●鉄板が良いと思っていた、でもそうじゃなかった
たこ焼き店で働いていた身としては、一番は銅製、二番目は鉄製だと思い込んでいた。銅製は熱伝導率がよく、鉄製の鋳物は一度温まると温度変化が少ない。どちらも油の皮膜を作るなど、手間をかけて育てなければならないが、頑丈で金属製の目打ちも使える。何より外はカリッと中はトロッとはテフロン製では難しいと思っていたが、これは完全な思い込みだった。テフロン製のプレートというと、なんとなく電気式たこ焼き機とセットのイメージで敬遠していた。しかし原因は「電気式」の部分でテフロンではなかったのだ。
現に炎たこIIでは鉄製と遜色ない仕上がりで焼き上げられ、かつ断然手入れが楽だ。プレートは丸ごと洗えるので、今までのようにお湯で手洗いしたり、薄く油を塗ったりする手間もなくなった。
●構造や焼ける数が絶妙な逸品
炎たこIIの大きな特徴はガスを出す部品の形状だ。これは前モデルからそうだったが、ガスが業務用のように直線で出るようになっている。今までもガスコンロとテフロンプレートの組み合わせて同じようなことはできたが、丸いコンロに四角のプレートを使うと場所によって大幅に火力のムラができてしまっていた。
対して炎たこIIでは直線的なガスで焼きムラが少なくなっている。丸い形状のコンロには丸い鉄板を使えば良いのでは?という疑問もあるだろうが、鉄板が丸い形状だと1つずつのたこ焼きを同じ大きさにするのが難しい。その点も炎たこIIでは四角のプレートに切り溝がつけられており、1つの穴に対する生地を均一にしやすい。
また、一般的なコンロ用たこ焼きプレートが16個前後なのに対して炎たこIIは4個多い20個を採用。通常ここまで大きいとバランスが悪くなってしまうが、そこは本体とプレートが専用設計されている利点。安定したバランスと火力で安心して調理することができる。二人で食べる時は16個でも問題ないが、大人数で食べる時は少々足りないこともあった。
●くっつきづらさは抜群、工夫次第で子供とのおやつ作りにも
テフロン製の抜群のくっつきづらさはプロ級のたこ焼き仕上げにかなり役立つ。というのも、中をトロッとさせるために重要なのが「できる限り強火で調理し、最初の返しを早くすること」だからだ。たこ焼きを作るとき、生地が固まるのを待ってから返しはじめがちだが、実はこれよりも良い方法がある。それは1度目の返しをなるべく早くすること。まだ生地が白く、周りがひたひたなうちに1度目を返すと中をトロっとさせやすい。
これを実現するには焼きはじめの強火が重要なのだが、一般的なたこ焼きプレートではくっつくのが怖くてどうしても弱火で始めてしまう。炎たこIIのプレートも大丈夫なのか心配だったが、強火でもくっつく様子がまったくない。これなら初心者でも火加減だけ考慮して作れるので簡単だ。また、丸くなってきてからも簡単にひっくり返すことができるので、焦がす心配も少なくなる。
くっつかない特性はたこ焼き以外のレシピでも生きてくる。パンケーキやシュウマイ、アヒージョなど、アイデア次第で多様に使えるだろう。
●プレートを傷つけない配慮は必要、そのほかのデメリットは?
当然だがプレートを傷つけない配慮は必要。パッケージの写真では竹串を使っているが、筆者としては樹脂製のピックをおすすめする。その他で気になることといえば特化しすぎている点。せめて同社の炉ばた専用機である炙りやのパーツもオプションで購入できるようになっていればさらに活用の幅が広がるだろう。
他社製だが互換性のある鉄板は販売されている。こうしたオプションを購入すればアウトドアでも活躍してくれる機器になりそうだ。今後こうした互換製品が出てくれば用途が広がるので発見したら試してみたいと思う。
人気の製品で一時期価格が高騰していたが、2021年11月現在は落ち着いているようだ。前モデルであるスーパー炎たことはカラーのみが違うので、そちらを安く購入するのも良いが、アウトドアで使うならマットブラックの現行品がおすすめ。大火力で作る本格たこ焼きをぜひ味わって欲しい。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
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