この記事は『週刊アスキー』1454号(2023年8月29日発売)に掲載されたものです。製品情報や発売日、価格などは変更されている場合がありますので、ご了承ください。
FPSや格闘ゲームプレイヤーは要注意!?
ディスプレーの理解度を高めて正しく選ぼう
ディスプレーを購入する際にスペックで表記されている単語がわからず、困ったことはないだろうか。「リフレッシュレート」や「応答速度」、「パネル方式」など、ディスプレーの知識がなければ理解しにくい単語は多い。単語を知らなくても一般的な用途であれば基本的には問題ないが、ゲーム用となると話が変わってくる。特にFPSや格闘ゲームといったジャンルは反応速度が求められるため、そういったジャンルで遊ぶなら、ディスプレーのことをよく理解してから購入したい。
本特集ではゲーミングディスプレーを選ぶ際に必要なポイントをわかりやすく解説する。また、編集部オススメの機種も紹介するので、参考にしてほしい。ディスプレーの理解度を高めて、より快適なゲームプレイを楽しもう。
ゲーミングディスプレーのこだわるべき場所はどこ?
ゲームを快適に遊ぶためにおさえるべきポイント
ゲームを快適に遊ぶために性能強化&機能追加を施されたゲーミングディスプレーは、チェックすべきポイントも多岐に渡る。製品を比較するためにもおさえておきたいポイントを確認しよう。
■POINT 1
リフレッシュレートの高いディスプレーで ゲームを優位に進めよう
リフレッシュレートは1秒間の画面更新回数のことで、単位はHz(ヘルツ)。リフレッシュレートが高いほど画面の動きが滑らかになり、120Hz以上に対応するディスプレーを一般にゲーミングディスプレーと呼ぶ。ゲーミングディスプレーの本質は高リフレッシュレートにあるといってもよく、ゲームを遊ぶ上で様々な恩恵が得られる。
1つ目の恩恵は残像感の低減。液晶ディスプレーはその仕組み上、「ホールドボケ」と呼ばれる残像を必ず発生させてしまうが、リフレッシュレートが高ければ1コマごとの変化が小さくなるので残像があっても気になりにくくなるというわけだ。
2つ目は遅延が改善する点。
もちろん、それ以外のジャンルであっても高リフレッシュレートのディスプレーは、その画面の滑らかさでゲームプレイを快適にしてくれる。


■POINT 2
パネル方式はIPSパネルが主流 画面サイズは好みの大きさで
液晶パネルは駆動方式によってIPSパネル、TNパネル、VAパネルの3種類に大きく分けられる。
IPSパネルは視野角が大きく色再現性が高いといった特徴を持つ。色々オールマイティーに対応できる主流的な存在だ。
TNパネルは応答速度が速く、超高リフレッシュレートや低残像をウリとしたモデルへの採用が多い。視野角は広くないので正面に腰を据えてガッツリプレイするヘビーゲーマー向けだろう。
VAパネルはコントラスト性能が高く動画視聴にも向いている。視野角はIPSパネルほどではないが、実用上ほぼ問題無いレベルだ。
液晶以外のパネルとしてはOLED(有機EL)が挙げられる。視野角、応答速度、コントラスト性能、どれをとっても液晶パネルを超えており、ハイエンドモデルに採用されることが多い。
画面サイズは好みの大きさで決めてOK。しかし、24インチ前後は競技性の高いFPS/TPS。32インチ前後は大画面の迫力を活かした3Dアクションやシミュレータ系。27インチ前後は中間のバランス型。といったように、サイズごとにオススメの用途も一応ある。
そのほか、特殊な画面サイズとしては、縦横比21:9のウルトラワイドが挙げられる。横方向に視界が広がることで高い没入感を得られゲーミングには最適だ。そんなウルトラワイドでは湾曲パネルの採用も多い。湾曲パネルはより高い臨場感と画面端の視認性を向上させる効果がある。

(次ページ:解像度とDisplayHDRにも注目!)
■POINT 3
解像度とDisplayHDRにも注目!
解像度は画面内の情報量やグラフィックスの繊細さに繋がる。解像度が高いほど高価になるのが一般的だ。
FPS/TPSがメインであれば、処理が軽くなるためFHDを選んだほうが良いだろう。ゲーミングPCの性能が高ければWQHDもOKだ。
3Dアクションやシミュレーター系では、できるだけ高解像度で美しいグラフィックスを楽しみたい。ただ、もちろんそれに見合ったゲーミングPCの性能が必要になる点には注意が必要だ。
美しいグラフィックスといえば明暗の表現力が豊かになるHDRへの対応も忘れてはならない。DisplayHDRという指標でHDRの表現力を示している製品が多く、HDRを楽しみたいなら600以上の製品を狙いたい。
【TIPS】G-SYNC、FreeSyncで描画の不具合を回避しよう!
ディスプレーのリフレッシュレートは一定のリズムで刻まれるが、ゲーム画面の出力のリズム(フレームレート)は、負荷に影響されるため一定ではない。そのために動きがカクッと引っ掛かる「スタッタリング」や、上下分割のズレた画像が表示される「ティアリング」といった描画不具合を発生することがある。
これらの描画不具合を回避する機能としてNVIDIA G-SYNCやAMD FreeSyncといった可変リフレッシュレート技術(VRR)がゲーミングディスプレーには搭載されている。
ただ名前から推察できるようにNVIDIAとAMDのビデオカードはそれぞれ自社のVRRにしか対応しない。


【TIPS】ゲームやディスプレーの設定変更を忘れずに
せっかく高機能なゲーミングディスプレーを導入しても、正しくセッティングされていなければ性能を発揮することができない。特に高リフレッシュレートの効果は知覚の域を超えて、感覚へ作用する部分が大きいので、高リフレッシュレートで遊んでいるつもりが、実は上手く動作しておらず60Hzのままだった……なんてことは往々にしてあり得る事態だ。
Windowsのディスプレー設定にあるリフレッシュレートの項目や、ゲーム内ビデオ設定にあるフレームレートやリフレッシュレートの設定項目を入念にチェックしておくことをオススメする。
また、G-SYNCやFreeSyncなどのVRRを利用したい場合、PC側のドライバー設定やディスプレー機器側で機能を有効化する必要があるので要注意だ。


(次ページ:編集部オススメのハイエンドディスプレー3選)
本気でゲームに向き合う人のためのスペシャルモデル
編集部オススメのハイエンドディスプレー3選
高性能ゲーミングPCの相棒に相応しいハイエンドモデルを編集部でチョイス。
量子ドットOLEDが映し出す美しい画面
デル・テクノロジーズ「AW3423DWF」

POINT
●ワイドディスプレーで臨場感のあるゲーム体験ができる
●DisplayHDR TrueBlack 400対応で色の表現性能が高い
●FreeSync Premium Pro対応で遅延を気にせず遊べる
AW3423DWFは34インチ21:9のウルトラワイド湾曲パネルを搭載するハイエンドゲーミングディスプレーだ。量子ドットOLEDパネルを搭載し、1000ニットのピーク輝度とDCI-P3シネマグレード99.3%の広い色域を持つ。OLEDならではの完全な黒表現による高いコントラスト比も相まって、驚くほどリアルなビジュアルを提供してくれる。
解像度は3440×1440ドット(UWQHD)で、サイズ感は27インチWQHDのディスプレーを横に広げた感じと考えて良いだろう。
ゲーミング性能についてもリフレッシュレート165Hzに応答速度0.1msと、十分な性能を備えている。VRRはHDRへの対応が優れているFreeSync Premium Proを搭載。HDR表現に優れる本機なので、FreeSync Premium Proに対応したゲームをプレイすれば最高のグラフィックス体験を味わえるはずだ。大画面で美麗な映像表現を楽しもう。


Dell AW3423DW 34.18インチ 曲面 QD-有機EL ゲーミングモニター ゲーミング ディスプレイ (3年間無輝点交換保証/FPS向き/0.1ms/175Hz/WQHD/QD-OLED 1800R/21:9/HDMI DisplayPort/DCI-P3 99.3%/高さ調整/VESA DisplayHDR True Black 400/NVIDIA G-SYNC ULTIMATE)
26.5インチOLEDのハイエンドモデル
ASUS「ROG Swift OLED PG27AQDM」

POINT
●OLEDパネルならではのコントラスト比1500000:1が生み出すリアルな色彩
●G-SYNC CompatibleとFreeSync Premiumに両対応でNVIDIAユーザーもAMDユーザーも安心
●カスタムヒートシンクの冷却能力でOLEDパネルの焼き付きを防ぐ
PG27AQDMは、ASUSのゲーミングブランドROGの26.5インチWQHDハイエンドゲーミングディスプレーだ。OLEDパネルだから実現できたコントラスト比1500000:1、ピーク輝度1000ニット(HDR時)、DCI-P3色域99%カバーの圧倒的な表現力が特徴。リフレッシュレート240Hz、応答速度もわずか0.03msとゲーミング性能もトップクラスだ。
■Amazon.co.jpで購入
ASUS ゲーミングモニター 有機EL ROG Swift OLED PG27AQDM 27インチ/WQHD/240Hz/0.03ms応答速度/ノングレア/G-Sync Compatible/99% DCI-P3/カスタムヒートシンク/HDR/国内正規品
32インチの4Kハイエンドモデル
BenQ「EX3210U-JP」

POINT
●量子ドット技術採用のIPS液晶がリアルで鮮やかな映像を映し出す
●DisplayHDR 600対応で優れたHDR表現を実現。独自のHDRi技術でさらに鮮明な画面を作り出す
●サブウーファー付き2.1chオーディオ内蔵で迫力のサウンドを再生
EX3210U-JPは32インチの4Kでリフレッシュレート144Hzに対応するハイエンドゲーミングディスプレー。HDMI 2.1を2基搭載しPlayStation 5など家庭用ゲーム機との接続にも適している。量子ドット技術、DisplayHDR 600対応、DCI-P3色域98%カバーと、ハイエンドならではの表現力が魅力。BenQではお馴染みのリモコン付属でOSD操作性も◎。
■Amazon.co.jpで購入
BenQ MOBIUZ EX3210U ゲーミングモニター (31.5型/4K/IPS/144Hz/PS5対応/2.1chスピーカー/マイク搭載/量子ドット/FreeSync Premium Pro/輝度自動調整/高さ調整)
(次ページ:10万円以内で購入できるおすすめディスプレー)
■コスパ優秀なモデルから一芸を持った製品まで
10万円以内で購入できるおすすめディスプレー
前頁で特にオススメの3製品を紹介したが、ゲーミングディスプレーの製品ラインナップ層はかなり厚く、オススメの製品がまだまだある。ここでは各々特徴を持った、オススメの4モデルをチョイス。
高コスパの湾曲ディスプレー
JAPANNEXT「JN-VCG30202WFHDR-N」

解像度2560×1080(WFHD)の30インチ湾曲ウルトラワイドパネルを搭載。リフレッシュレートは200Hzに対応。曲率1500Rで包み込むような没入感を得られるのが特徴だ。映像入力が4系統あり2入力同時表示(PBP、PIP)にも対応。
■Amazon.co.jpで購入
JAPANNEXT 30型 ウルトラワイド WFHD(2560x1080)曲面ゲーミングモニター 200Hz対応 JN-VCG30202WFHDR-N HDMI DP
圧倒的なリフレッシュレート
MSI「G253PF」(ドスパラ限定モデル)

380Hz高リフレッシュレートに応答速度1msの圧倒的なゲーミング性能が最大の特徴。FPS/TPSで真価を発揮するゲーミングディスプレーだ。G-SYNC CompatibleやDisplayHDR 400など基礎部分もしっかりカバーしている。
■販売ページ
27インチWQHDに豊富な入力端子
GIGABYTE「M27Q P」

27インチWQHD、165Hz、1ms、FreeSync Premiumといった模範的ゲーミング性能に加え、USB Type-C映像入力やKVM(PC切り替え)といった機能を併せ持つ。DisplayHDR 400やDCI-P3色域98%など画質面でも抜かりなし。
■Amazon.co.jpで購入
ゲーミングモニター GIGABYTE M27Q P Gaming Monitor (27型/SS IPS QHD(2560 x 1140)/平面モニター/165Hz(OC 170Hz)/1ms)
27インチの4Kゲーミング
LGエレクトロニクス「UltraGear 27GP95R-B」

27インチの4Kパネルを搭載。リフレッシュレート144Hzに応答速度1msとゲーミング性能は十分。DisplayHDR 600対応で表現力もかなり高く、ハードウェアキャリブレーション対応で正しい色彩を継続維持できるのが強み。
■Amazon.co.jpで購入
LG ゲーミングモニター UltraGear 27GP95R-B 27インチ/4K/Nano IPS/1ms(GtoG)/144Hz/HDMI 2.1対応/G-SYNC Compatible,FreeSync Premium Pro/Vesa DisplayHDR600/DCI-P3 98%/HDMI×2,DisplayPort/ピボット,高さ調節対応
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