SUPER GT第5戦が8月27~28日に鈴鹿サーキットで開催され、冨林勇佑/平木玲次が駆る5号車「マッハ車検AIRバスター MC86 マッハ号」は、GT300クラス19位となった。
鈴鹿サーキットを舞台にしてのレースは今シーズン2回目。
自慢の軽さを封じられた状態で挑んだ予選
27日(土)の公式練習では、それが的中し、2分01秒555でクラス25番手と後方に沈む結果に。予選に向けての伸びしろは確認できていたものの、想定タイムをしっかりとクリアできるかが、大きな鍵となった。

今回が冨林がQ1のアタックを担当し、マシンに乗り込んだ。「59秒0が出たらいいなと思っています」と予選前に話していた冨林だが、いざアタックに入ると、それを上回るペースを披露。タイムアタック1周目は1分59秒689と目標値に届いていなかったが、翌周のアタックで足りないところをしっかりと修正し、1分58秒935をマークした。

これにより、Q1A組で8番手に滑り込んみ、Q2進出をはたした。ちなみに、Q1A組の9番手が25号車GRスープラで、その差はわずか0.009秒。GT300クラスがいかに接戦かを物語る結果だったのだが、その中で冨林は想定以上のパフォーマンスを発揮し、チームに貢献する走りをみせた。
実際に冨林に感想を聞くと「正直、5月の時の感覚だと8割くらいの力でいけばQ1は通れるという感じでしたが、その感覚で1周目のアタックに行ったら59秒6だったので『これはマズい!』となりました。その時はタイヤのコンディションもベストにはなっていなかったので、2周連続でアタックに行って『この周は気合いを入れよう!』と思って、走りました。ここで通るのと通らないのでは天と地の差ですし、今のGT300は本当に僅差の戦いをしているので、ギリギリの状態でした。


苦しい状況ながらもQ2進出を決めた5号車。あとは、ひとつでも前のグリッド獲得に期待がかかったが、平木が担当したQ2ではミスが出てしまい、タイムが上がらず。連続でアタックをしようとしたが、その前に時間がきてしまい、16番手という結果に終わった。
「デグナー2つ目ではみ出してしまって、ハーフスピン状態になりました」と悔しい表情で状況を語る平木。「冨林くんのアタックを見ていても、2周目の方がタイムを更新していたので、僕も1周目はウォームアップがてらアタックをして2周目にかけましたが、そこで思い切りミスってしまいました。ただ、(アタックが)決まっていたとしても、ポジションがひとつかふたつ上がっていたかなというのが正直なところ。今週は少し難しいところもあるのかなと思いますが、まだやりようはあると思うので、少しでも得点を重ねられるようにしたいですね」(平木)



スタートの躓きが
最後まで響いた決勝レース


28日(日)の決勝レース。今回も第4戦富士と同様に450kmの距離で争われた。GT300クラス16番手からスタートとなった5号車は、冨林がスタートスティントを務め、途中で平木に交代するという作戦をとったのだが、いきなりトラブルが発生してしまう。
フォーメーションラップがスタートするというところで、5号車はエンジンがかからないトラブルに見舞われてしまった。コースマーシャルの手を借りて、なんとかエンジンがかかり隊列に復帰したものの、最後尾に回ってレーススタートを迎えることとなった。
さらに車内では無線の調子が悪くなっており、ピットと思うようなコミュニケーションが取れない状態となっていた。


「バッテリーが上がっていたのか、エンジンがかかりませんでした。マーシャルの皆さんに押しがけしてもらいました。さらにウォームアップの段階から無線も壊れてしまっていて……」と振り返る冨林。気を取り直して、後方からの挽回を狙って、序盤から安定したペースで周回した。
21周を終えて最初のピットストップを実施。ここではドライバー交代は行わず、冨林のまま第2スティントに入った。

前回の富士では、タイヤが異常磨耗してしまい苦戦していたが、今回は力強いペースで周回を重ね、徐々に順位を上げていった。それでもサクセスウェイトの影響は大きく、ポイント圏内には届かない状況。冨林は合計41周を走破し、平木にドライバー交代した。
「最初はすごくペース良く走れていたんですけど、レース開始直後にスターターの問題が出たのに対して、どういう風に戦略を変えるのかを、(無線不調で)チームとやり取りができない状態で、僕もサインボードを見ながら、タイヤを労わりつつ走りました。あとは、僕たちはストレートスピードが遅いので、ライバルの後ろについても、なかなか抜くのが難しかったです。

あとは平木が粘り強く走って順位を上げていく目論見でいたが、49周目にコース上でクラッシュ車両が発生しセーフティーカーが導入された。5号車としては義務となっている2回のピットストップを終えているという点はメリットだったのだが、先行するライバルたちがSC導入を見越して急きょ2度目のピットストップを敢行。これでポジションを確保されてしまい、5号車は大幅なポジションアップができなかった。
レース再開後は、平木が必死に追い上げようとしたが、大幅なポジションアップは叶わず、最終的に19位でチェッカーを受けた。
今回も様々な不運に襲われた5号車だが、サクセスウェイトが多くなってからのペース維持というのが一番の課題となっている様子。レース後、冨林も「もうちょっと、この(重い)ウェイトとお友だちにならないといけないなと感じました。特に、GT300の中でもこのクルマが一番ウェイト感度があると思います。10kg程度ならまだいいんですけど、30kgを超えてくると苦しいですね。その辺はもう少しうまく付き合っていきたいですね」と、現状を語ってくれた。

次回の第6戦の舞台であるスポーツランドSUGOも、高速コーナーが比較的多く、ウェイト感度が出やすいと言われるコース。まずは予選トップ10圏内という目標を立て、冨林とチームは決意を新たにしていた。

GT300クラスは5年ぶりに初音ミクAMGが勝利
GT300全体のレースを振り返ると、予選から快走を見せていた4号車「グッドスマイル 初音ミク AMG」が2017年の開幕戦以来5年ぶりとなる優勝を遂げた。なお、グッドスマイルレーシングが参戦して今年で15シーズン目だが、鈴鹿はこれが初勝利となる。


また、ポールポジションからのスタートだったものの、途中で順位を落としていた10号車「TANAX GAINER GT-R」が追い上げを見せ、2位入賞。そして21番手からのスタートだった30号車「apr GR86 GT」がじわじわと順位をあげていき3位表彰台を獲得した。


この鈴鹿戦ではランキング上位陣が軒並み沈んだため、チャンピオンシップの行方は混沌としたものになってきた。次戦、スポーツランドSUGOではどのチームに勝利の女神が微笑むのか、目が離せない。


暑い鈴鹿で涼しい笑顔を振りまいたRQたち
















■関連サイト