マツダミュージアムのエントランス。展示車両は時期により異なります

 原爆ドームに厳島神社、瀬戸内しまなみ海道など、世界的に人気の観光地・広島。

その中でクルマ好きなら1度は行ってみたいのが「マツダミュージアム」ではないでしょうか。筆者もそのひとりで、念願のマツダミュージアムに行ってきました!(なお、4月1日に部分改修し、一部展示物が変更になっていますのでご了承ください)


マツダ100年の歴史を感じる素敵な施設

 マツダミュージアムの入場は無料。ですが完全予約制ですので、フラっと行って立ち寄れる場所ではありません。まずはウェブサイトから予約をします。ちなみに基本的に平日のみで、時間は、日本語案内が09:15~11:15、英語案内が14:15~16:15です。


●予約サイト→https://www.mazda.com/ja/experience/museum/reservations/


 マツダミュージアムへのアクセスは、広島駅からJR山陽本線またはJR呉線に乗り2駅(約5分)、向洋(むかいなだ)駅で降り、徒歩5分にあるマツダ本社の中にあります。駐車場がありますのでクルマで行くこともできますが、必ず空いているわけではないので注意が必要です。ちなみに筆者の場合、都内からクルマで15時間ほどかかりました……。


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マツダ
マツダ本社ビル

 本社に到着したら1階受付で来場した旨を伝え、用意されたバス(無料)に乗りミュージアムへ向かいます。なお、乗車中に車窓から見える景色を撮影するのは禁止です。


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マツダミュージアムの入口
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マツダミュージアムのエントランス
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 エントランスの中はとても綺麗で、まるでマツダのディーラーに入ったかのよう。それでは展示スペースへ行きましょう。ちなみに、見学時は解説員が同伴します。


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マツダ
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 自動車メーカーの企業博物館はクルマをズラリと並べるタイプと、テーマごとに分かれて展示する会社の2つがあります。マツダミュージアムは後者で、創業期から現代まで、年代とテーマにより10のゾーンに分かれています。


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 それではオシャレな廊下を通って、最初の展示スペースへ向かいましょう。どこかタイムトンネルのような雰囲気です。


【ZONE 01】ものづくり精神の原点(1920~1959年)

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 最初のゾーンは1920年から1959年までの創業期の紹介です。マツダの創業者である松田重次郎の生い立ちと、そのプロダクトたちです。


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 1895年、広島で12人兄弟の末っ子に生まれた松田さんは、13歳で単身大阪の鍛冶屋に弟子入りします。その後、神戸や佐世保、呉の軍事工場を渡り歩き、31歳で「松田製作所」を設立。専売特許松田式ポンプなどのヒット商品を生み出します。


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 大阪で成功を収めた松田さんは40代半ばの1920年、広島に戻り、地元財閥の有力者たちによって発足した「東洋コルク工業」の経営に参画。翌年に2代目社長に就任します。


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 ですが1925年、工場が火災。1927年に復興するとともに、会社名を東洋工業に変更し、事業を工作機械などへと拡大します。

ミュージアムには当時生産していた削岩機やゲージブロックなどが展示されています。


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TCS型 三輪トラック(1935年)

 そして1930年。ついに自動車の生産に着手します。まずは当時身近だった二輪車や三輪車に目をつけ、自社開発の新エンジンをはじめ、すべての部品を国産化した三輪トラック「マツダ号」(DA型)を1931年に発売開始。マツダミュージアムでは、その改良型で、最大積載量が400kgへと拡大した三輪トラック「TCS型」(1935年)を展示。これはマツダが保有する最古の三輪トラックだそうです。


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GLTB型 三輪トラック(1956年)
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GLTB型 三輪トラック(1956年)の運転席

 東洋工業はその後、1960年頃まで三輪トラックを製造し続けます。時代を経るごとに高級化と高性能化が進んでいきます。GLTB型三輪トラック(1956年)は、運転席に巨大なウインドスクリーンを備えるといったキャビンが印象的な1台。さらにライトは2灯式になるなど、パッと見るとクルマと変わらないような。ですがハンドルはバーハンドル式だったりします。


【ZONE 02】自動車メーカーへの躍進(1960~1969年)

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R360クーペ(1960年)

 東洋工業が四輪車(乗用車)の生産を開始したのは1960年に誕生した「R360クーペ」から。軽自動車初の4サイクルエンジン(空冷V型2気筒OHVで、最高出力は16PS)のほか、2ペダルのAT車を設定するなど、当時の先進技術を惜しみなく投入した1台でした。

でありながら30万円という低価格で、当時、一般家庭にとって高値の花であったマイカーを手の届く存在に感じさせました。


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キャロル(1962年)

 R360クーペの次に登場したのは、軽自動車の本格ファミリーカー「キャロル」(1962年)。軽自動車では初となる水冷直列4気筒エンジン(最高出力20PS)をリアに搭載して、振動や騒音の低減を図ったほか、足周りはトーションラバースプリングの採用で、小型車並みの快適性を得たそうです。


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ボンゴバン(1966年)

 多目的車として誕生したボンゴはトラックとバンを中心に幅広いラインアップを揃えました。987cc水冷直列4気筒OHVエンジンをリアに配置することで、車体中央部の低床化を実現。また、同クラスのバンとしては初となるスライドドアを採用し話題を集めたそうです。


 こうして東洋工業は三輪トラックメーカーから、多種多様なクルマやエンジンを有する総合自動車メーカーへと成長していきました。


【ZONE 03】国際的な企業へ(1970~1985年)

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ルーチェ(1966年)

 軽自動車から小型車へと拡大した東洋工業の自動車ラインアップ。その当時の最上位セダンが「ルーチェ」(1966年)です。ベルトーネデザインの流麗なボディーに、1490ccクラス初となる水冷直列4気筒SOHCエンジンは、クラストップの性能を発揮。国際的にも通用する立派な車格と高い性能で、欧州輸出の先鞭を切りました。


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コスモスポーツ(1967年)
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10A型ロータリーエンジン

 そして1967年。東洋工業は世界で初めてロータリーエンジンの量産化に成功! 未来的なスタイルのボディーが印象的なスポーツカー「コスモスポーツ」に搭載しました。

ルーチェの2倍以上の価格(148万円)と相まって、東洋工業の先進性や技術力を象徴するイメージリーダーとして人々の心をつかみました。


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1/2コスモスポーツ線図

 マツダミュージアムでは、コスモスポーツの1/2の線図(船体線図)が展示されています。線図は船舶のような複雑な形を表す図面で、手書きで描かれたそれは、まるでアートのよう。なお、マツダは今でも線図でデザインをしているそうです。


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サバンナ(1971年)

 ロータリーエンジン専用車として登場したスペシャリティーカー「サバンナ」(1971年)。翌年にはGTグレードが追加され、パワフルな12Aエンジンと5速MTでスポーツカーのイメージが定着しました。またサーキットでも活躍し、1976年には国内レース通算100勝を達成しました。


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コスモL(1977年)

 1973年に発生したオイルショックにより、東洋工業は「燃費の悪いロータリーエンジン」というレッテルを貼られ、販売台数が大幅に下落しました。そこで登場したのが、起死回生のロータリーエンジン搭載車「コスモAP」です。コスモAPは人気を博したのですが、東洋工業はボディー後半部分を、ランドウトップと呼ぶビニールレザー貼りのトップ+ノッチバックとしたバリエーションモデル「コスモL」を市場投入。


 主にアメリカのラグジュアリーカーで採用されていたランドウトップを、日本車として初めて本格導入したことで話題を集めました。


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サバンナ RX-7(SA22C)(1978年)

 コンパクトなロータリーエンジンの特徴を最大限に表現したスポーツカー。

第1次オイルショック以降に、マツダが復活のプロジェクトとして掲げた「フェニックス計画」で燃費を50%近く改善し、新しい排気ガス規制もクリア。モータースポーツでも大活躍し、東洋工業とロータリーエンジンの復活を強く印象付けた1台です。


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ファミリア(5代目)(1980年)

 マツダとしては初となるフロントエンジン・フロントドライブ方式を採用した5代目「ファミリア」。広い車内空間と快適装備、そしてスポーティーな走りで若者を中心に高い支持を集め、その人気は3ドアハッチバック車のルーフにサーフボードを載せる「陸サーファー」という社会現象を起こしました。また第1回 日本カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれています。


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サバンナ RX-7(FC3S、2代目)(1985年)

 1984年に企業名とブランド名を統一し、「マツダ株式会社」へと社名変更。その翌年に、より大人のスポーツカーへと進化した2代目「サバンナ RX-7」が登場しました。


 エンジンはツインスクロールターボ付きの13B型で、205PSを発生。ボンネットや足回りにアルミ材を用いることで軽量化も達成し、高い運動性能を発揮しました。1987年にはロータリーエンジン誕生20周年を記念した2シーターオープンの「カブリオレ」が登場しました。


【ZONE 4】企業の威信をかけた世界への挑戦

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マツダ

 マツダはモータースポーツでも活躍しました。マツダミュージアムでは、その一端に触れることができます。


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マツダ

 マツダのモータースポーツ活動は1960年代のツーリングカーレースにまでさかのぼります。

その舞台は日本のみならず、本場である欧州へ。1968年、ドイツのニュルブルクリンクで開催された「マラソン・デ・ラ・ルート84時間レース」に、2台のコスモスポーツで参戦。1台は残り3時間で駆動系トラブルによりリタイアしましたが、もう1台は4位フィニッシュ。ロータリーエンジンの信頼性、耐久性を証明しました。


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ファミリアプレストロータリークーペ(1969年)スパ・フランコルシャン24時間レース仕様

 ほぼ時を同じくして、スパ・フランコルシャン24時間レース(ベルギー)に、4台のファミリアロータリークーペで参戦。レース中盤に31号車がトップに浮上し、ほかの3台も上位を快走。10Aロータリー×2という1リッターに満たない小さなエンジンながら、「ポルシェ 911」などを相手に健闘し、69年は5&6位、70年は5位に入賞しました。


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サバンナ RX-7(1978年)グループB仕様

 戦いのフィールドはラリーへも。当時のWRC(世界ラリー選手権)の最高峰クラス「グループB」規定で作成したサバンナ RX-7で参戦します。デビュー戦は1984年のアクロポリス(ギリシャ)で9位完走。その翌年には総合3位に入りました。当時、WRCは四輪駆動がメインだった時代なので、そこに後輪駆動車が表彰台に登ったことは快挙でした。その2年後の1987年、マツダはファミリア4WDでWRC初優勝を果たします。


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マツダ 787B(1991年)
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 そしてマツダのモータースポーツ活動で忘れてはいけないのが、1991年のル・マン24時間耐久レースの総合優勝でしょう。マツダ初のカーボンモノコックを採用したマツダ787を徹底的に改良。コーナリング性能やブレーキ性能を大幅に向上させました。予選19位からスタートした55号車は、メルセデスやジャガーと競いながら21時間目にトップに立つと、そのままチェッカー。翌年からロータリーエンジンの禁止という崖っぷちの状況の中、日本車初の栄冠を手にしました。


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R26Bエンジン(1991年)

 ル・マンを制した最強のロータリーエンジンR26B。1990年に「従来のエンジンに比べて100PSアップ」を目標に、654cc×4ローターで構成され、最高出力700PS(9000rpm)/最大トルク62kgf・m(6500rpm)を達成。マツダ 787Bに搭載された91年版は、さらなるレスポンス改善と燃費向上、信頼性・耐久性の強化が図られました。


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 ピットガレージを模した展示エリアには、当時のスタッフが着用していたであろうウェアのほか、栄光のトロフィーが飾られています。しかも手で触れられそうな距離に!


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 また当時ピットで使われていたであろうツールボックスまで。ちなみにKTC製で、一見とても綺麗なのですが、あちらこちらに傷が。マツダスピードのメカニックたちを支えたツールボックスを見るだけでも感動します。


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当時のアスキーの雑誌「ログイン」はマツダ787Bを応援していました!

 マツダの至宝にして、日本モータースポーツ界の金字塔であるマツダ 787B。本物だけが持つスゴみがあり、見た人は体の震えが収まらないのでは? 事実、ほとんどの来場者が写真を納めるのだとか。なお、当時のアスキーが発行していたPC雑誌「ログイン」もマツダ 787Bを支えていたんですよ。ぜひここも撮ってください。


【ZONE 5】さらなる飛躍を目指した拡大戦略(1986~1995年)

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 マツダ787Bで興奮してしまいましたが、こちらも懐かしいクルマばかりで興奮してきます。1986年以降のマツダ車を見ていきましょう。


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ファミリアカブリオレ(6代目)(1986年)

 マツダ初のフルオープンカー「ファミリアカブリオレ」。4人乗りのスタイリッシュなボディーにターボエンジンを搭載。快適なオープンエアードライブが楽しめる1台でした。1987年にマイナーチェンジし、エンジンはDOHCの自然吸気へと変更。このソフトトップボディーでの知見が、のちのNA型ロードスターの開発に活かされたそうです。


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ユーノス ロードスター(1989年)

 オープン2シーターの世界的ブームを作り出した「ロードスター」。初代は累計生産台数43万台を超える世界的ヒット作となり、2代目の途中で「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネスに認定されています。


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走行距離が10km台!

 驚いたのは、この展示車の走行距離が10km台であったこと! おそらく現存するNAロードスターで最も走っていないクルマでしょう。


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マツダ
ユーノス コスモ(4代目)(1990年)

 史上最高のロータリー車を目指して誕生したクーペ「ユーノス コスモ」。量産車として世界初の3ローター式の20Bエンジンは、シーケンシャル・ツインターボと組み合わせてスポーツカーに負けない加速を見せました。また世界で初めてGPSカーナビゲーションシステムを搭載した車両としても知られています。


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センティア(1991年)

 「センティア」は1991年にマツダのフラグシップセダンとして誕生。V型6気筒エンジンに四輪操舵システムを納めた流麗なボディーは、今もなお色あせることはありません。


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試作V型12気筒エンジン(1992年)

 それまで6気筒が最大だったマツダ。新形フラグシップセダン用として4000ccのV型12気筒エンジンを開発していたとのこと。ですが景気後退により幻のエンジンに……。


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アンフィニ RX-7(1991年)

 一級品のスポーツカーとして誕生した「アンフィニ RX-7(FD3S)」。シーケンシャルツインターボで最高出力255PSまで高められたロータリーエンジンと、4輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンションによる高い運動性能は、多くの人の心を惹きました。2002年の生産完了まで11年間も作り続けられたロングセラーモデルでもありました。


【ZONE 6】「Zoom-Zoom」というブランドメッセージ(1996~2009年)

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マツダ

 マツダは1997年に現在のブランドシンボルを制定。あわせて“Zoom-Zoom”(子どもの時に感じた動くことへの感動)という新しいブランドメッセージを展開し、「心ときめくドライビング体験」の提供を目指していくようになります。


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デミオ(1996年)

 「デミオ」は新しい世代のマツダ車として誕生。小さなボディーサイズに優れた実用性を詰め込んだコンパクトワゴンで、幅広い年齢層のユーザーに支持されました。


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アクセラ(2003年)

 約40年続いたファミリアに代わる新しいマツダの基軸車種として誕生した「アクセラ」。国内では4ドアをアクセラ、5ドアをアクセラスポーツとして発売していました。使い勝手だけでなく、動的性能の良さも手伝って、3年2ヵ月で国内累計生産100万台を達成しました。


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RX-8(2003年)

 新世代のロータリーエンジン“RENESIS”を搭載した4ドア・4シーターのスポーツカー「RX-8」。環境性能と動力性能を高い次元で両立させることを目指して誕生しました。21世紀のロータリースポーツとして期待されましたが、2012年6月22日生産終了。翌年4月11日に販売終了し、以後「MX-30 Rotary EV」が登場するまでの約10年、マツダの販売ラインアップからロータリーエンジン搭載車が姿を消すことになりました。


【ZONE 7】現代のマツダの技術とデザイン(2010~現在)

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 ブランド戦略を見直したマツダは、さらに「魂動」と呼ぶデザインフィロソフィーや「SKYACTIV TECHNOLOGY」などの要素を加え、テクノロジーとデザインを深化させています。


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CX-5(初代)(2012年)

 世界的に人気のSUV市場に対して2012年にマツダが放った一矢が「CX-5」です。「SKYACTIV TECHNOLOGY」エンジンと「魂動」デザインを最初に取り入れた、現代マツダを代表するクルマに。なかでも経済性に優れたクリーンディーゼルエンジンは日本でも人気を集め、ディーゼル乗用車の市場を創出しました。


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SKYACTIV TECHNOLOGY

 マツダが開発した高効率エンジン「SKYACTIV」。ガソリンエンジンでは高圧縮比化を図って、燃費とトルクの大幅な向上を実現。ディーゼルエンジンでは、低圧縮比化と噴射タイミングの最適化などで高効率でクリーンなエンジンを実現しました。


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アテンザ(3代目)(2012年)

 CX-5に続いて「魂動」デザインとSKYACTIV TECHNOLOGYを全面採用したフラグシップセダンが「アテンザ」です。鮮やかで深みのあるボディーカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」を初めて採用したクルマでもありました。マツダ車といえばこの色! という人もいるでしょう。


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ロードスター(4代目)(2015年)

 現代マツダのブランドアイコンともいえる4代目ロードスター。展示の車両は、ロードスター誕生30周年を記念し、専用色「レーシングオレンジ」を採用した特別仕様車「MAZDA MX-5 Miata 30th Anniversary Edition」。世界3000台限定、日本ではソフトトップが110台、RFが40台(後に139台)限定で、購入希望者が殺到したことで知られています。


【ZONE 8】マツダのモノづくりから安全性能まで

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 ここからは先はマツダのモノづくりについてのコーナーです。といっても、難しい話は何もありません。


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SKYACTIV TECHNOLOGYを搭載したエンジンたち

 まずはSKYACTIV技術。先ほども触れましたが高効率で環境に優しいと謳うエンジンたちです。SKYACTIV-G(ガソリン)、SKYACTIV-D(ディーゼル)、そしてMAZDA3が搭載するガソリンエンジンSKYACTIV-Xが展示されていました。


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 これらのエンジンは部品から完全内製で、砂型鋳造によってつくられます。砂型鋳造とは、その名のとおり砂で作った鋳型に溶けた金属を流し込み、冷却後に鋳型を壊して製品を取り出す鋳造法。一般的な金型と違い砂型には保温効果があるため、溶けた金属が隅々まで行きわたるという(=精度が高い)メリットがあるのだそうです。


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 次に安全性について。実際に衝突試験をした車両が展示されていました。しかも驚いたことに、普通にドアが開くではありませんか。この「ドアが開く」というのが重要で、そういう車内規定があるそうです。


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赤色の変遷。右に行くほど現代の塗装になります
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同じボディーパネルでも、匠塗(上)と普通の塗り方では陰影の付き方が大きく異なります

 次にボディカラーについて。マツダといえばソウルレッドクリスタルメタリックに代表される匠塗(タクミヌリ)です。なかでも、その塗装の過程などが模型で紹介されています。より陰影を際立たせるこの色は、塗料に混ぜるアルミフレークに秘密があるのだそう。詳しいことは以下の記事をご覧ください(独特なツヤ感が魅力! マツダ独自の塗装技術「匠塗」の秘密を聞く)。


 ほかにも興味深い展示が多いのですが、それは行ってのお楽しみということで。


【ZONE 9】実際に生産している様子を見てみましょう

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 クルマを展示し、パネルや現物などで技術を紹介するのは他社でも行なっています。ですがマツダは、さらに上を行きます。なんと、作っているところが見学できるのです! これは他社にはないもの。


【ZONE 10】マツダの「魂動」デザインに触れる

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 最後はマツダのデザインテーマ「魂動」のコーナーです。


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 魂動って何? というと、「クルマに命を与える。それがマツダのデザイン思想」なのだそう。そして「ドライバーとクルマの関係をエモーショナルなものにする」「生命感と速さを感じる動きの表現を目指す」「匠の感性と技能を生かした究極のエレガンスを追求する」「引き算の美学」とのこと。


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Bike by KODO concept
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 ブースはチーターが動き出す瞬間をモチーフにしたオブジェ(の模型)がお出迎え。これが魂動デザインの御神体と呼ばれているのだとか。


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 ブースを進むとトラックレーサー(自転車)の姿が。これは2015年4月イタリアのミラノで開催されたミラノデザインウィーク2015に出展した「Bike by KODO concept」で、自転車本来の美しさを追求し、シンプルな中にも「マツダ・ロードスター」に通じる魂動デザインならではの躍動感を込めているのだとか。


 製作はデザイン本部デザインモデリングスタジオが携わっているそうで、フレームは1枚の鉄板を丁寧にたたき出して作ったそうです。


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Sofa by KODO concept

 続いて素敵なソファが展示されていました。これは「Sofa by KODO concept」というもので、魂動デザインの力強いスタンスを伴ったフォルムを持ち、無駄のない凛とした造詣でありながら、「座り心地の良さ」というソファに本来求められる機能を犠牲にしていないとのこと。クルマだけでなく、ほかのプロダクトを見ることで、なんとなく魂動デザインというものがわかったような……。


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 それでは魂動デザインのクルマ達を見てみましょう。


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初代CX-5のクレイモデル
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 まずは初代CX-5のクレイモデル。先ほども登場しましたが、魂動デザインの第1弾です。マツダは手でモノを作り出すことを重視しているようで、こちらもクレイモデラーが手で削りながら作り上げたものです。


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RX-VISION
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 続いて2015年に開催された第44回東京モーターショーで世界初公開され、話題を集めた「RX-VISION」。マツダが考える最も美しいFRスポーツカーの造形に挑戦したとのこと。当時会場ではよく見えなかったのですが、ここではしっかりと観察することができます。結構大きくて驚きます。


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VISION COUPE
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 そして、似たようで異なるクルマが「VISION COUPE」。2017年の東京モーターショーで発表したコンセプトカーです。次世代デザインが目指す「エレガントで上質なスタイル」を描いたデザインビジョンモデルで、よくみると4ドアだったりします。


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LM55 ビジョン グランツーリスモ

 ブースの最後に飾られていたのは人気ドライブシミュレーター「グランツーリスモ6」に収録されている「マツダ LM55 ビジョン グランツーリスモ」のフルスケールモデル。これももちろん魂動デザインです。ちなみにLM55は、ル・マンを制した55号車から採られています。


クルマ好きの聖地! 広島に行ったらマツダミュージアムは絶対立ち寄ろう
マツダ

 マツダミュージアムの展示は以上で終了。とにかく綺麗で清潔。落ち着いた雰囲気で、とても居心地のよい空間でした。いつまでも居たいし、いつまでも観ていたい、というのが月並みですが正直な感想。この居心地のよさは、マツダ車やディーラーにも似ているかも。マツダってスゴいなぁ、と改めて感心しました。


【ミュージアムショップ】オシャレなアイテムがいっぱい!
オススメは「もみじ饅頭」

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 再びエントランスに戻り、ミュージアムショップでお土産を探してみることにしましょう。


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マツダ
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 まずは定番の1/43ミニカー。外国の方に人気だそうで、売り切れがいくつか……。787Bとか買っちゃいますよね。


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 コスモスポーツの線図のアートフレームとかはインテリアにとても良さそうです。


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 マツダを代表する名車をシンプルなグラフィックで描がいた「マツダミュージアム トートバック」は、普段のお買い物にも役立ちそうです。


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 ロードスターもみじ饅頭を発見! これは広島土産にとても良さそうです。


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マツダ

 2020年1月30日に創立100周年を迎えたマツダの、過去から現代、そして未来に触れられるマツダミュージアム。クルマ好きはもちろんですが、そうでない方も広島に訪れた際は絶対に行くべきオススメのスポットです。きっと、マツダとクルマが好きになりますよ。


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