【木村ヒデノリのTech Magic #030】 急激に寒くなり冬の到来を感じるようになってきた。寒くなるとお風呂でゆっくりしたくなってくる。
今回、紹介するのはそんなお風呂タイムを一層充実したものにしてくれる防水モニターだ。パナソニックは以前から防水モニターをリリースしてきたが、ここにきて成熟を感じさせるクオリティに達した。

スマホライクに進化した白物家電といえる完成度
 防水テレビというカテゴリーの製品を他社があまり積極的に作らなくなっていくなか、パナソニックは継続して開発してきた。その集大成ではないかと言えるクオリティの製品が今回のUN-15N10だ。
 前モデルで搭載されたYouTubeなどの映像サービス視聴機能をさらにブラッシュアップし、使いづらかった部分を丁寧に改善した印象がある。正直テレビの機能面に関しては東芝レグザの一人勝ちのようなイメージを持っていたが、防水テレビにおいてはパナソニックの圧勝だ。
 筆者はこれまで東芝の防水テレビ(10WP1)を使っていたが、ユーザー体験の作り込みが甘くすぐに使わなくなってしまった。特に気になっていたのは起動時間とユーザーインターフェースだが、新しいプライベートビエラは二つとも合格点と言える。
 ただ、入手当初から快適だったかというとそうでもない。実は発売直後は電源を入れてもチューナーに接続できない不具合があり困惑した。というのも、チューナーに接続しないとWi-Fi接続があっても映像サービスの方も見られないので何もできなかったのだ。
 その後、2日くらいで新しいファームウェアがリリースされ、チューナーとの接続は改善した。
しかし利便性を考えると次モデルではWi-Fiを使ったサービスとアンテナで視聴する番組はそれぞれ独立して使えるようにして欲しいところだ。
 とはいえ、アップデート後は起動時間も早くなり、かつタッチで直感的に使えるなど、十分に満足できるものになった。前述したファームウェアもそうだが、YouTubeなどの個別アプリも頻繁にアップデートされており、安心感を得られた。
 従来は一度買ってしまうと新しい機能は追加されないイメージだったが、まさに最近のスマホやガジェットのように不具合や不便な部分があれば随時ファームウェアで対応してくれるのは大きな進化ではないだろうか。
●カタログスペックを信じていい便利さのキャスト機能
 スマホから好きな動画をテレビ側に配信できるのがキャスト機能だが、これもかなり便利だ。使い方はシンプルでYouTubeアプリで好きな動画を選び、右上のキャストボタンからプライベートビエラを選ぶだけ。
 電源が入っていなくても動作し、数秒でプライベートビエラから動画が流れる。「別に本体から操作すれば一緒じゃないの?」と思われる方もいるだろうが、これがそうでもない。例えばお風呂でスマホを操作しながら入っているとき、わざわざ動いてテレビまで行かなくても手元から見たい動画をキャストできたりする。
 さらにキャスト機能はリクエストを送るだけで後はプライベートビエラ側がストリーミングするため、携帯で別の作業をしていても途切れる心配がない。二つ以上の動画もキューとして次に再生するよう追加できるので、気になった動画をキューに入れてしまい、あとはスマホでメッセージを返すといった使い方ができる。
 一点気になったのは、キャストすると何回かに一回、本体側操作で見ていた動画が再生されてしまう部分。
発生条件が定かではないが、このあたりもファームアップで改善されることを期待したい。
●「お部屋ジャンプリンク」は他社製テレビとも互換性がある
 よく考えればDLNAがベースの機能なので不思議ではないのだが、国内テレビは各社独自の機能を付加しており、互換性が担保されていないケースでも対応することが多かった。ここがうまくいったのは嬉しい誤算だった。
 というのも、今までは同メーカーのテレビ同士を使っているのにこれがうまくいかなかったからだ。筆者の環境はREGZA-65X910とREGZA-10WP1を使っており、今回10WP1をプライベートビエラに変えた形だ。
 そもそも上手くいっていなかったので半ば諦めて他社製の防水テレビを入れたのだが、プライベートビエラではなんとスムーズに親テレビ(REGZA-65X910)からの配信が出来た。これにより我が家では「タイムシフトマシン+高性能防水テレビ」という最強の布陣ができてとても満足している。
 長風呂でくつろぐ際も、映像サービスの他に見逃したテレビ番組が見られるとなるとグンと選択肢が広がる。女性なら半身浴や調理の際に使えば生活が一層快適になるだろう。
●完成度の高い製品だからこそここは直してほしいというポイントも
 ほぼ申し分のない完成度の製品だからこそ惜しい部分に欲が出てしまう。起動時間からタッチ反応の速度まで基本的には実用レベルなのだが、唯一気になったのは映像サービスとテレビでのUIの違いだ。
 例えばテレビの場合、音量変更は画面タップで出てくるのに対し、映像サービスでは上端からスワイプすると表示されるようになっている。
ボタンの見た目も違うなど、当初は混乱してしまっていた。
 また映像サービスごとにUIが違うのも不便に感じた。慣れてしまえば気にならない部分ではあるが、こういう細かいところで利便性が格段にアップするのでパナソニックにはぜひ検討してもらいたい。
 このプライベートビエラに関しては筆者の満足度もかなり高く、すでに生活に欠かせないものになっている。年末も近づいてきたが、間違いなく今年買ってよかった製品ベスト5に入る良品と断言できる。快適すぎてこれからの季節、夏場以上にお風呂時間が長くなりそうだ。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。
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