「おしぼり」のレンタル・企画開発を手がけるFSX株式会社(本社:東京都国立市、代表取締役社長:藤波 克之、以下FSX)は横浜薬科大学との共同研究により、抗ウイルス・抗菌活性を有する『VB(ブイビー)』の主成分である3種のポリオキソメタレート(VB1,VB2,VB3)による、皮膚に対する抗老化作用の検証並びにそのメカニズムを解明しました。藤波克之が筆頭著者である共著論文『皮膚細胞の老化ストレス応答を高めるポリオキソメタレートの効果』が、フランス・パリに本部を置く欧州医学会の国際学術誌『Medical Research Archives』に採択されましたのでお知らせします。


今回の研究により、VBs(VB1,VB2,VB3)には、皮膚細胞に対する糖化や酸化ストレス、紫外線照射によるダメージに対して抵抗性を高める作用があること、さらに細胞間の情報伝達を担い、健康維持や若返りをサポートする幹細胞由来エクソソーム(※)には、VBs処理を施すことで、より多面的な抗老化作用を発揮する可能性が強く示唆されました。


【本研究の成果ポイント】
(1) ストレスを受けていない正常な皮膚線維芽細胞にVBs(VB1,VB2,VB3)およびVBsで処理した幹細胞由来エクソソームを添加しても、皮膚の恒常性維持に重要な3つの因子(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸合成酵素)に特に変化は見られなかった。一方で、老化ストレス(糖化:AGE、酸化:H2O2、紫外線:UV照射)を受けた細胞に添加した場合には、3つの因子でストレスに対する抵抗力を高める効果が認められた。特にVB2、VB1でその傾向が顕著であり、またVB3については、VB3で処理された幹細胞由来エクソソームを使用することで、より強い抵抗力を発揮することが確認された。このことから様々なVBを組み合わせて使うことで、より多面的な抗老化作用が期待できることが示唆された。

(2) 紫外線ストレスを25分間与える前後に、VBs並びにVBsで処理した幹細胞由来エクソソームを添加した。VB3に関しては、添加するタイミングに関わらず、VB3単独でもVB3で処理した幹細胞由来エクソソームでも、ストレスにより低下する3つの因子(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸合成酵素)の発現量を回復させた。またVB1、VB2については、単独添加では有意な回復は認められなかったが、VB1、VB2で処理した幹細胞由来エクソソームをUV照射前に添加したところ、<エラスチン><ヒアルロン酸合成酵素>の発現が有意に増加した。これにより予防的に使うことで、抗老化効果が期待できることが示唆された。

(3) これまでの研究で、酸化ストレスによって生じる、老化の一因となる活性酸素(ROS)をVB2は抑制することが証明されているが、今回の研究でもVB2は、VB2単独でもVB2で処理した幹細胞由来エクソソームでもROSの蓄積を抑制する効果が確認された。特質すべきは、エクソソーム単独ではほぼ効果がないなかで、VB2で処理した幹細胞由来エクソソームでは顕著な抑制効果を示した。

(4) VBsの抗老化作用及びROSの蓄積を抑制するメカニズムを解明するため、細胞内の抗酸化作用に注目。
VB2及び、VB2、VB3で処理した幹細胞由来エクソソームには、シスチンの取り込みを増加させ、細胞内抗酸化物質であるグルタチオン合成を介してROSの蓄積を抑制する可能性が強く示された。


FSXでは2012年に、遷移金属元素の酸化物クラスターであるPolyoxometalates(ポリ酸)を主成分とした、耐性株を誘導しない安心安全な抗菌・抗ウイルス活性物質『VB(特許第6739772号)』の開発に成功し、その技術を衛生用品のおしぼりに応用してまいりました。さらに2021年の研究では、多面的に抗糖化・抗酸化作用が認められ、ポリ酸は抗ウイルス作用にとどまらず、皮膚に対する抗老化作用が期待できる物質であることが強く示唆されました。2023年にはこれらの技術を応用し、エイジングケアをサポートする(肌を清浄し、整え、潤いを与える)機能を備えた『VB -COSME-(特許第7278638号)』の開発に成功。おしぼり業界としては初となる、手指のみならず全身に使用できる化粧品区分のおしぼりを発売しています。

直接肌に触れるおしぼりだからこそ、手指衛生はもちろんのこと、健やかな肌に寄与するおしぼりの開発を目指し、FSXは『VB/VB -COSME-』の生活環境への適応を目的とした応用研究を続けています。FSXでは引き続き、健康に資するヘルスサイエンス領域における新しい事業展開や製品開発を通じて、おしぼりの価値を高める持続的成長を続けてまいります。


【参考資料】
掲載ジャーナル: 欧州医学会『Medical Research Archives』
論文掲載 : doi: https://doi.org/10.18103/mra.v13i8.6726
論文掲載 URL : https://esmed.org/MRA/mra/article/view/6726
論文タイトル : Enhancing effect of polyoxometalates on the aging stress responses of skin cells
ポリオキソメタレートによる皮膚抗老化作用
藤波克之 1,2、團克昭 3,4、冨永ななみ 1、香川(田中)聡子 2、河村伊久雄 2
1:FSX株式会社
2:横浜薬科大学 健康薬学科
3:生物活性研究機構 研究開発部門
4:横浜薬科大学 薬学部

<要旨>
老化細胞の蓄積は、老化の一因として注目されている。皮膚においては、様々な環境因子が皮膚を刺激し、皮膚細胞に老化ストレスを与えている。このストレスが細胞内に活性酸素(ROS)を蓄積させることで、細胞老化を促進する。また、幹細胞から分泌されるエクソソーム(※)は、皮膚再生やストレス抑制に重要な役割を果たすことが明らかになっている。様々な生理活性を持つポリオキソメタレートの中で、VB2、VB3は、皮膚に塗布できる化粧品成分として開発されている。
私たちは、これらのVBが皮膚老化ストレスに対する細胞の抵抗力を高めるかどうかを評価し、そのメカニズムを解明した。
実験では、皮膚線維芽細胞を糖化(終末糖化産物=AGE)、酸化(H2O2)、光老化(紫外線を5分または25分照射)に曝露し、曝露の前または後にVBs(VB1、VB2、VB3)を処理した。VBsが細胞のストレス応答を増強するかどうかは、3つのパラメータ(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸合成酵素)のmRNAレベルの変化によって決定した。また、幹細胞をVBsで処理すると、通常分泌されるものとは異なる特性を持つエクソソームが分泌されるかどうかも調べた。さらに今回や以前の研究で、ヒト皮膚線維芽細胞をVBsで処理すると、細胞内のROS蓄積が抑制されることから、ミトコンドリア酸素消費速度(OCR)と、細胞内抗酸化物質であるグルタチオンの合成原料であるシスチンの取り込みについても調べた。
VBsは、検討したすべての老化ストレスに対する細胞抵抗性を高めた。VB1は直接、細胞抵抗性を高めた一方で、VB3は間葉系幹細胞から分泌されたエクソソームを介して抵抗性を高めた。さらにVB2は、直接的にも幹細胞由来エクソソームを介しても、どちらともで抵抗性を高める結果となった。これら複数種類のVBを組み合わせることで、多面的な抗老化効果を発揮する可能性が示唆された。

(※)幹細胞由来エクソソーム
細胞間の情報伝達や成分の運搬を担う、ナノサイズのカプセル状の物質です。幹細胞から放出されると目的の細胞へ届き、袋状のカプセルが破れることで内部に含まれる遺伝子やたんぱく質などの重要な成分を輸送します。皮膚では角質層から真皮層まで幅広くアプローチし、うるおいやハリを保つはたらきを持っています。
ターンオーバーを整え、シミやくすみを防ぐことで、若々しく健やかな肌へ導く成分として注目されています。


【掲載論文内容】 掲載論文内容より、試験部分の内容の一部を紹介しています

●正常な皮膚線維芽細胞にVBs及びVBs処理した幹細胞由来エクソソーム添加によるコラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素のmRNA発現(図1)

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_1.jpg
図1

ストレスを受けていない正常な皮膚線維芽細胞にVBs(VB1,VB2,VB3)並びに幹細胞由来エクソソーム、VBs処理した幹細胞由来エクソソーム(VBs-MSCs-Exo)を添加し、皮膚の恒常性維持に寄与する重要な3つのパラメータ(コラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素)の4時間後のmRNAレベルの変化を調べた。
VBは正常細胞には影響を与えなかった。

●糖化ストレス:VBs添加によるコラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素のmRNA発現(図2)

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_2.jpg
図2

皮膚繊維芽細胞に糖化ストレス(AGE)を2時間曝露し、ストレス付加の前または後の4時間、VB処理を施し、mRNAを抽出した。皮膚の恒常性維持に寄与する重要な3つのパラメータ(コラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素)のmRNAレベルの変化を調べた。
VB1、VB2は添加するタイミングに関わらず、<コラーゲン><エラスチン>の発現を明らかに増加させた。特にVB2のコラーゲンを増加させる効果は強力である。VB3については、すべての因子で増加は認められるが、有意差は認められなかった。

●酸化ストレス:VBs添加によるコラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素のmRNA発現(図3)

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_3.jpg
図3

皮膚繊維芽細胞に酸化ストレス(H2O2)を2時間曝露し、ストレス付加の前または後の4時間、VB処理を施し、mRNAを抽出した。皮膚の恒常性維持に寄与する重要な3つのパラメータ(コラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素)のmRNAレベルの変化を調べた。
VB1、VB2は添加するタイミングに関わらず、<コラーゲン><エラスチン>の発現を有意に増加させた。VB3については、すべての因子で増加は認められるが、有意差は認められなかった。


●光老化ストレス:VBs添加によるコラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素のmRNA発現(図4)

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_4.png
図4

皮膚繊維芽細胞に紫外線ストレス(UV照射)を25分曝露し、ストレス付加の前または後の4時間、VB処理を施し、mRNAを抽出した。皮膚の恒常性維持に寄与する重要な3つのパラメータ(コラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素)のmRNAレベルの変化を調べた。
VB3は添加するタイミングに関わらず、<エラスチン><ヒアルロン酸合成酵素>の発現を明らかに増加させた。VB1、VB2については、すべての因子で増加は認められるが、有意差は認められなかった。

●光老化ストレス:VBsで処理した幹細胞由来エクソソームによるコラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素のmRNA発現(図5)

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_5.jpg
図5

皮膚繊維芽細胞に紫外線ストレス(UV照射)を5分/25分曝露し、ストレスを与える前または後の4時間、幹細胞由来の通常のエクソソーム(MSCs-Exo)及び、VBsで処理した幹細胞由来エクソソーム(VBs-MSCs-Exo)を添加し、mRNAを抽出した。皮膚の恒常性維持に寄与する重要な3つのパラメータ(コラーゲン/エラスチン/ヒアルロン酸合成酵素)のmRNAレベルの変化を調べた。
25分のUVストレスを付加した結果を見ていくと、VB3は添加するタイミングに関わらず、3つのパラメータすべてにおいて大幅な増加が認められた。またVB1、VB2については、単独添加では有意な増加は認められなかった(図4)が、VBs処理をした幹細胞由来エクソソームでは、ストレス付加前に添加すると、<エラスチン><ヒアルロン酸合成酵素>の発現が大幅に増加した。
また5分間紫外線ストレスを付加した後に、未処理のMSCs-Exoを添加すると、<エラスチン><ヒアルロン酸合成酵素>に顕著な増加が認められたが、25分照射後にはその効果は消失した。

●酸化ストレスにより生じる活性酸素(ROS)に対する、VB2及びVB2で処理した幹細胞由来エクソソームの抑制効果(図6)

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_6.jpg
図6

皮膚繊維芽細胞にストレスを付加する4時間前に、VB2及び、幹細胞由来の通常のエクソソーム(MSCs-Exo)、VB2で処理した幹細胞由来エクソソーム(VB2-MSCs-Exo)を添加した後、酸化ストレス(H2O2)を2時間曝露した。蛍光標識を使って細胞内のROSの増加レベルを評価した。
皮膚繊維芽細胞に酸化ストレス(H2O2)を与えると、細胞内のROSが増加する実験系において、VB2を添加すると増加を抑制することが確認された。
さらに、通常の幹細胞由来エクソソームを添加した場合には、ROSをほとんど抑制できなかったのに対して、VB2で処理した幹細胞由来エクソソームを添加したところ、ROSの増加を大幅に抑制していることが確認できた。このことから、VB2には、直接的にも、また幹細胞由来エクソソームを介しても、細胞のストレス反応に影響を与え、効果を発揮することが示唆された。
酸化ストレスを受けた皮膚線維芽細胞に対する

●VBs及びVBsで処理した幹細胞由来エクソソームによる、細胞内へのシスチン取り込み量(図7)

画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/542912/LL_img_542912_7.jpg
図7

細胞内の活性酸素(ROS)の蓄積を抑制するVBsの抗酸化メカニズムを解明するため、細胞内抗酸化物質であるグルタチオン生成に寄与するシスチンの取り込み量を調べた。皮膚線維芽細胞内に活性酸素(ROS)の蓄積を誘発し、その後VBs、幹細胞由来の通常のエクソソーム(MSCs-Exo)及び、VBsで処理した幹細胞由来エクソソーム(VBs-MSCs-Exo)を添加し、その抑制効果を評価した。

VB2と、VB2、VB3で処理した幹細胞由来のエクソソームは、シスチンの取り込み量が明らかに増加した結果が得られた。VB1については特に有意な結果は得られなかった。VB2、VB2で処理した幹細胞由来エクソソームは、シスチンの取り込みを増加させ、細胞内抗酸化物質であるグルタチオン合成を介して細胞内のROSを減らす効果が示唆された。


<FSX株式会社について> https://www.fsx.co.jp/
「おしぼりは物のサービスではなく心のサービス」を理念に、1967年に貸しおしぼり業の「藤波タオルサービス」として創業。以来、東京・国立市を本拠地として、おしぼりを軸とした事業活動は多岐にわたっています。おしぼりの素材や加工機開発に始まり、香り(アロマ)をつける特許技術、抗ウイルス・抗菌の衛生技術『VB(ブイビー)』、おしぼりを最適な温度で提供するおしぼり冷温庫『REION』の開発の他、EC運営や同業者向けパートナー事業を手がけるなど、ソフトとハードの両面からおしぼりの価値を創造する開発を行っています。創業50年を機に、社名を「FSX株式会社」に一新し、次の50年に向けて、おしぼりの新たな可能性を引き出し、国内外へ広くOSHIBORI文化を広めるための革新的なサービスを創造する事業を展開していきます。

<FSX富士株式会社について> https://www.fsx.co.jp/fsxfuji_oshibori/
FSX富士株式会社は、東京・国立の地で創業 55年を迎えるFSX株式会社のグループ会社として、2020年9月に富士河口湖町に設立いたしました。
「おしぼりは物のサービスではなく心のサービス」を理念として、富士五湖を中心におしぼりのレンタル、企画販売事業を展開しています。FSXグループならではの、抗ウイルス「VBおしぼり」や、天然アロマのおしぼり等、エリア唯一のおしぼりを提供しています。富士河口湖町の観光資源であるラベンダーを活用した『ふじぴょん』おしぼりを開発するなど、今後も観光資源豊富な富士山麓の地で、地域密着型事業による利点を活かしたマーケティングにより、おしぼりの新たな可能性を引き出す積極的な製品開発を行ってまいります。
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