BMWのオープンカー「Z4」(ツェット・フィーア)の2023年モデルが上陸! ASCII.jpでは過去2度Z4を取材していますが、今回用意したクルマが、取材済みの3L直6ターボエンジン車ではなく、2L直4ターボエンジン車ということもあり取材を慣行! 以前、直6エンジンモデルを試乗し、「次にクルマを買うならZ4がイイ!」というオープンカー好きである女優・新 唯(あらた・ゆい)さんとともに、直4モデルの違いも含めてレポートします!
◆現行Z4はトヨタ・スープラと兄弟車

現行のZ4が日本に上陸したのは2019年のこと。トヨタと協業で開発、トヨタ側はクーペボディーのGRスープラ、BMW側はオープンボディのZ4と棲みわけされ、両車はマグナシュタイヤーのオーストリア・グラーツ工場で生産されています。
ラインアップは大きく分けて3L直6ターボエンジン搭載の「M40i」と、2L直4ターボエンジン車の「sDrive 20i」の2種類。
気になるのはマイナーチェンジの内容。M40iのほうは、高回転型にチューンされて最高出力が47PSアップしたという魅力的なもの。sDrive 20iは、最高出力はそのままにWLTCモード燃費を12.6km/Lから14.4km/Lへと改善。昨今の燃料代高騰の折りにはうれしい改良です。あとはエクステリアを変更した模様。
ということで、美意識の高い唯さんにチェックしてもらったのですが「どこが変わったんですか?」とわからない様子。そこで以前の写真(上の写真)と見比べながら、ご紹介しましょう。
◆メッシュの形状やヘッドライトの内部の色など細かい変更点

まずはキドニーグリルの内部が縦長メッシュへと変更。水平基調をよりアピールしています。「確かに、こっちの方がカッコいいかもですね」と唯さん。

続いてフロントバンパーグリル左右の内部デザインを、スッキリとした意匠へと変更。「確かに変わっている!」と、間違い探しを見つけた時のような喜びの声を挙げます。

そしてヘッドライトの内部がシルバーからブラックへチェンジ。「コントラストがついてカッコよくなりましたね! 私、白いクルマが好きなのですが、黒いヘッドライトだと引き締まって見えて良いと思います」と笑顔をみせます。外装上の変更点は以上3点。「え? それだけですか?」と言いますが、それだけ完成度の高いクルマというわけです。




エンジンフードを開けて、直4ターボエンジンを拝むことにしましょう。「小さくなりましたね」という唯さん。それもそのハズ、前軸重で6気筒より60kgも軽量化しています。さらにエンジンを運転席側に寄せているため、フロントミッドシップ化も達成。これは運動性能に大きく影響しそうです。





今回の試乗車には、ファストトラックパッケージ(19万9000円)、セレクトパッケージ(19万9000円)、Mライトアロイホイール・ダブルスポークスタイリング799M<ジェットブラック>(18万1000円)という3つのオプションがついていました。
ホイールは上位モデルと同じデザイン、同じ大きさになるもの。
ファストトラックパッケージは、「Mスポーツブレーキ」や電子制御連続可変ダンパーの「Mアダプティブサスペンション」、そして内装の一部を変更するというもの。ホイールの隙間から見えるブルーのキャリパーがその証なのだとか。
なお、外観上で見分ける場合はリアラゲッジのエンブレムと、キャリパーの色(M40iは赤)、ホイールの色程度。「サスペンションとキャリパーが変わるファストトラックパッケージって、かなりお買い得では?」と思うのは、スタッフだけではないのでは? セレクトパッケージについては後ほどご紹介します。
◆車内はあまり変わらないが上質さも変わらず















室内は今までと変わりはなく。

唯さんは久々となるZ4に「この感じ、久しぶりです。白のレザーがイイですね。白レザーのクルマ、憧れるんですよ」と笑顔。うれしいのは、この白レザーがオプションではなく、標準で選べるところ。


唯さん的にお気に入りは、シートベルトのステッチ。こちらはファストアタックパッケージを選ばないとついてきません。イイなと思ったのは、ベルトクリップがマグネットキャッチなところ。細かいところですが、こういう気配りがBMWのよいところ。


夜になると紫のイルミネーションが点灯。「なんか妖しいですね」と唯さんは苦笑い。「ボディーの色と合わせているのかな」というように、これは色の変更が可能です。ここら辺はお好みでどうぞ。





セレクトパッケージに含まれているものはステアリングホイールヒーティング、地上デジタルTVチューナー、そして写真のharman/kardonサラウンド・サウンド・システムの3点。スピーカー12個に7チャンネルのサラウンドシステムという豪華なもの。その近くには、ハンドバック程度なら収納できるスペースが設けられています。また、小物入れも用意されています。小物入れといえば、助手席の足元にもありました。



ルーフは自動開閉で動作速度は約10秒。50km/hまでなら走行中でも開閉動作が可能です。変な動作音もなく、動きは実にスムーズ。






リアのラゲッジスペースはゴルフバッグ2個は入りそうな容量が確保されています。「私が乗っているNDロードスターよりも、ラゲッジが広いのがイイですね」と唯さん。トランクスルーにも対応しており、長物を納めることもできます。この使い勝手のよさが、Z4の魅力といえるでしょう。オープンカーは実用的ではなく使いづらいというのは、2座であるという点を除けば、そんなことはありません。
◆走行モードは4種類で、走るシーンに合わせてチョイスできる




走行モードは、エコ、コンフォート、スポーツと多彩。スポーツには更にスポーツプラスが用意されています。ダンパーやステアリング、エンジン、トランスミッションと調整項目が多く、よい意味でマニア心をくすぐります。

とはいえ、まずはコンフォートから走行開始。「やっぱりZ4はイイな! めちゃくちゃ楽しい」と満面の笑顔の唯さん。「クルマは楽しくなくちゃ! オープンカーは楽しくていいですよね」と街を駆けぬけます。コンフォートモードの乗り味は、段差などでは結構上下運動しますが、突き上げ感が柔らかく、ズバリ乗用車そのものといったところ。

スポーツにすると足は引き締まり、スポーツプラスにすると、さらに引き締まる上に、シフトダウン時にブパバババン! とアンチラグ音を響かせます。「この演出、イイ感じ! 運転がうまくなったみたい(笑)」と、気持ちを昂らせている様子。「走っている時の排気音がイイですね。耳障りではなく、車内の会話も問題ありません。それでいながらしっかり主張する上品な低音がオトナって感じがします」とのこと。
この排気音やアンチラグ音ですが、なんとなくスピーカーからの演出音のような気も。というのも外で聞く音と室内音がまったく異なるから。


「クルマは大きいんですけれど、運転しはじめるとあまり大きさは感じないですね。気になったのは、ブレーキペダルとアクセルペダルの前後関係で、アクセルが思ったより奥にあって最初は戸惑いました。あとブレーキのフィーリングも、結構初動の立ち上がりが鋭いので、滑らかに走らせるまで慣れが必要かな。気になったのはその程度です」とペダルまわりに違和感を覚えたようです。
さて、気になる直6エンジンとの差。「うーん、どうだったっけ? フフフッ」と笑ってごまかされてしまいました。ここで同行スタッフが違いをご紹介しましょう。
まず気づくのは動きがまったくことなるという点。直4モデルは明らかに軽快でコントローラブル。一言でいえば「シャーシが速いクルマ」といえます。BMWらしい大地に根を張ったような重厚なフィールは直6モデルの世界。言うまでもなくパワーで押し切っていくという走りで、その加速は怒涛という言葉が相応しいところ。
直6はシルキーで振動が直4より少ないと言われています。ですが、実のところ「言われてみたら直4の方が振動が多いかもしれない」という程度の差しか感じませんでした。直線基調の高速道路でのクルージングでの余裕度であったり、追い越し加速の力強さで「直6いいなぁ、快適だなぁ」とは思うのですが、別に直4は非力だとは思わなくて。むしろ首都高環状線では、逆に運動性能に勝る直4モデルの方が好ましいとも。

「BMWらしい重厚さを得るか、運転の楽しさを選ぶか」というのが、直6モデルと直4モデルでの難しい悩みというところ。筆者は軽快な直4モデルにファストトラックパッケージなどのオプションをつけたモデルを選びたい、と言いたいのですが、それでも後ろ髪をひかれる思いもあるのも事実。こういう悩みって、実は楽しかったりするんですよね。

「運転していて楽しくて、助手席に座っても快適なZ4。やっぱりいいなぁ」という唯さんの言葉に嘘偽りなし。「ボディーカラーもインテリアもホワイトのZ4、憧れます」と新たなる夢を抱いた唯さん。誕生から3年半が経ち、より魅力度を増したZ4、唯さんではありませんが、確かに今、イチバン欲しい1台です!



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