ひゅるるるるるるるーうぃっ
 でーんででででんでんでんで
 ぎゃーーーーーーーー!


 ビート、カプチーノ、AZ-1、コペンといったバブル期の軽スポーツは、怪奇大作戦のトータス号が雛形だったと信じている私は四本淑三です。だって軽自動車ってだけで小さくてつくるのが面倒なのに、わざわざオープンにしたりガルウイングにしたりしないじゃん。


 で、今回も話題の中心といたしますのは屋根のトラブル。5年前は新車だったロードスターRFの情報2023、「怪奇音大作戦」もいよいよ大詰めであります。


 納車から3年を過ぎ、出どころ不明の打撃音を発するようになったロードスターRF。謎深まるばかりのある日、ルーフの咬合部に貼られた樹脂シートの摩耗を発見。こんな薄いシートが打撃音につながるものなのか。音はリアから聞こえてくるものの該当箇所は頭上。それでも原因らしきものは他に見当たらない。今回はそれを確かめます。


 さて、これからやる作業は決して真似をしないでください。メーカーのマニュアルに記載はなく、私が勝手にやったことで、これが原因で貴方のクルマに不具合が起きたとしても責任は持てません。私も応急処置のつもりでやっております。よろしく。


ロードスターRFの怪奇音は66円で止まる

電工テープを貼ってみた

 と宣言をいたしまして、ニトムズ、デンカ、スリーエムと3本の電工テープを買って参りました。電工テープである理由は、表面の質感が先の樹脂シートに似ているから。そして電工テープの方が伸縮性があって柔らかく、薄い。だから厚みが多少違っても誤差を吸収できるだろうということです。


 どれもJIS規格適合品で、厚さ0.2mm、幅19mmの10m巻き。粘着性にも差は感じられないので、一番安いスリーエム「ビニルテープ74」税込66円也を採用しました。


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 ここで削れたシートを剥がしても良かったのですが、シートの摩耗が音の原因であれば証拠として残しておく必要もあるでしょう。お試しということで削れたシートの上から貼ってみます。貼る前に電動歯ブラシで削れカスや固くなった接着剤を取り除きまして。


ロードスターRFの怪奇音は66円で止まる

 元のシートと同じくらいのサイズに電工テープをカット。


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 そいつをこんな感じで適当に貼り付けまして、エンジンをかけ、屋根を閉じて、いつもの山坂道を走ってみると、へっ? 一切リアから打撃音なし。いい年こいて口角を下げつつ「おーいマジかよー」とつぶやいてしまうほど、何も起こらず。


 大成功であります。

でも、こんなんで解決していいのか?


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 ルーフを開けてみると、テープは中に押し込まれて捲れ上がり、アブドーラ・ザ・ブッチャー型の跡も付いて、また悲しい打撃音が聞こえてくる。


 ともあれ怪奇音の原因はこのシールの摩耗であることは特定できました。


イタ車と思えば許せる範囲だけど

 今回の解決策としてやるべきことは、ディーラーへ行って削れたシールを交換してもらうことです。私のロードスターも車検の機会にでも交換をお願いするつもりです。


 ただ安全性や走行性能に問題がないとはいえ、こんなシールの摩耗程度でガツンドカンバキンと音がするのは問題です。おそらく同様のトラブルが報告されているはずですから、メーカーは点検の際にダースでシートを配るとか、郵送で送りつけるとか、実は消耗品だよーんとアナウンスするとか、何らかのアクションは必要なはず。


 逆に私はこのラテンなノリが気に入りました。美しさを求める余り、どこかが抜けている。つまらないところがポロッと壊れる。昔のイタ車みたいでカッコいいじゃないですか。少なくとも、かつての安全牌を求める日本車になかったタイプのトラブルであります。


 とはいえ車検までまだ結構あるので、開閉のたびに電工テープを貼り替えるのは面倒。そこで、あれこれ貼り方をアレンジした結果、こんなふうにして使っています。


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 実はルーフトップの中央付近に、もう1本の爪があり、ここにもシールが貼られています。爪をくるっと覆うような感じで。


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 ちなみにこの爪は格納時にルーフを支えるもの。これを真似しました。


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 はい、ラテン式だから適当。でもこの貼り方ならテープが捲れてしまうこともございません。


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 爪の下の出っ張った部分は擦れて薄くなり、最後は破れてしまうのですが、削れず残ったシートの厚みが支えてくれます。


 電工テープを重ねて貼ってもみましたが、厚みがあると挿抜時の抵抗になってしまうようで、開ける際にググッと微妙な振動が伝わってくる。たかがビニルテープ1枚分0.2mmの差ですが、これがバカにできないのでしょう。


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新球場にマツダで行くと盛り上がる

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 さて、ここから先は完全な余談です。


 電動開閉式の屋根は精度が大事。そんなヒントをくれたファイターズの新球場がある北海道北広島市は、明治時代に広島県の方々が入植されて出来た街です。

つまり広島とは関係の深い土地柄です。北広島には今でもカープファンが多くいらっしゃいますし、ファイターズが札幌を本拠地とする以前は、少年野球チームも「〇〇カープ」のようなチーム名が多かったような。だからここへロードスターで行くと、なんとなく広島へワープしてきたような、擬似的な里帰りのような気がして、試合のない日はつい寄ってしまいがち。奥田民生の「風は西から」なんか聴きながら。


 肝心の野球チームは今年もリーグ最下位が決定。今のところ優勝に絡めるほど強くはありませんし、交流戦でカープと当たった際には守備力の差をまざまざと見せつけられました。ですが将来、もしカープと日本シリーズで当たることになろうものなら盛り上がること必至。私の目が黒いうちに万が一にでも間違ってそうなった暁には、ぜひソウルレッドのクルマに乗ってマツダスタジアムへ出かけたい。全国のカープファンの皆さんも、その際はぜひ北広島へ。ちなみに球場でお好み焼きが食べられますが、出店しているのは「電光石火」のみであり、それ以外の粉もんはとってもおいしいたこ焼きのみ。


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 そして球場北側の出入り口からは電動可動式屋根の駆動台車を製作した地元企業、中山機械も見えます。その光景から、かつてマツダに直4ガソリンエンジンを縦に積んだおかげでたった2人しか乗れない非効率的な設計にも関わらず結構な固定ファンのいたロードスターというオープンカーがあり、そのバリエーションに電動ルーフ付きの車種があったことを思い出していただければ。

って、そんなに遠い将来の話なのか。


 未来はきっといいぜ。それではまた。

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