転居に際して、それまで使っていた電力会社、光ファイバー回線の事業者を変更してもいいと考える人は多いだろう。
●住宅ローン控除は厳密化 非「エコ」な建物は2024年度から対象外に
auじぶん銀行の住宅ローンは、以前から低金利と充実した団体信用生命保険(団信)で知られ、これまでもau回線と「じぶんでんき」をセットで利用すると、住宅ローン金利が年0.10%引き下げとなる「au金利優遇割(auモバイル優遇割+じぶんでんき優遇割)」を提供していた。au回線契約者のみ契約できるau金利優遇割の適用時、全期間引下げプラン変動金利(23年9月適用)は年0.219%(新規)・年0.198%(借り換え)となり、15年ほど前に変動金利や固定金利で借り入れた場合などは、借り換えると毎月の返済額が下がるケースが多かった。
今回のパートナーシップにより、CATVインターネットサービスの「J:COM NET」、CATVサービスの「J:COM TV」のいずれかまたは両方に新規で加入し、auじぶん銀行の住宅ローンを新たに契約した場合、「au金利優遇割」とあわせ、最大年0.15%の金利を引き下げ、全期間引き下げプラン変動金利(借換え)において、auじぶん銀行史上最低金利が実現する。持ち家購入に際して、提携ローンがなく、この秋以降にJ:COMのサービスエリア内に住宅を新築する人などは、au回線とのセット利用を前提にインターネット・テレビサービスの利用先候補にJ:COM、住宅ローン借入先にauじぶん銀行を入れておこう。
なお、24年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、一定の省エネ基準を満たす住宅以外は住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の対象外となる。この変更に関連して、22・23年の入居なら「借入限度額3000万円・控除期間13年・控除率0.7%」だが、24・25年入居となると「住宅ローン控除なし(※23年12月末までに建築確認を受けた場合、借入限度額2000万円・控除期間10年・控除率0.7%)」に該当する物件の大幅値引きがあると記者は予想する。J:COMとのセット利用によるさらなる金利引き下げ・同行史上最低金利の狙いは、この持ち家駆け込み購入を見越したものだろう。
●「auマネ活プラン」や「auじぶん銀行住宅ローン」で囲い込むKDDI
auの料金体系は、同じKDDIの4G/5Gネットワーク網を使った「UQ mobile」「povo 2.0」やMVNOに比べて高く、auじぶん銀行の住宅ローンで金利優遇があってもトータルでみると負担が増すという見方もある。とはいえ、住宅ローンは一般的に20~35年の返済期間で借り入れるため、厳密に比較するには住宅ローン借入期間と同期間の通信料金を想定して試算する必要があり、ひとまず住宅ローンのお得度だけで選んだほうが分かりやすく感じる人が多そうだ。
新料金プランのauマネ活プランと組み合わせると、住宅ローンを返済しながら資産運用することも可能。史上最低の低金利が続く現在、頭金は入れずに住宅ローン控除の上限(借入限度額)まで借り入れるとよいとされる。
住宅購入を検討している人、住宅ローンの借り換えを検討している人はauじぶん銀行やau経済圏に注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
■Profile
FPライター・sfmi
神奈川県生まれ。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。本連載では、街・人・お金に関する情報を中心に取り上げていきます。
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