新型コロナウイルスで自転車業界が好調？　自転車店に実情を聞いてきた

緊急事態宣言が解除されてからしばらく経つ。なじみの自転車店に挨拶がてら買い物に行こうと思い、スタッフに連絡を取ると「忙しいからあまり時間取れなさそう」との返事。どうも新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響により、繁盛しているらしい。たしかに密を避ける移動手段として自転車が注目され、自転車業界が好調とのニュースも見かける。先ほどの店も同様の状況とのこと。そこで店の賑わいが一段落するまで待ち、実情を聞いてみた。 今回、筆者が話を聞いたのは、東京・西五反田の自転車店「STYLE-B」。STYLE-Bは自転車に関わる製品だけでなく、24時間年中無休のコインランドリーも運営していたり、同じ建物内には「旬八青果店」も併設していたりと、ユニークさが際立つショップだ。営業時間は12:00～19:00（水曜日定休）。最新情報はInstagramやFacebookでチェックできる。取材・文・写真/浦辺制作所・藤縄 優佑――いつ頃から忙しくなりました？ 4月末くらいから売れ行きがいつもより上がっていくのを感じ、5月は本当に忙しくなりました。自転車本体が売れやすい週末で比べてみても、2倍以上売れることもありました。自転車修理などすべてを含めた月間の売上でいうと、だいたい前年の倍になりました。6月上旬もまだまだ人気でしたね。6月12日現在、ようやく落ち着いてきたところです。――人気の車種はどれでしょうか。 一番売れたのはクロスバイクです。日本ではSTYLE-Bが専売しているブランド「Pure Cycles」のクロスバイクもたくさん売れましたが、より軽い「KhodaaBloom（コーダーブルーム）」RAILシリーズの人気が目立ちました。――やはり通勤用に買っていく方が多かったのでしょうか。 半分はそうですね。もう半分はUber Eats用です。Uber Eatsを生活の糧にしようと考えているお客さまが多かったですね。ステイホーム・巣ごもりがよくうたわれていたころは稼ぎ時だったらしく、びっくりするくらい稼いでいる方もいらっしゃいました。――ほかに新型コロナウイルスの影響で売れた車種はありますか？ 電動アシスト付き自転車と子ども用自転車が売れました。電動アシスト付き自転車は安くても10万円前後はしますが、特別定額給付金が受給できると判明した段階で、（手元に特別定額給付金がなくても）自転車通勤用に買っていくお客さまが複数人いらっしゃいました。 子ども用自転車は、普段は付近に無料のレンタル自転車を設置している公園があって、皆さんそれをご利用しているようでした。ですが今回の件で公園が封鎖されたので、これを機に買おうと思うお客さまが増えたのだと思っています。――電動アシスト付き自転車とUber Eatsの相性は良いように思えます。 たしかにUber Eats用に使いたいと仰るお客さまもいらっしゃいましたが、お勧めしませんでした。配達に際してはスマホのマップ・ナビアプリでルートを確認すると思うのですが、自転車用ルートを引いてくれるアプリはごく少数ですし、自動車用ルートだと自転車が通れない道も表示してしまうこともあります。となると必然的に、徒歩でのルート検索をする方が多いのではないでしょうか。しかし、徒歩でのルートも「近道だと思ったら階段だった」なんてことも起こり得ます。そんなときは自転車を担いで運ぶほうが早いことがありますが、電動アシスト付き自転車は相当重く、無理があるのです。――ロードバイクは売れましたか？ うーん、ほかの自転車と比べるとちょっと&hellip;&hellip;。こちらもUber Eats用にお求めになるお客さまはいらっしゃいました。しかし、ロードバイクは基本的に前傾姿勢で運転するものでして、その姿勢では（料理やバッグなどに工夫しない限り）運んでいる料理が崩れる可能性があり、推奨しませんでした。――自転車本体以外はいかがでしょう。 自転車通勤するために、自宅に眠っていた自転車の修理を依頼される方が増えました。車種は多彩で、いわゆるママチャリから折りたたみ自転車、クロスバイク、ロードバイク、電動アシスト付き自転車などなど。あとは、久しぶりに営業に使う自転車に乗るから点検してほしい、という依頼もありましたね。――このお店は自転車に関係ない製品も置いています。そちらの売れ行きはいかがでしょうか。 STYLE-Bでは自転車本体や自転車関連製品のほかに、ボードゲームやキャンプ用品なども取り扱っています。まず、ステイホームの影響から、ボードゲームはいつもより売れました。キャンプ用品は目立って売れたものはありませんでしたが、enoの「Lounger DL Chair」というチェアが売れたのが意外でした。キャンプに使うチェアとしてもやや高価ですが座り心地は良く、家にいながら少しでも気分転換したいお客さまのご要望にも合っていました。十分に試座もされて気に入っていただけたので、本製品を推していた私としてもうれしい限りです。――良いことだらけのように見えますが、新型コロナウイルスによる悪影響はありましたか。 中国からの輸入に関する影響がありましたね。本来ゴールデンウィーク向けの商材が届かなかったのが少々痛手でした。でも、逆を言うとそれくらいです。――最後に質問させてください。今回の件を機に初めてクロスバイク・ロードバイクなどのスポーツバイクに乗る方も増えるかと思います。気を付けてほしいポイントなどはありますか。 ママチャリよりも楽にスピードが出やすい乗り物ですので、やはり安全運転をお願いしたいですね。また、これからどんどん暑くなり、日差しも強くなってきます。こまめな水分補給や日焼け対策をきっちりして、自転車を楽しんでほしいです。なお、スポーツバイクと一口に言っても種類やブランドが多岐にわたるため、どれが自分に合うのかわからない方も多いかと思います。そういった悩みがありましたら、まずはSTYLE-Bにご相談いただければ幸いです。【関連記事】通勤にも使える“パパチャリ”はどこまで進化できるのかスマートヘルメット「LUMOS Matrix」が彷彿させる未来の道路事情電動折りたたみバイク「ブレイズスマートEV」がアマゾンほしい物ランキングでトップ3独占非3密の移動手段を提供、小型電動アシスト自転車のシェアリングサービス「LUUP」次世代電動キックボード「Wind3.0」が購入できる、販売予約を開始