9月25日、KDDIと沖縄セルラーは、5Gに対応するAndroidスマートフォン(スマホ)6機種を発表した。
●データ通信端末カテゴリで存在感が高まる据置型ホームWi-Fi
ドコモのXiの提供開始からしばらく、対応機種は、モバイルWi-Fiルータと通信機能付きタブレットのみだった。ドコモは前回を踏襲し、今回もスマホに加え、5G対応モバイルWi-Fiルータ「Wi-Fi STATION SH-52A」を投入。対して、auとソフトバンクはスマホに絞り、ソフトバンクは10月に「Google Pixel 5」など5G対応スマホ3機種を発売する。
楽天モバイルも、3社より半年遅れの9月30日に5Gサービス「Rakuten UN-LIMIT V」を開始。独自のeSIM専用5G対応スマホ「Rakuten BIG」と5G/4G同一料金で、次世代規格「5G」への対応アピールする。
モバイルWi-Fiルータは、パソコンなどとUSB接続やWi-Fiで接続し、データ通信するための端末で、もともとは移動中や外出先、宿泊先などでの利用を想定していたが、最近は、光ファイバー(FTTH)の固定回線代わりにも使われている。形状は据え置き型、名称は「ホームルーター」「ホームWi-Fi」など。通信規格と最大通信速度(理論値)は端末側の仕様で決まるが、組み合わせるSIMカード(通信サービス)と周波数、サービスエリアが全て一致しないと最大通信速度では通信できない。
家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、ソフトバンクの自宅・家庭用Wi-Fi「SoftBank Air」の4世代目「Airターミナル4」の販売台数は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の従来機種(BBWAAG)と、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)にも対応する後継機種(BBWAAM)をあわせて、データ通信端末全体の39.8%と約4割を占めた。
Airターミナル4は、回線工事なしに、コンセントに差すだけでソフトバンク/ワイモバイルの一部エリアで下り最大962/481Mbpsで通信可能。ウェブサイト(https://www.softbank.jp/ybb/air/area-list/)では、住所別下り最大通信速度も公開している。
●OCN モバイルがサブブランドに格上げか ドコモ自身が“サブ”化か
9月29日、NTTはTOB(株式公開買い付け)によるNTTドコモの完全子会社化と、12月1日付で代表取締役社長をはじめとする経営陣の交代を発表した。目的は、5Gやその次の次世代規格、6Gの競争力強化としている。主に法人向け分野の強化だ。買収側のNTTが「収入利益は3番手に落ちている」と分析する、個人向けの通信サービスとその関連サービスを強化する狙いもあるだろう。
完全子会社化で考えられる新たな展開は、サブブランドの立ち上げ、またはdocomoのサブブランド化、提供中の「ドコモ光セット割」の対象となるSoftBank Airと同じコンセプトのホームWi-Fi製品・ホームWi-Fiサービスの投入など。少なくとも「OCN モバイル ONE」を提供するNTTコミュニケーションズのドコモへの移管を検討していると明かしており、ドコモ回線を利用するMVNOサービスにはだいぶ影響が波及しそうだ。もちろん、動向次第では、モバイルWi-Fiルータ市場にも影響は大いに変化が生じるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
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