プロドリフト競技の開祖にして最高峰「D1グランプリ」の2023年シーズンが開幕! 5月13~14日の2日間、グランスノー奥伊吹(奥伊吹モーターパーク)で第1戦、第2戦が開催されました。
TOYO TIRESのチャンピオン奪還なるか?

GR86(ZN8)を用いた新体制2年目となるTEAM TOYO TIRES DRIFT。#88 川畑真人選手は「今年はチャンピオン奪還」と、通算4度目となるシリーズチャンピオン獲得が目標。

そんなTEAM TOYO TIRES DRIFTをASCII.jpは今シーズンも応援! 日本発祥のモータースポーツにして、ドリフト競技の最高峰に挑み続ける彼らの姿を追い続けたいと思います。

開幕戦と第2戦の舞台は、奥伊吹モーターパーク(滋賀県)内に設けられた特設コース。昨年と同様、右回りのS字レイアウトで、車両の一部が通過しなければならないゾーン設定も昨年と同じ場所に設定されました。ただ昨年と違うのはレースウィークの天気は雨予報であること。その予報は的中し、14日の路面はまるで鏡のように光り輝いていました。
【開幕戦・単走】藤野選手6位で通過
川畑選手20位で追走進出ならず
13日午前中の天気は晴れ。風は冷たく、路面温度も低い中で戦いの火ぶたは切られました。

藤野選手の1本目は、コースのアウト側をまるで舐めるような走り。車速も106.6km/hと高く、98.1点で追走進出を確定させた。


2本目は車速を107.7km/hと伸ばすものの、ゾーン2を外してしまい減点1。それでも98.1点と高得点で、安定感のあるところをみせました。

川畑選手の1本目は、車速110.63km/hと高いながらも、綺麗なラインで確実に点数を取る安定感のある走り。ですがゾーン3を外して減点。点数は95.3で失敗。


後がなくなった川畑選手の2本目。車速を113.15km/hと一気に伸ばして攻めの姿勢をみせます。ですが、またしてもゾーン3をコースアウトして減点。96.1で少し点数を伸ばしたものの総合20位となり、単走の上位16台で争われる追走トーナメントへの進出ならずでした。単走優勝は#2 田中省己選手(SHIBATIRE RACING SEIMI STYLE D)が獲得。
【開幕戦・追走】藤野選手惜敗し6位で終える
追走トーナメント開始の少し前から、小雨がポツポツ降り始め、路面コンディションは滑りやすい状態に。その中で行なわれた藤野選手ベスト16の対戦相手は、昨年からD1GPに参戦する女性ドライバー、#23 下田紗弥加選手(Mercury 車楽人 VALINO)。

藤野選手先行の1本目。下田選手は最初のコーナーで果敢に飛び込むものの、最終コーナーで失敗。

藤野選手後追いの2本目。藤野選手は最初のコーナーで姿勢を崩すものの、耐えて下田選手を追います。少し離された藤野選手は、無理に追うのではなく、点数を稼ぐ走りへと切り替えます。下田選手80点の走りに対して、藤野選手は88点の走りに後追いポイント2が加わり90点。藤野選手173点、下田選手150点で藤野選手がベスト8へとコマを進めます。
ベスト8の相手は、昨年D1GPデビューした#98 ヴィトー 博貴選手(DRIFT STAR Racing × RACING GEAR)。時刻は17時を過ぎ、陽が落ち始めて気温は一気に低下。コース上に設けられた投光器が灯されます。雨足も強くなり、路面のあちこちに水たまりができ、投光器やクルマのヘッドライトで路面がキラキラと反射します。

ヴィトー選手先行の1本目。

藤野選手先行の2本目。藤野選手は綺麗でミスのない走りで87点を獲得。一方、ヴィトー選手は角度をつけた走りと藤野選手に終始接近して、89点の走りに4.5点の後追いポイントを獲得。藤野選手87、ヴィトー選手93.5点。結果、藤野選手177.5点、ヴィトー選手178.5点と逆転されてベスト8で敗退。総合6位で開幕戦を終えました。
優勝は、昨年のシリーズチャンピオンである#70横井選手(D-MAX)となりました。
【コース外の様子】ソーシャルディスタンス解除
ファンに手厚いD1が戻ってきた




コロナ禍では選手とファンの距離が遠ざけられていたのですが、今回から完全解除され、2019年のような雰囲気が戻ってきました。追走トーナメント決勝前には「グリッドウォーク」として参戦車両がコースに並び、1時間近くのファンサービスが行なわれました。


TEAM TOYO TIRES DRIFTのチーム体制は昨年と同様ですが、大会を盛り上げるレースクイーンは、ショートカットの白石美音さんと、ロングヘアの逢坂真希さんへと一新。


チーム応援グッズに、プーマとのコラボバッグが登場。バックパックタイプ(1万2000円)は、プーマロゴが黒と白の2色展開。やや大きなハンドバッグタイプ(8000円)は、街でも使いやすいデザインが◎。防水性もありそうなので、今回の奥伊吹戦のようなイベントにはピッタリです!(多分)
【第2戦・単走】雨によりタイヤサイズを変更
川畑選手11位、藤野選手12位で追走進出
暴風雨の一夜が過ぎた14日。チームが設営したテントが倒壊するなど、いくつか被害が出ていました。風はやや弱まったものの収まることはなく、雨は降り続けてのフルウェット。TEAM TOYO TIRES DRIFTは、タイヤのエアボリュームを増やすことでグリップ力を稼ごうとホイールサイズを20インチから17インチへと変更。扁平率の低いタイヤで望みました。
雨の単走は、総合得点ではなく走行グループの上位4名が追走トーナメント決勝に進出できます。くじ引きの結果、藤野選手はAグループ、川畑選手はCグループからの出走となりました。

藤野選手の1本目。セクター1の点数は低いものの、グリップレベルが上がったのか昨日よりも綺麗な走りで91.4点を記録。


点数を伸ばしたい2本目。よりエンジンの高回転域を使う走りで果敢に攻めます。ですが、またしてもセクター1の点数が低くて91.3。Bグループをが終わりCグループが始まるころは土砂降りの様相。風も強くなってきました。

その中での川畑選手の1本目。思いっきり角度を付けてゾーン1を通過。点数は91.8と悪い数字ではありません。ですが、このCグループには実力者が揃っており、やや不安です。そしてグループ内の9名が1本目を終えた段階で4番手。


あとがない川畑選手の2本目。91.8点以上の点数を出したいところです。セクター1の侵入でフロントタイヤをロックさせてしまい、そのまま流れてしまう状態に。その後、立て直しを図るのですが、セクター2でラインオフ。結果85点と失敗。ですが、なんとか1本目の点数でグループ4位で追走トーナメント決勝進出を果たしました。総合結果は、川畑選手が11位、藤野選手12位。優勝は横井選手となりました。

【第2戦・追走】悪天候のため中止が決定
単走順位がそのまま総合成績に
13時30分スタート予定だった追走トーナメント決勝。雨は少しやみ始め、空に明るさが戻りつつありました。ですが単走終了後にチーム代表が集まり緊急ミーティングが開催。競技中もいくつかのチームテントが飛ばされそうになる、観客スタンドが揺れるほどの突風が収まらず、運営者は安全に競技を継続することは困難と判断。
残念な結果ですが、来場されたファンの安全を第一に考慮した判断ですし、天気ばかりは仕方ありません。よって単走の結果をもって、総合順位とすることが決まりました。



空いた時間は、グリッドウォークとしてファンサービスの時間に。お客様はパドックから離れてチームは風に気を付けながら撤収作業を進めました。
【次戦】久しぶりの筑波ラウンドに期待!
チームもファンも雨風に泣かされた奥伊吹ラウンド。大会終了後、川畑選手と藤野選手に2日間の総括と、次の筑波戦について話を伺いました。

川畑選手「練習からずっと調子が良くて、不安要素は何もないまま単走を迎えました。単走は最後のグループで待っている間、色々と考えちゃって。とりあえず1本目は抑えようと思ったら体が緊張しちゃって思うように乗れなくて。2本目ちょっとダメだってなったんで、ちょっと焦って失敗してしまい、単走落ちしてしまいました。組み立てが失敗してしまい、すごく残念です」
「2日目はウェットだったので、昨日藤野さんが走っていたデータをもとにセッティングを変更して、タイヤも17インチに変更するなど、できる範囲内でいいだろうと思うセットにしました。結果、高得点は出せなかったのですが、追走へ進むことができました」
「中止になったのは天候のことなので仕方ないかなと思います。今後につながる、よいデータ取りができたんじゃないかなと思います。開幕でつまづいちゃったので、あとは取り返していくしかないですよね。次はつまづかないように気を付けます」

藤野選手「初日の6位という結果は……、ちょうどいいぐらいじゃないですか?(苦笑) 途中で天候が変わって、色々なクルマのセットアップだったりとか、そういうことに関して、やらなければならない事が色々出てきたんで、それを煮詰めなければなりません。今日はグループでは首位通過しましたけれど、結果は……後のグループの方が点数が上がってきていたんで。今回はテストが多かったレースだなと思います」
「筑波サーキットは嫌いじゃないので、ある意味楽しみですね。高速サーキット嫌いじゃないんですよ」


今回はポイントを稼ぐことができなかった両選手。次戦D1グランプリは6月24~25日の2日間、筑波サーキット(茨城県)で行なわれます。リベンジに期待しましょう!
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