。今では眼鏡ナシでは生活できない体です。

当然ながら免許証に「眼鏡等」と記載されておりまして、バイクに乗るときも眼鏡をしています。ですが、この眼鏡とフルフェイスヘルメットの相性が猛烈に悪いのです。そこで今回はフルフェイスヘルメットでも大丈夫! な眼鏡をご紹介したいと思います。


バイク乗りの最適な眼鏡を探した結果

視力が悪くなったバイク乗りに合うメガネを求めて
999.9の特徴である逆Rテンプル

 今回購入したのは999.9(フォーナインズ)という、日本のアイウェアブランドの「SP-13T」というモデル。999.9は、1995年の誕生以来、かけ心地のよさと、日本人の顔にフィットしたデザインで人気があります。特徴はフレームの前枠とツルを接続する丁番と呼ばれる部品が、脱着時に力を分散させてフレーム全体の変形を防ぐとともに、顔に適合する弾力を保つよう、Ωのようなデザイン(逆Rテンプル)になっているところ。それゆえ、眼鏡に詳しい人、またはオーナーは横顔をみるだけで999.9の眼鏡だとわかったりします。そして「この眼鏡、999.9ですね」というと、かなりの確率で「え? わかります?」と笑顔で返してくれます。そういうブランドです。


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逆Rテンプル構造により、フロントブリッジとツルがツライチになっていないのが999.9の特徴。それゆえ横顔を見たときに「999.9の眼鏡か否か」がわかるのです

 不肖が999.9を知ったのは2000年頃だったと思います。当時ツーポイントと呼ばれる眼鏡が大流行しており、その中でも999.9はかけ心地がよいということが雑誌などで紹介されたことがきっかけでした。その頃、眼鏡はレンズ込みで3万円程度だったのですが、999.9はフレームだけで3万円をゆうに超えて驚いたものです。

ですが、いざ装着してみると確かに素晴らしい! 以来、眼鏡といったら999.9というわけで10本近くを作成したものの、飲み屋や仕事先でなくすという日々を送っています……。


フルフェイスと眼鏡の相性とは

 さて。文頭でフルフェイスヘルメットと眼鏡の相性が悪いと記しました。では、実際にどう悪いのかご説明したいと思います。まず、ヘルメットを装着する際、眼鏡をいったん外さないといけません。それはいいとして、ヘルメットを装着した後、バイザーを開けて眼鏡のツルをこめかみとヘルメットの隙間に差し込むのですが、無理矢理メガネを押し込もうとすると、フレームが歪んでしまう恐れがあるのです。


 ならばと太いツルの眼鏡を選ぶと、今度はツルの先にある「モダン」と呼ばれる部分とヘルメットの内張によって、耳が圧迫されるのです。さらに走行中のヘルメットの中はサウナ状態ですから、鼻の頭に掻いた汗で眼鏡がズレてくる……。「だったらコンタクトにしろよ」という声もありましょうが、コンタクトは目が乾くなど、これまた問題が起きるのです。


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D1ドライバーの川畑選手は普段999.9のサングラスを着用されています
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2020年のD1開幕戦・奥伊吹大会での記者会見の様子。川端選手は普段眼鏡をしていないのですが、この時は眼鏡「SP-10T」を着用されていました
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川畑選手のマシン。フロントホイール付近に999.9のステッカーが貼られています
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決勝の様子。フルウェットで夜という視界不良のコンディションの中、川畑選手は見事GRスープラに初優勝をプレゼント。
その視界をサポートしたのは999.9のSP-10Tでした

 そんな声が999.9に届いたのかどうかは分からないのですが、ドライビングやあらゆるスポーツシーンに使用する状況を考慮した眼鏡として「SP-10T」というモデルが2013年に登場しました。この眼鏡を実際に使われているプロドライバーがいらっしゃいます。その方は、ASCII.jpが応援するTeam TOYO TIRES Driftのエース、川畑選手。川畑選手は2年前のD1グランプリ開幕戦「奥伊吹」で、夜&雨というコンディションの中、GRスープラに初勝利をもたらしました。その時、普段は運転中眼鏡をかけていないそうなのですが、この時だけSP-10Tを装着されていたのです! 


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川畑選手とSP-10T
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川端選手にツルの部分を持っていただいてパチリ。確かにSP-10Tの刻印が!

 「いや、お前が買ったのSP-13Tというモデルやん! 買うなら川畑モデルで、それを記事にするべきだろJK」という声が編集サイドから聞こえそうですが、SP-13Tを購入したのには理由がありまして。というのも、SP-13Tは2021年に誕生したSP-10Tのアップデートモデルといった位置づけで、それに伴いSP-10Tの在庫が少なくなっています。結果、欲しい色のモデルがなかったのです。店舗にはメタリックオレンジがあったのですが、かけてみるとちょっと……。ほんとは川端選手と同じSP-10Tの青が欲しかったんですよ!


ヘルメットを付けても抜群のフィット感

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999.9独自の機構「ダブルフロント構造」。レンズとフレームが接触していないように見えます

 SP-13Tの特徴は、999.9独自の機構「ダブルフロント構造」を採用。これはツルの部分からつながるフェイスフロント部と、レンズを固定する部分を分けることで、装着時にレンズへの負荷を軽減したほか、より視界が広いカーブドレンズにも対応できるという優れた機構です。


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SP-13Tの逆Rテンプルをアップ。これがフィット感に大きく貢献するのです
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川畑選手のSP-10Tは逆Rテンプル構造ではありません
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川畑選手愛用のSP-10T。逆Rテンプル構造ではないのでデザインがスッキリしています

 そして「逆Rテンプル」によってフィット感が向上。SP-10Tとの違いは、この逆Rテンプルの有無と言っても過言ではありません。ちなみにSP-10TのレンズをSP-13Tに取り付けることができるそうです。


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鼻パッドはシリコン製
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モダン部分もシリコン製です!

 「ダブルフロント構造」「逆Rテンプル」までは他の999.9モデルでも採用されています。ですが、SPシリーズではさらに、鼻パッドとモダン部分にシリコン素材が使われています。これにより汗をかいてもズレにくく、高いフィット感が得られるというわけ。さらにモダン部分はストレート形状ですから、ヘルメットを装着してからの眼鏡装着が容易になっています。


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筆者のSP-13T

 そんなSP-13Tのお値段ですが、なんと4万2900円! これはフレームだけの値段で、さらにレンズの値段が加わります。不肖は直営店で購入したのですが、普通のレンズで約2万円。これをカーブドレンズにしたら、もっと凄い値段になります。

今回は「川畑選手も普通のレンズだったなぁ」ということで、普通のレンズにしました。で、支払い総額6万2000円超え! 結構な買い物です。


 眼鏡を作成する際は、どのくらいまで見えるようにするかがキモになります。というのも、年齢を重ねると手前の物が見えづらくなるのです。クルマの運転に必要な視力までもっていくと、たとえば手元にあるスマホを見るのは難しいという状態になります。ここで出てくるのが遠近両用レンズなのですが、これがどうも自分には気持ち悪く……。今回は手元は捨てて、1.2まで視力を高めて、遠くを見るためのレンズとしました。


 注文して約1週間、LINEにできました通知が届き、店舗でフィッティング。この時、ヘルメットを持参して調整することもできます。店内でヘルメット姿は異様な光景なのですが、これはやったほうがいいです。かなり変わりますので。また、ヘルメットによっては耳の部分のパッドの厚みを変更するなど、フィッティングサービスに対応するものもあります。


 実際に装着して走行するわけですが、普通に走っている分にはまったく問題はありません。ただ、メーターやスマホナビが見づらい、というのはあります。特にスポーツモデルなので前傾姿勢をするのですが、その時にメーターをちらっと見たとき、その数字はかなりボヤけて見えてしまうという事象が。「遠近両用レンズにしておけばよかったのかも」と思わなくもないです。どうしても我慢ならない時は、レンズを交換すればよい、と考えています。


 ちなみにレンズですが、曇ったからといってスグに乾いた布で拭くのは、レンズに傷がつくのでやめた方が無難。水で汚れを洗い流してから、レンズクリーナーを吹き付けて、それからふき取るようにした方がよいです。レンズの傷は、視界不良の原因になりますからね。


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