放送波離れの影響をモロに受けている製品がある。
放送波コンテンツを録画する機器は、ビデオデッキから始まり、DVDレコーダー、HDDレコーダー、BDレコーダーなどへと進化してきた。これらの機器は、いずれも放送波のコンテンツを視聴することが前提だ。肝心の放送波視聴そのものが減ってくれば、レコーダーの需要も当然減衰する。その上、TVerに代表されるように放送事業者自らが、時間差視聴の環境をネット経由で提供するとなれば、なおさらだ。そもそも、テレビ自体にも録画機能がある。
現在レコーダーのトップシェアを握るのがパナソニックだ。テレビやカメラでは低迷しているものの、レコーダーではダントツ。年間トップシェアメーカーを表彰するBCN AWARDを、2012年から2023年まで12年連続で受賞し続けている。製品の特徴はネットワーク。スマートフォン(スマホ)で本体に保存した番組や音楽、写真などを外出先から楽しめたり、共有できたりする機能が秀逸だ。いち早く放送波録画機に付加価値をつけ、家庭内サーバーとしての機能を充実させてきたことが奏功している。さすがのパナソニックも、昨年夏ごろまでは前年比で大きなマイナスに甘んじていた。しかし、年末商戦以降前年並み水準は確保できるようになってきた。
身近にある「画面」は、スマートウォッチからスマートフォン、タブレット、PC、テレビと、グラデーションを形成している。TPOに応じて、使用するディバイスを使い分ける、というのが、現代人の動画コンテンツとの付き合い方だ。放送波の視聴がさらに減っても、動画を視聴できる大きなディスプレイとしてのテレビは残る。大画面・高画質という武器もある。問題はレコーダーだ。前述した三重苦に加え、レコーダー市場そのものが成立しているのはほぼ日本のみ、という特殊事情もある。海外では再放送なども多く、そもそも放送波を録画するニーズがほとんどないためだ。一方で、日常的に接する動画コンテンツの数そのものは爆発的に増えている。例えば、溢れる動画をシームレスに整理する機器や機能にはニーズがありそうだ。レコーダーは、新たな存在意義を見つける必要に迫られている。
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