●家電の買い物がつまらなくなる
パナソニックのホームページによると、価格改定率は約3~23%増(8月度 価格改定分で記載)である。対象カテゴリーは8月の冷蔵庫、食器洗い乾燥機などをはじめ、9月以降は電子レンジや炊飯器、ドライヤーといった白物家電のほか、ブルーレイ・ディスクレコーダーやポータブルテレビなどが予定されている(図参照)。
このパナソニックの価格改定は、家電量販業界で話題になっている「メーカー指定価格」と相まって、家電量販業界の「本部商談」の在り方を大きく変えるだろう。
今までは「買い取り」が基本であり、各家電量販企業は自由な値付けを行えたため、時間の経過とともにプライスダウンさせ、自社の販売台数を増加させることもできた。
このプライスダウンの原資は「販売奨励金」と称するメーカーからのリベートであることが多い。メーカーからすれば「商談を重ねるたびに金が要る」といった状況になっていたわけだ。
それが今後は委託販売になり、返品が可能になる代わりに、メーカーの「指定価格」で販売しなければならない。消費者から見れば、今までは「新発売時の初回売価と処分間際の売価では2~3割安くなっていた」のが、「製品のライフサイクル期間中、ほとんど値動きがなくなる」ため、「お買い得感」といった買い物の醍醐味が得られなくなる。いつ行っても同じ価格だから、家電製品の買い物がつまらなくなってしまいかねない。