データは、BCNが集計するPCやデジタル家電などのハードウェア主要88カテゴリーの年間販売実績によるもの。22年の特徴は、前年を上回るカテゴリーが、販売台数で13、販売金額で27とわずかだったこと。多くのカテゴリーで前年を下回った。動きが大きかったカテゴリーをピックアップすると、まず、伸びが目立ったのが「VR・ARゴーグル」。主要メーカーのMeta Platformsが値上げを実施したことで、駆け込み購入が生じ販売を押し上げた。新興企業も徐々に参入し、静かなメタバースブームを形成。販売台数前年比で128.0%、金額で156.6%と大幅な伸びを示した。また「ホームWi-Fiルーター」(自宅に据え置いてモバイル回線経由でインターネットに接続できるようにする機器)も好調。
映像の美しさからハイエンドモデル買い替えの受け皿として大幅な伸びを続けてきた「有機ELテレビ」。折からの単価下落で、台数こそ102.7%とわずかに前年を上回ったものの、金額で95.6%と前年を下回った。「液晶テレビ(4K)」は、特需の反動減が続いており、台数88.4%、金額90.3%と2桁割れ水準にとどまった。このほか、反動減が目立つのは「無線LAN機器」(台数81.3%、金額86.7%)、「スキャナ」(台数78.3%、金額77.3%)、「DVD・HDDレコーダ」(台数76.4%、金額77.9%)など。オンライン会議需要でオーディオインターフェイスなどが活況だった「DTM関連機器」も台数71.8%、金額79.3%と前年を大きく割れた。アップルがiPodを終売にして話題を呼んだ「携帯オーディオ」。台数76.7%、金額87.3%と前年を割れたが、終売前後の駆け込み購入で市場縮小の動きは一時的に減速した。また、暗号資産の相場下落に伴ってマイニング需要が急速にしぼんだため「グラフィックボード」も台数69.7%、金額70.0%と大幅に売り上げを落とした。
23年のデジタル家電市場は、前半ではコロナ禍特需の反動減を引きづりつつ、徐々に影響から脱していくものと見られる。
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