2024年のSUPER GT第7戦が10月19~20日にオートポリス(大分)で開催。グランツーリスモ世界王者の経験を持つ冨林勇佑が乗り込む9号車「PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG」は、天候不良により日曜朝に行なわれた予選で、冨林が渾身のアタックを披露し6番手を獲得!
決勝レースは4度セーフティーカーが出る波乱の展開の中で、終盤にはミッション系のトラブルも発生するなど難しい展開となり、最終的にGT300クラス20位でレースを終えた。
濃霧でコースが見えない! 予選は翌日に延期
今回の舞台となったのは、大分県と熊本県の県境に位置するオートポリス。山間部に建設されたサーキットで、非常にアップダウンが激しいコースとしても知られている。
ここまでポイントを獲得できていない9号車としては、ライバルのサクセスウェイトが重くなっている今回で少しでも上位に行きたいところだったが、土曜日はまたしても“悪天候”によりスケジュールが変更される。
朝の公式練習は、濃霧となりセッションキャンセル。誰も事前に走行ができていないことを考慮して、午後の公式予選は計時方式(決められた時間内で自由にアタックをし、そこで記録されたベストタイム順でグリッドが決定する方式)に変更された。しかし、お昼過ぎあたりから大雨が降り始め、一時は屋外に出るのも困難なほどの雨量に。さらにサーキットから3kmのところで落雷も確認されるなどの荒天となった。
約1時間にわたってスコールのような雨に見舞われた影響で、グラベルゾーンの土砂がコース上に流れ込む事態により、仮に雨が止んだとしてもレーシングカーが走行できる状態ではないとして、この日の走行セッションはすべてキャンセルされることが発表された。予選は日曜日の朝に順延され、GT300クラスは8時から行なわれることとなった。
悪天候ではなくなった予選
前日の影響が残りつつも6位に
混乱の土曜日から一夜明け、日曜日の早朝から各チームがサーキットに集結。前日降り続いた雨は止んだものの、霧で視界は決して良くない状態。何とかレーシングカーの走行は可能という判断で、予定通り午前8時から30分間の予選が始まった。
路面コンディションは前日までの雨の影響で、ハーフウエット。さらに気温12度、路面温度13度の予想以上の寒さとなったため、まずはタイヤのウォーミングアップに各車とも力を入れた。
今回、阪口良平と藤原優汰の3人体制でエントリーしていた9号車。計時方式に変わったことで最低1人が出走すれば良いというルールに変更された。ここで予選のアタック担当を任されたのが冨林。セッション終盤でのタイム更新を想定して、タイヤを温めて残り10分を切って手応えを感じつつあった。
ところが、コースオフ車両が発生して残り6分のところで赤旗中断。再開までピットで待機となったが、せっかく温めたタイヤが冷えてしまい、再開後、必死に走るも満足いくパフォーマンスを引き出すことができなかった。
それでも最終的に1分48秒202をマークし、今季ベストとなる6番手を獲得した。冨林自身は「赤旗がなければ、もっといけた」と悔しそうな表情を見せていたが、限られた条件のなかで上位グリッドを獲得して帰ってくるところは、さすがだった。
予選後すぐの決勝レースは大荒れ!
チェッカーを受けたもののノーポイント
予選終了から数時間後には、決勝レースのスタート進行が始まり、慌ただしくレースに向けた最終準備に追われた。この頃になると霧も晴れてコースはドライコンディションに。気温14度、路面温度21度のなかで3時間レースが始まった。
6番グリッドスタートの9号車は阪口が第1スティントを担当。上位を目指していこうとするがライバルも手強く、10周を終えた時点で13番手まで後退。
その後、9号車は31周目に藤原に交代し、中盤も粘り強く走行。スタートから1時間50分が経過するところで2度目のピットストップを実施し、冨林が乗り込んだ。この時点で20番手と入賞圏から遠のくポジションではあったものの、少しでも順位を上げるべく追い上げを開始したが、走行中にミッション系のトラブルが発生。それでも何とかゴールまでマシンを運び、20位完走を果たした。
今回も満足いく結果ではなかった9号車。残る2戦で何とかポイントを獲得したいところだ。
なお、9号車が走るGT300クラスは、88号車「VENTENY Lamborghini GT3」が今季2度目の優勝を飾った。
GT500はDENSO SARDが4年ぶりの優勝!
au TOM'Sもランキング首位キープ
今回も熱戦が繰り広げられたGT500クラスは23号車「MOTUL AUTECH Z」が序盤からリードする展開となったが、度重なるセーフティーカー導入でそれまでに築いたリードがリセットされる不運な展開となった。
スタートから2時間を迎えたところでは、ライバルの動きに合わせて2回目のピットストップを済ませたが、この直後にアクシデントが発生し、3度目のセーフティーカー導入。このタイミングでピットに滑り込んだ39号車「DENSO KOBELCO SARD GR Supra」が逆転でトップに浮上。
またランキング首位を快走する36号車「au TOM'S GR Supra」は、98kgのサクセスウェイトを背負いながらも着々と順位を上げていく走りを披露。一時は表彰台圏内も視野に入れるペースをみせていたが、23号車と同様に3度目のセーフティーカー導入のタイミングが不利に働き、7位でフィニッシュとなった。
戦略面では悔やまれる部分もあったようだが、しっかりと4ポイントを加算してランキング首位をキープ。2年連続チャンピオンに向けて、また一歩前進した。
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