●「子育て支援」や「引っ越し」の申請もスマホで便利に
コンビニでの他人の住民票や戸籍謄本の写しが誤発行されたケースでは、河野太郎デジタル大臣が5月9日の記者会見で、再発防止のためシステムの運用を停止して、徹底的に再点検することを要請したと説明した。厚労省の入力ミスの件でも、加藤勝信大臣が、一斉チェックをして入力時に十分配慮するように徹底すると説明した。
こうした中で5月11日からスタートした「スマホ用電子証明書搭載サービス」とは、「マイナンバーカードの保有者が、マイナンバーカードと同等の機能(署名用及び利用者証明用の電子証明書)を持った、スマートフォン(以下、スマホ)用の電子証明書を搭載することにより、マイナンバーカードを持ち歩くことなく、スマホだけで、様々なマイナンバーカード関連サービスの利用や申込ができるようになる」というものである。
これにより、「子育て支援」や「引っ越し(23年度7月ごろより)」「確定申告(24年度より)」のオンライン申請などをはじめ、「薬剤・検診情報」や「母子健康手帳」の自己情報の閲覧、「予防接種の知らせが届く」など様々なサービスが自分のスマホだけで利用できるようになる。しかし、システムの不具合の可能性や自己責任の部分があるというデメリットも理解しておくことが大切になる。
●スマホの「下取り・買取」「回収・廃棄」などは注意
特に、自己責任の部分では、スマホ電子証明書の「失効手続」と「一時利用停止」といった自分で行わなければならない手続きが挙げられる。
スマホを「下取り・買い取りに出すとき」「回収・廃棄をしてもらうとき」「修理に出すとき」は、該当するスマホからマイナポータルアプリを開き、失効手続を行うことが必要になる(図1参照)。
法律により、失効手続は利用者自身で行うことが義務付けられており、販売店などのスタッフが代行することはできないため注意が必要である。
また、スマホを「紛失したとき」「盗難にあったとき」は、手元にスマホがないため「マイナンバー総合フリーダイヤル」に電話し、スマホ用電子証明書の一時利用停止をしなければならない。
便利になればなるほど、一旦、トラブルが発生すれば、大きな被害と多大な労力が掛かる時代。
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
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