●ハンドメイドで製作された満足感の高い佇まい
homuraは一生モノと思ってもらえる道具を目指して、すべてハンドメイドで製作されている。実際に手にしてみると写真で見るよりも細部まで行き届いた作りで、非常に満足できた。取手は木地師(きじし)という木工職人が担当し、滑らかで持ち心地が良い。木地師はろくろ師とも呼ばれ、椀や盆などの木工品を加工、製造する職人だ。日本では今から1200年ほど前に惟喬親王(これたかしんのう)が巻物の軸が回転する原理からろくろを思いつき、その技術を家臣の「小椋・大蔵」などの一族へ伝えたのが始まりと言われている。こうしたゆかりのある技術が使われている点も、伝統文化に触れられるという意味で良かった。
グリップ部の素材には岐阜県産の東濃ヒノキを使用。伊勢神宮の御用材としても使われている質の高い素材で、水気・湿気に強く軽い、かつ強度や耐朽性にすぐれているとのことだ。熱伝導率も0.095と低いため、冬場に素手で使う時も冷感を防いでくれる。
また、金属部分の溶接や焼き付け塗装も品質が高く、キャンプで思い切り使っても壊れたり剥げたりしなそうな点も気に入った。全長は薪バサミの中ではやや長めの540mmで、離れたところからでも焚き火のケアをすることができる。2軸の接合部がかなり太めのビスで固定されているので歪みづらく、重さのある太い薪も問題なくくべられそうだ。先端にはギザギザのパーツが付いているため、細い薪もすべらず掴めるように配慮されている。
●本体のみならバランスの取れた良品だが、オプションに懸念点も
前述したようにハンドメイドで作られた本体は信頼性が高いが、実用性ではいくつか懸念点が見られた。一つは本体がやや重めな点。492gと長めな本体にしては優秀だとは思うが、小さめな焚火台にはフィットしづらい。あくまで大きめの薪を複数くべていくような焚火台に合わせるのが良いだろう。
また、オプション品を取り付けた時の重さも懸念点だ。homuraにはフックと灰かきの二つのパーツが先端につけられるようになっている。自分は用途が多そうな灰かきを選択したが、これが意外に重い。物自体の重量は139gだが、先端につけるため長さも相まってかなり重く感じる。
もう一つ気になったのは、火吹き棒としても使えるグリップパーツだ。筆者としてもまさにここに魅力を感じて購入した部分なのだが、息の通り方が非効率と感じてしまった。元々筆者が使っていたのはVARGO(ヴァーゴ)のアルティメイトファイヤースターターだが、比べてみるとこちらの方が力を入れずに効率よく酸素を送れる印象。重さも53gと非常に軽いので、実用ではこちらに軍配が上がった。
●コンセプトは非常に良いので、第2世代に期待したい製品
火吹き棒と薪バサミを統合しようというコンセプトは非常によかったhomuraだが、実用部分であともう少し頑張って欲しい点が垣間見られた。本体の形状や長さは問題なかったので、軽さと息を送る際の抵抗をブラッシュアップしてくれれば、メーカーが提唱しているような「一生使える製品」になると感じた。次回作ではオプションパーツの重量など、更なる進化に期待したい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
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