ロータリーエンジンやロードスターのイメージが強いマツダですが、会社の屋台骨を支えているのはSUVであることに異論の余地はないと思います。その中でイチバン売れていると言われているのが「CX-5」です。
筆者はズバリ申し上げます。「買うならFIELD JOURNEYのディーゼルエンジン仕様しかない」と!
アウトドアを意識したFIELD JOURNEY
CX-5のFIELD JOURNEYが登場したのは2021年のこと。同社HPによると「冒険心を掻き立てるアウトドアスポーツギアのようなデザインと、磨きぬいた機能性。(中略)家族や仲間と、都会から自然へ自由に行き来して、日常生活もアウトドアライフも楽しみたい。そんな想いに応えるモデルです。」として誕生しました。これによりベーシックグレードのほか、スポーティーな雰囲気のモデル、上質さを求めたモデル、そしてアウトドア志向のモデルという全方位ラインアップができ上がったというわけです。
四輪駆動車というとアウトドアやラフロードといった非日常シーンでの利用イメージが強いですが、普段使いでも大きなメリットがあります。それは雪道や降雨の高速巡行時における高い安定性。四駆だからハイドロプレーニング現象は絶対に起きない、雪道でもガンガン進む、というわけではありませんが、二輪駆動車(特に後輪駆動車)よりも安心度は高いのは間違いありません。
「それなら、ほかのCX-5の四駆モデルでもいいじゃないか?」というと、いやいや、それ以外の面で「買うならFIELD JOURNEYしかない」があったりするのです。それではご紹介しましょう。
クロスオーバーSUVならではの使い勝手の良さ

まずは見た目から。CX-5のボディーサイズは全長4575×全幅1845×全高1690mmと使いやすいサイズで、なるほど売れるのも納得。FIELD JOURNEYのみの意匠として、フロントグリルにライムグリーンのアクセントが取り付けられたほか、前後ロアガーニッシュを金属調に仕上げてスキッドプレート風として、一層の力強さを演出しています。



次に走りの面から。マツダ・インテリジェント・ドライブセレクト(Mi-DRIVE)という走行モードセレクターに、FIELD JOURNEYのみオフロードモードが追加されています。四駆の駆動制御や変速マネジメント、アイドリング回転数などがラフロード向けになるとのこと。実際に片輪が浮くような駆動がない状態から脱出できるというからすごい。写真のようなデモンストレーションは三菱自やSUBARUといった「ガチ四駆勢」がアピールしがちで、それ自体特別なことでもないのですが、マツダ車で行なわれるととても新鮮です。

また、ほかのモデルがトーヨータイヤのサマータイヤであるのに対して、FIELD JOURNEYのみヨコハマのオールシーズンタイヤを装着。それゆえ足回りには専用セッティングがなされているとか。
エンジンは2L 直4ガソリンターボと2.2L 直4ディーゼル直噴ターボの2種類。今回お借りしたのはディーゼルエンジン仕様で、最高出力は200PS、最大トルクは45.9kgf・mとハイパワー。ちなみに、2L 直4ガソリンターボの最高出力/最大トルクは156PS/20.3kgf・mなので、パワーと経済性(燃料代)の面でディーゼル一択という気分。
インテリアは特別感のあるデザインで満足


インテリアも専用装備がいっぱい。ライトグレーのシートは六角形のエンボス加工がなされているほか、汚れに強い素材が使われているとのこと。シートにはライムグリーンのステッチなどがなされており、特別感を演出しています。



特別感といえばエアコンの送風口付近に、ライムグリーンの加飾がなされているのですが、よく言えば若々しく、悪く言えばなくてもいいかも。でも1日乗っているうちに慣れてきました。


最近減りつつある、レバー式のドライブセレクター。エアコンの操作も分かりやすくて、実にイイ感じ。なんでもディスプレイで……という時代になりつつありますが、使いやすいのはこちらです。

その下にはインフォテインメント用のマルチファンクションダイヤルが置かれます。インフォテインメントはタッチパネルディスプレイではないため、操作する際はダイヤルをグルグルしたり前後左右に動かさなければならないのです。これで目的地を入力するのが非常に面倒。まず平仮名五十音順の「あ」が左上にあるうえに、入れても出てこなかったり……。




我慢ならず、スマホとつなげてApple CarPlayやAndroid Autoを使うことにしました。ちなみにスマホトレイはワイヤレス充電に対応しており、ワイヤレスCarPlayに対応していますから、iOS系ならアームレスト内のUSB Type-A端子をつなげなくても使うことができます。ですがAndroid Autoはワイヤレス接続できないようで、スマホは必然的にアームレストの中へ……。

このアイコン選択もマルチファンクションダイヤルをグルグルしなければならず。今度はアイコンが小さいものだから「カーソルはどこだ?」となったりしてイライラ。タッチパネルディスプレイにしないのは、「安全のため運転中に操作させない」という配慮らしいのですが、ちょっとやりすぎのような……。
◆後席は広々としてシートヒーターもうれしい






後席は広くて文句ナシ。いいなと思ったのは、アームレストを出すとUSB充電コネクターのほか、シートヒーターのボタンがあったこと。たとえばスキー場などで、スキーウェアのまま乗ったりした時に、このシートとシートヒーターはとても良さそう! ちなみに筆者はスキーをしたことはありません。






ラゲッジをチェックしましょう。
◆都内と宮城県を往復してわかったメリット・デメリット

こんなアウトドアにピッタリなCX-5 FIELD JOURNEYのディーゼルエンジン仕様で、長距離ドライブとして、都内から宮城県のスポーツランドSUGOまで往復してみました。
オールラウンドタイヤゆえ、ほかのCX-5に比べると少しロードノイズは多め。ですが、オールラウンドタイヤ特有の高周波っぽい音は抑えられているし、無茶なことをしない限り、腰砕けのようなそぶりもしません。
乗り心地はフラットライドのひとこと。もちっとした柔らか乗り味は、シートのデキの良さと相まって、疲労度がとても少ない。何より直進安定性がすこぶる高い上に、クルーズコントロールもキッチリ動いて、長時間ドライブも実に快適そのもの。

燃費だってライバルのハイブリッド車と変わらないリッター19kmを記録するし、しかも軽油だから燃料費が安い! 長距離移動がメインなら、CX-5を選ばれることを強くオススメしたいほど、気に入ってしまいました。

ただ、ナビが……。スポーツランドSUGOへ行くには、東北自動車道 村田ICではなく、菅生パーキングエリアにあるスマートICで降りるのが近道なのですが、村田ICを過ぎて菅生PAについても、純正ナビは「次の仙台南ICで降りて、また東北道に乗って村田ICへ行くように」と頑なに指示する強情ぶり。

さらに困ったのが、夜間におけるインフォテインメントディスプレイの輝度。自動で変わるのですが、デフォルト状態だと煌々と灯って逆に危ないような。もちろん手動で調整はできるのですが、最も暗くしても、他社のデフォルトより明るいように感じました。
高速道路はわかった。なら一般道は? というとトルクたっぷりなので、はっきり言って速い! しかも実にコントローラブルで、気持ちのよい走り。ラフロード仕様だから遅いとかそんなことは皆無です。エンジンの吹け上がりもよく、それでいて振動も少ない。5年前のガソリン車という感じで、ディーゼルだからガラガラと音がして、振動が大きいというのは過去の話なのです。

アウトドア向けというイメージが強いFIELD JOURNEYグレード。ですが、雨などで汚れた服を着たままクルマに乗れそうですし、長距離ドライブで安定感のある走りは、アウトドア愛好家だけではもったいない! 以前、ほかのグレードのCX-5にも乗ったときに確かにイイナと思ったのですが、さらに上を行く良さだったことを申し上げます。
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