◆富士スピードウェイにミュージアムがオープン!

 富士スピードウェイを中心に、レストランや温浴施設など“子供から大人まで”モータースポーツ文化が楽しめる施設を設置して「未来のモビリティ・モータースポーツの街」を創出する「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクト。その施設の1つ「富士モータースポーツミュージアム」をご紹介します。


レース前に絶対見たくなる! 富士モータースポーツミュージアムのクルマたち
富士スピードウェイ
富士モータースポーツミュージアムの入った建物の全景
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富士スピードウェイ
富士モータースポーツミュージアムは、高級リゾートホテルと併設されている
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富士スピードウェイ
入口には横置きされたトヨタ7がお出迎え

 「富士モータースポーツミュージアム」は、サーキットに隣接するリゾートホテル「富士スピードウェイホテル」の1~2階に併設されている施設です。

名車「トヨタ7」が出迎えるエントランスが衝撃的であるとともに、普段見ることができない姿まで観察できます。


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入館料の看板

 入館料は……
・大人(18歳以上):平日1800円/休祝日2000円(オンラインは予約は1600円/1800円)
・中高生:平日900円/休祝日1000円(オンラインは予約は800円/900円)
・小学生:平日700円/休祝日800円(オンライン予約は600円700円)
・障がい者手帳など提示の場合:各通常料金の半額(付添い1名まで半額)で、チケットの当日購入も可能ですが、催事など混雑時は事前予約が優先されるようです。


◆モータースポーツの歴史130年を振り返る

レース前に絶対見たくなる! 富士モータースポーツミュージアムのクルマたち
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1階フロアの様子(一部)
レース前に絶対見たくなる! 富士モータースポーツミュージアムのクルマたち
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2階フロアの様子(一部)

 同館はモータースポーツ黎明期から現代までの130年間の歴史を、約40台の展示車で振り返るという内容。展示車両は定期的に入れ替えられるようで、国内外自動車メーカー10社の協力のもと、「クルマづくり」にモータースポーツが果たした役割、という視点からその系譜を紐解いていきます。


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 1階部分はモータースポーツ黎明期に輝いていた車両が展示されています。入ってすぐに、世界初のモータースポーツ優勝という栄誉を得た、フランス最古の自動車会社「パナール・エ・ルバッソール」のType B2(1899)が出迎えます。搭載するエンジンは、3562㏄の水冷直列4気筒で、最高出力は12馬力!


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 スタッツ・ベアキャットのシリーズFは、戦前最高のアメリカンスポーツカーとして知られるクルマ。

1911年の第1回インディ500マイルレースでは11位、13年には3位に入賞すると、14年からは市販化開始。その後、1928年のル・マン24時間レースでは2位を獲得しました。


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 サンビームのグランプリ(1922年)は、1920年代のモータースポーツシーンを代表する1台。英国車で初めてDOHC機構を搭載した2リットル直列4気筒水冷エンジンは、最高出力88馬力を発生しました。当時は前輪ブレーキの装着は操安の妨げになると考えられていたのですが、サンビームは制動距離短縮化のために前輪ブレーキを装着。その結果、自動車にとって制動が大事であることを認識させ、前輪ブレーキ装着の礎を築いたのでした。


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 ブガッティ・タイプ35B(1926年)も展示されていました。2.3リットルの直列8気筒SOHCエンジンにはスーパーチャージャーが搭載され、その最高出力は130馬力。排気量2リットル版もあり、それぞれに自然吸気と過給機付きも設定され、アマチュアドライバーに向けて多数販売されました。様々なレースで勝利を挙げたレーシングカーの傑作です。


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 さて、トヨタに目を向けると、レーシングカーの開発は1951年の始まります。トヨペットレーサーは、トヨペットSD型乗用車をベースに、大阪トヨタ自動車(1号車)と愛知トヨタ自動車(2号車)によって2台制作されました。

残念ながらレースの舞台に出ることはなかったようですが、当時から「優れたクルマを作るにはレース活動が不可欠」という考えがあったようです。


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 日本車が世界で活躍したのは、1960年代に入ってから。なかでもHondaのF1参戦・優勝は衝撃的でした。富士モータースポーツミュージアムでは、1965年に日本初のF1優勝マシンであるRA272を展示。さらに、日本人ライダーとして世界選手権初勝利を遂げたほか、WGPのメーカータイトルを獲得したRC162も展示されていました。


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富士スピードウェイ

 1962年に鈴鹿サーキット、1965年に富士スピードウェイが開業し、日本でもモータースポーツが一般的になっていきました。

トヨタ7は、1969年日本グランプリに向けて開発された車両で、同年開催された日本カンナムレース(ワールドチャレンジカップ・富士200マイル)にて、川合 稔選手が日本車および日本人ドライバーとして初優勝しました。


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 ポルシェ904カレラGTS(1963年)は、GT2クラスで戦うことを視野に開発された車両。ポルシェとしては初めて鋼板製梯子型フレーム構造を採用しました。写真の個体はF1用の水平対向8気筒エンジンを搭載した、世界で2台しかない貴重なものだとか。そして展示車は1964年のタルガ・フローリオでクラス優勝した車両そのもの。貴重性ゆえ、現在は展示が終了しているようです。


◆2階はレースカテゴリーごとの展示で見やすく

 2階フロアへ上がると、展示内容はカテゴリーごとに分かれていました。


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 トヨタ/セリカGT-FOUR(ST185)は、1990年に日本車で初めてWRCドライバーズ・タイトルを獲得した傑作機。展示の車両は1993年製で、この年、ユハ・カンクネンによるドライバーズタイトルと日本車初のメーカータイトルというダブルタイトルを獲得しました。


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 そして日本車にとって、世界の壁の厚さを実感させたのがル・マン24時間レースです。中でも忘れられないクルマが、日本車として初めて総合優勝を果たした1991年のマツダ787B。そして1999年、日本人トリオがレース終盤でトップを猛追するもののタイヤバーストで2位に終わったトヨタGT-Oneでしょう。この2台は見ているだけで胸が熱くなる人が多いのでは?


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 モータースポーツの頂点といえるF1。

日本ではHondaのイメージが強いですが、2002年から2009年までトヨタも参戦していました。エンジンはもちろん、シャーシまで自社制作する体制で、最高成績は2位が5回と、優勝こそ叶いませんでしたが存在感をみせつけました。写真のTF109は、2009年の最終戦アブダビGPで小林可夢偉選手が6位入賞を果たした車両です。


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 日本ではSUPER GTが最も人気のカテゴリー。富士スピードウェイでも年に2回の大会が行なわれています。「富士モータースポーツミュージアム」では、過去活躍したマシンがいくつか展示されていました。


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富士スピードウェイ

 「富士モータースポーツミュージアム」はその名のとおりレーシングカーが中心で、量販車はあまり多く飾られていません。そのような中、HondaのNSX-R(1996年)がチャンピオンシップホワイトの輝きを放っていたことをご報告します。


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富士スピードウェイ

 日本発祥のモータースポーツといえばドリフト。ここではHKSオイルカラーのGRスープラが展示されていました。富士スピードウェイでも、時々ドリフトの大会が開催されています。


レース前に絶対見たくなる! 富士モータースポーツミュージアムのクルマたち
富士スピードウェイ

 日本人にとって海外のモータースポーツというと、ヨーロッパのレースがメインで北米のIMSAシリーズやインディカーシリーズ、NASCARの話はあまり伝わってこなかったりします。施設内では、これらのマシンも展示されていました。


◆富士山をイメージしたお土産やコースが見えるカフェも

レース前に絶対見たくなる! 富士モータースポーツミュージアムのクルマたち
富士スピードウェイ
ミュージアムショップ
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富士スピードウェイ
オススメはバウムクーヘン

 3階にはミュージアムショップとカフェが併設されていました。ミュージアムショップではミニカーなどクルマ関係のもののほか、富士山の形をした陶器なども販売され、土地柄を感じさせるものがありました。


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カフェ(店内の様子)
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カフェメニュー
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カフェ(テラス席の様子)
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テラス席などからは、最終コーナーが見渡せる

 ミュージアムで歩き疲れたらカフェで一休み。眼下には富士スピードウェイの最終コーナーが一望できます。晴れていればテラス席も利用可能ですが、催事時には貸し切り営業になることもあるとのこと。


 ハイソサエティな空間で、ゆったりとモータースポーツの歴史を学ぶことができ、そしてモータースポーツに思いを馳せる施設。一度足を運ばれてはいかがでしょうか?


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