QRコード決済の大型還元施策でにわかに盛り上がったキャッシュレス決済サービス。業界の“羅針盤”を担うキャッシュレス推進協議会は、ガイドラインや統一規格の策定など、取りまとめに奔走している。
2019年7月2日に設立から1年を迎えた同協議会。福田好郎事務局長に、設立の背景や役割、終着点を聞いた。

取材・文/南雲 亮平、写真/松嶋 優子

●キャッシュレス業界の“羅針盤”
 キャッシュレス推進協議会は名前の通り、日本のキャッシュレス化を健全に推進するための協議会です。現金だけでも問題なく暮らせる現在、キャッシュレス化は自然に進むものではありません。また、一部だけ実現しても効果は小さいので、日本全体で一斉に取り組む必要があります。そのために、業界横縦断的で産官学が連携した組織として設立しました。「キャッシュレス・ロードマップ」を策定・公表することで、業界の方向性を示しています。
 目下の目標は、経済産業省が2018年11月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」で示している、「大阪・関西万博のある2025年までにキャッシュレス決済比率40%」を達成することです。このビジョンは、以前、私が所属していたコンサルティング会社が執筆を受託したもので、私が書いていました。
 もともとキャッシュレス決済は、インバウンド需要を取り込むための備えでした。訪日客が使うクレジットカードを日本各地で使えるようにする構想がありました。しかし、「未来投資戦略2017」が発表されてから、日本人も使う想定に切り替わっています。
大きな目的は、労働人口減少への対策です。現金管理のコストや手間を削減することで、業務の効率化、リソースの最適化を図ることができると見込んでいます。
 これまでのキャッシュレス決済は、カード会社や銀行など、既存の決済事業者が提供してきたものを小売店などが黙って受け入れるだけの構図でした。ただ、「こうだったらもっと便利なのに」「うちの店で使いやすいようにしてほしい」という要望はあったはずです。こうした声をキャッシュレス決済事業者にしっかりと伝えることで、使われるキャッシュレス決済サービスを作り上げていくことが使命です。
 ほかにも、例えば医療業界のキャッシュレス化など、やらなければならないけれど、だれも言わないようなことを問題提起していきます。コード決済の統一規格「JPQR」は、その活動の一環です。総論的に、コードは統一した方が使いやすいですが、どこか一社がやってしまうと偏りが出てしまいます。だからこそ、協議会が音頭をとって進めました。
 たとえキャッシュレス決済率40%を達成したとしても、実質的な効果は薄いです。1円でも現金があったら、経費や人手が必要になってしまうので、最終的には完全にキャッシュレス化することが大切です。ただ、一気に切り替えても混乱が生じます。
まずは、一部の店舗や一部のレジを完全キャッシュレス化し、省人省力化していくことで、少しずつでもメリットを感じていただきたいです。
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