●「無印良品」独特のシンプルでナチュラルな素朴な客室
MUJI HOTELのコンセプトは「アンチゴージャス、アンチチープ」。客室のベッドやテーブル、クローゼットなどのデザインは木目調で統一され、無印良品特有のシンプルで落ち着いた雰囲気を演出している。ターゲットは、銀座の街に訪れる日本人と訪日外国人。良品計画がコンセプトと内装デザインを担当し、目黒のホテル「CLASKA」を手掛けるUDSが運営する。
客室は全79部屋で9タイプ。多くの部屋が、幅2m程の奥に細長い間取りになっている。しかし、部屋に入ってみると窮屈な感じはなく、むしろ高い天井が安心感を与える。家電やアメニティーグッズが同社の家具にスッキリと収納されていることも、部屋を狭く感じさせない工夫だ。
●すべての部屋にIoT家電
記者が注目したのは、すべての部屋でIoT家電を導入していること。客室に設置されているタブレット端末1台で、カーテンの開閉や空調、照明、アラームの設定などが可能だ。
タブレット端末の画面では機能を大きな絵で示しているので、直感的に操作できる点も魅力。銀座の街に多く訪れる訪日外国人でも、すぐに操作を理解できるだろう。備え付けのBluetoothスピーカーと自身のスマホを連携させれば、好きな音楽を楽しむこともできる。
こうした客室の空間を実際に体験すると、家のようにくつろげる空間をつくるするために、無印良品のシンプルで実用性のある“ちょうどいい”商品で揃えていることがわかり、単なるショールームではないことが理解できた。もっとも、ドライヤーなどは業務用の規格に準拠した製品をあらためて開発したり、バスルームには発売していないバスタブが設置されているなど、市販品だけで揃えないホテル事業ならではのこだわりや情熱も感じられた。
松崎曉社長は「旅先でも、いつもの生活の延長で過ごすことができる空間をつくるために、無印良品の商品を使っている。ホテルの備品を無印良品で揃えられたら、と創業当時から話していた」と、ホテル事業が創業時からの夢の実現であったことを明かし、単なるショールームではなく、普段通りの生活と馴染みやすく、それでいて安っぽくなく、居心地のいい空間を演出することにこだわっていることを強調した。
3月20日に予約を開始して、すでにしばらくは満室が続いているという。下階の無印良品や朝7時半から開店している「MUJI Diner」、26時まで営業しているバーカウンター付きの「ATELIER MUJI GINZA」、レストラン「WA」など、ホテル以外にも見どころは多い。銀座を訪れる際に足を運んでみれば、無印良品の世界観がより鮮明に感じられるだろう。
(BCN・南雲 亮平)
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