「ビックカメラ 有楽町店」地下2階のメイン動線に、双眼鏡コーナーが登場したのは19年10月のことだ。売り場を担当する藤本恵嗣氏は「以前の双眼鏡売り場は奥まった場所にあった」と振り返る。ここ数年で問い合わせや販売台数が増えたことから、より目立り、来店客が利用しやすい位置に売り場を移した。
「数年前は、双眼鏡は主に男性のニーズが強かった。用途は星の観察やバードウォッチングなど。女性のお客さまはほとんど来なかった。しかし、4、5年前からその傾向が変わり始め、今では9割が女性。劇場などで利用されているとの話を受け、売り場も劇場のように装飾した。サイリウムなどの応援グッズも一緒に棚に並べることで、利便性を高めている」(藤本氏)。
売り場の頭上には、双眼鏡を選びやすい工夫が凝らされている。例えば、近隣の劇場やスタジアムの席からステージまでの距離を掲示し、距離に応じて適した倍率の双眼鏡を選べるように提案する。イベントのスケジュールもあわせて掲載することで、顧客との会話のヒントにもなる。「このライブをここで見るんです」といった話が出れば、最適な双眼鏡を提案できるはずだ。
人気は手ブレ補正機能を搭載したモデル。高単価ではあるが、倍率が高くなるほど手ブレがひどくなる双眼鏡にとっては、必須の機能だ。「慣れれば手ブレが付いていなくても舞台を楽しめるようになるが、最初は手ブレ補正を搭載したモデルで、細かいことに気をつかわずに舞台を楽しんでいただきたい。搭載/非搭載モデルの両方を実際に手に取って店内の目印を見比べてもらうと、その差に驚く人も多い。若い女性も手ブレ搭載モデルを選ぶケースが増えている」と藤本氏は語る。
ぴあ総研によると、2.5次元ミュージカル市場は2018年時点で推計226億円(前年比44.9%)。その後も成長を続けている。2020年は、東京五輪や12月に無期限で活動を休止する人気アイドルグループ「嵐」のコンサートなど、何も使わなければ会場で“遠目”に見る羽目になるイベントもある。
こうした背景から、ビックカメラだけではなく、「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」も正面入り口すぐに双眼鏡売り場を設置している。各社とも双眼鏡に期待を寄せているのは明らかだ。応援している俳優やアイドル、アーティストをよりしっかりと見ることができる双眼鏡のニーズは、さらに増していきそうだ。(BCN・南雲 亮平)
【関連記事】
一生モノの小型双眼鏡が少しだけ人生を豊かにする
イベントやスポーツ観戦に便利な上海問屋の眼鏡型双眼鏡
5G+VRで音楽ライブの最前列を体験! ドコモがモバイル向けの新動画サービスを発表
ケンコー・トキナー創立60周年、SNSでの写真・映像ブームに「我々の時代が来た」
往年の名機ずらり! ニコンミュージアムが10月17日にオープン