ソフトバンクグループは5月18日、2020年3月期の決算を発表した。売上高が6兆1850億9300万円(前期比1.5%増)、営業損失が1兆3646億3300万円(前期は2兆736億3600万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失が9615億7600万円(前期は1兆4111億9900万円の利益)。
営業損失の大きな要因は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業だ。

 SVFの前期の営業利益は1兆2566億円だったが、今期は1兆3646億円の赤字となった。背景には、UberやWeWork、その関係会社3社の公正価値の減少、新型コロナウイルス感染症の影響による投資先の公正価値の合計が大幅に減少したことなどがあるという。一方、通信事業の営業利益は9233億円(前期比7.4%増)だった。
 こうした状況を受けて、決算説明会に登壇した孫正義代表取締役会長兼社長は、「世界恐慌時に急落したNYダウは25年かけて回復した。新型コロナも世界に同じような影響を与える」としながら、「影響が出ていることは事実だが、大きなショックを受けるほど減ったわけではない。
このショックは、新しい時代へのパラダイムシフトを加速させると捉えて、挑戦していきたい」と述べた。
 なお、20年度の配当方針は未定としている。「経済危機の状況なので、配当については固定的に行うのではなく、万が一資金がさらに必要になるとも限らないので、未定にした。経営の選択肢としては、ゼロ配当もあり得る。増配は考えられない」(孫会長)。もしゼロ配当になれば、上場以来初だという。

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