「Oculus Quest」シリーズは、2代目の「Oculus Quest 2」で価格を下げ、より軽くして、バッテリー駆動時間を伸ばしたことで、VR・ARゴーグル市場を活性化。9月現在でFacebookは7割以上のシェアを占めるに至っている。以前はソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation VR」やHTCの「VIVE Cosmos」なども人気を集めていたが、単体動作できなかったり高価だったりしたこともあって、なかなか長続きしなかった。
VR・ARゴーグルにはスマートフォン(スマホ)を挿入することで疑似的なVR体験ができる安価な製品も数多く存在する。このカテゴリーでダントツなのがエレコムだ。スマホを入れる箱とレンズというシンプルな構造であるため平均単価は3000円前後と安い。Oculusなどの本格的な通電タイプの10分の1程度だ。VR映像をちょっと試すにはちょうど良かったこともあり、3年前の2018年には販売台数のおよそ半分を占めていた。しかし現在ではOculusなどの本格的な通電タイプが、販売台数の8割前後を占めるまでに拡大。販売台数前年比を見ても、特に通電タイプの伸びが大きい。
普及しつつあるVR・ARゴーグルだが、飛躍的な販売拡大は当面難しい。小型化してきたとはいえ、まだまだ本体が大きすぎる。顔に巨大なデバイスを装着している姿はどう考えてもバランスが悪い。各社が開発にしのぎを削っているメガネ程度の大きさで機能するVR・ARグラスの登場で販売は一気に盛り上がるだろう。また、完全に視界を遮るVR用途は応用範囲が狭い。デバイスを身に着けて歩き回る用途では、ぶつかったり倒れたりしてもケガをしないようクッションなどを完備した専用フィールドが必要。リアルとバーチャルを混ぜ合わせて体感できるARでの活用が、より期待できそうだ。(BCN・道越一郎)
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