■背景
近年、量子計算機の研究開発が世界的に加速しており、特に暗号解読に適した量子計算機(CRQC: Cryptographically Relevant Quantum Computers)の実現に向けた取り組みが進められています。CRQCの実用化には数十年以上を要するとの見方もある一方で、2035年までに暗号基盤の移行を完了させることを目標とする国際的な取り組みも存在しています。
従来の暗号方式の移行(例:2010年、2030年)は、計算機性能の向上、いわゆる「ムーアの法則」に基づく量的変化への対応でした。しかし、今回のPQC移行は単なる鍵長の延長にとどまらず、データ量・データ形式・通信プロトコル・システムの暗号レジリエンスなど、量的な変化に加え、質的な変化を伴う点が特徴です。
■目的
国内外においてすでに移行計画が示されている事例もありますが、当協議会はそれらを参考にしつつ、我が国の民間分野に適した最適な対応方針を「トラストサービスの在り方検討委員会」において検討してまいります。移行の正確な時期を予測することは困難であるものの、早期の検討開始が極めて重要であるとの認識のもと、今回のタスクフォース設置に至りました。
■今後について
本タスクフォースは、産業界や関係団体と協働しながら、実務的かつ現実的なガイドライン策定に取り組みます。ご関心をお持ちの企業・団体の皆様には、ぜひご参加いただきたく存じます。