UR: https://www.bsigroup.com/en-GB/insights-and-media/media-centre/press-releases/2025/september/optimism-in-closing-gender-pay-gap-plummets-new-report-reveals/
2025年9月9日:新たな調査によると、世界中の女性のうち、自分たちの世代で男女賃金格差が解消されると期待している人はわずか4割(41%)にすぎず、男性と同等の割合でリーダーシップポジションに就けると考える女性は半数に満たない(46%)ことが明らかになりました。
また、本レポートでは、過去の調査と比較して、女性の職場における将来の見通しに対する自信が世界的に急激に低下している一方で、定年退職前に仕事を離れると予想する割合に変化がなく、さらにそれが自発的な選択ではないことが判明しました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/546085/LL_img_546085_1.jpg
2025年版「第2のガラスの天井の解消に向けて」レポート
本レポートは、7か国で働く女性6,500人の意見をもとに、職場での更年期支援やがん支援、流産などに関する公式・非公式のサポート体制への投資、さらに柔軟な働き方やその他の調整による相互扶助が根付く職場文化を構築することが、女性の労働力維持に極めて重要であることを示しています。
わずか2年で(※1)、男女間の賃金格差解消への楽観的な見方は57%から41%に低下し、男性と同等にリーダーシップポジションに就けると考える女性の割合も60%から46%に減少しました。また、業務上の柔軟性やサポートが男性と同等であれば職場に長くとどまりたいと考える女性は59%から43%と大幅に減少しました。さらに、将来世代にとって、この状況が改善されると期待している女性は47%にとどまりました。
世界的に生産性や欠勤率への関心が高まる中、世界の女性の5人に1人(世界:21%、日本:11%)が定年退職前の早期離職を見込んでいることが明らかになりました。
重要なのは、こうした早期離職は必ずしも自らの選択によるのではなく、身体的健康(27%)、更年期(21%)、賃金格差などの障壁が、女性を予定より早く職場から押し出している点です。男性との賃金格差が解消されれば、71%(日本:63%)の女性が長く働き続けられると回答しています。税制や年金の優遇策が重要と回答した女性は75%で、慢性疾患やがんなどへのサポートの改善を望む女性は77%(日本:64%)に上ります。
育児や介護の責任は、依然として女性の働き方に影響を与えています。
大手企業で出社義務化の発表が相次ぐ中、本調査によると、世界の女性の65%(日本:75%)が対面勤務を行っている一方で、78%(日本:68%)は働く場所や時間に柔軟性を求めており、4割がこうした柔軟性があれば長く働き続けることができると回答しました。調査データもこれを裏付けており、更年期やハイリスク妊娠、メンタルヘルスに課題を抱える女性は、柔軟な働き方によって生産性を維持できると回答しました。対象者の17%(※2)が更年期のために休暇を取得した一方、32%は柔軟な勤務形態やその他の調整により欠勤を回避しています。ハイリスク妊娠についても、24%が休暇を取得したのに対し、30%は柔軟性や調整により、欠勤を避けられたと回答しています。
■雇用主への期待
女性の55%(日本:39%)は、流産やハイリスク妊娠、更年期のような個人的な問題には自身で対処したいと考えていますが、一方で、こうした問題に直面した場合、職場で長く働き続けるために雇用主からのサポート(有給休暇、柔軟な働き方、医療支援など)を受けたいと回答した女性は69%(日本:52%)に上りました。特に注目すべきは、ハイリスク妊娠や流産、乳幼児の死に関する正式な方針の導入を望む女性が67%、神経多様性(神経発達障害)に関する方針の導入を望む女性が62%に上る点です。すでに方針が導入されている場合、86%(日本:91%)がその有効性を認めていると回答しました。
しかし、いくつかの方針が導入されているものの、大多数の女性は、月経(56%)、不妊(64%)、ハイリスク妊娠や流産(61%)など女性に影響する一般的な問題について、雇用主が言及したのを聞いたことがないと回答しています。
■更年期に関するギャップ
進展の兆しとして、データは、更年期や月経関連の健康問題など、個人の健康やウェルビーイングの課題に対応するための正式な方針に関する知識が飛躍的に高まったことを示唆しています。2023年にBSIが世界で初めて職場における更年期対策を盛り込んだ規格(BS 30416:2023)を発表した際、世界全体でこうした方針を認識していたのはわずか7%でしたが、現在では44%にまで増加しています。それでもなお、60%(日本:78%)の女性は職場で雇用主が更年期のサポートについて積極的に言及しているのを聞いたことがないと回答し、利用可能なサポートについて雇用主が定期的に伝えていると答えたのはわずか11%(日本:2%)でした。
さらに、男性上司に更年期について相談できると回答した女性はわずか28%で、女性上司の場合は60%が相談できると回答しています。全体として、方針の認知度は上昇しているものの、企業のリーダーには、さらに明確に周知することが求められています。
■BSIのセクターおよび規格開発ディレクターのAnne Hayesは次のように述べています。
「当社の調査から、経験豊富な女性の定着に世界的な注目が集まるなか、既に更年期サポートを中心に積極的な取り組みを進めている雇用主が一定数存在するものの、その影響は限定的であることが明らかになりました。依然として多くの女性が『第2のガラスの天井』に直面し、本人の意思ではなく、根強い構造的障壁によって早期に職場を離れています。政策立案者や雇用主は、経済格差の是正や健康問題への対応、家庭生活と仕事の両立支援など、豊富な知識や経験を持つ女性の職場への定着を阻む障壁を積極的に取り除くことで、変化を迅速に推進することができるでしょう」
■BSIの健康・安全・ウェルビーイング部門グローバル責任者であるKate Fieldは次のように述べています。
「女性の職場における将来への希望が著しく低下しています。単なる制度ではなく、女性が安心して働けるような文化の醸成が急務であり、雇用主は女性の働く環境を形づくるさまざまな要因を総合的に配慮し、適切に対応しなければなりません。
レポートの全文(英語)はこちらからダウンロードいただけます。
URL: https://www.bsigroup.com/siteassets/pdf/en/insights-and-media/insights/white-papers/bsi_lifting_the_second_glass_ceiling_whitepaper.pdf
※1:BSIの2023年「第2のガラスの天井の解消に向けて」レポートより引用
※2:データは、その経験が自身に該当すると回答した者のみに限定されます
■調査について
BSIの2025年版「第2のガラスの天井の解消に向けて(Global Second Glass Ceiling Study)」レポートは、BSI、FocalData、Bursonの協力を得て実施した定量データ収集とデスクリサーチに基づいています。英国、インド、日本、中国、米国、ドイツ、オーストラリアの7か国のさまざまな業界の女性労働者6,494名を対象に実施しました。
■BSI(英国規格協会)とBSIグループジャパンについて
BSI(British Standards Institution:英国規格協会)は、ビジネス改善と標準化を推進する機関です。設立以来1世紀以上にわたって組織や社会にポジティブな影響をもたらし、信頼を築き、人々の暮らしを向上させてきました。現在190を超える国と地域、そして77,500社以上のお客様と取引をしながら、専門家、業界団体、消費者団体、組織、政府機関を含む15,000の強力なグローバルコミュニティと連携しています。BSIは、自動車、航空宇宙、建築環境、食品、小売、医療などの主要産業分野にわたる豊富な専門知識を活用し、お客様のパーパス達成を支援することを自社のパーパスと定めています。
気候変動からデジタルトランスフォーメーションにおける信頼の構築まで、あらゆる重要社会課題に取り組むために、BSIはさまざまな組織と手を取り合うことによって、より良い社会と持続可能な世界の実現を加速し、組織が自信を持って成長できるよう支援しています。
BSIグループジャパンは、1999年に設立されたBSIの日本法人です。マネジメントシステム、情報セキュリティサービス、医療機器の認証サービス、製品試験・製品認証サービスおよび研修サービスの提供を主業務とし、また規格開発のサポートを含め規格に関する幅広いサービスを提供しています。
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