【拝啓、徳島より38】豊かな自然に囲まれた山間の町、徳島県那賀町。古き良き日本の里山風景が残る静かな町に、ちょっと物騒な名前の名物が受け継がれています。
その名も「はんごろし」。遠方からもファンが絶えない人気商品で、筆者も移住してすぐに虜になりました。地域で大切に守り伝えてきた郷土の味をご紹介します。

物騒な名前とはギャップのある、
かわいらしい丸っとしたフォント(筆者撮影)
●山々が連なる森の町で育まれた、里山スイーツ
 徳島県那賀町は、四方を山に囲まれた自然豊かな森の町です。北に日本百名山に数えられる剣山を臨み、町内には絶景ツーリングスポットとしても有名なスーパー林道が走ります。紅葉の名所である高の瀬峡は四国随一の美しさと言われ、周辺では特産品のゆずを使った多種多様なお土産が人気です。
 アウトドアスポットに絶景、おいしいものがてんこ盛り。徳島でも特に“遊びがいのある町”、那賀町で、地域のお母さんたちが大切に受け継いできた絶品スイーツが「はんごろし」です。
パッケージにも「はんごろし」の文字
(筆者撮影)
 少しギョッとしてしまう名前ですが、実はこれ、おはぎのこと。作り方はシンプルで、もち米とうるち米を炊いてすりつぶし、こし餡を包んで、仕上げにきな粉をふって完成です。
 米粒が半分残る程度にすりつぶすので、米が「半殺し状態」になっているから名前も「はんごろし」。かなり攻めたネーミングですよね。

素朴な見た目がおいしそう!
(筆者撮影)
 餡の甘さは控えめで、もち米にはヨモギも混ぜてあるので見た目はおはぎというより草餅に見えなくもありません。田舎の親戚の家で食べたような、素朴な見た目がなんとも懐かしいですよね。
 ちなみに、徳島県内の他の地域では、米をしっかりすり潰して作る「みなごろし」と名付けられたおはぎも売られているので、いつかそちらも食べてみたいと思っています。
さっぱりとした餡が最高!
(筆者撮影)
 さてこのはんごろし、2002年頃に郷土の味を守り伝えようと地域のお母さん方が一念発起。グループを結成して、製造・販売を始めた歴史があるのだとか。
 大きさは拳よりひとまわり小さく、きな粉がかかったもち米は軽く塩味が効いていて、餡の控えめな甘さと相性抜群。食べ応えはありながら、さっぱりとした後味に、二つ、三つとついつい手が伸びてしまうおいしさです。町内外からはんごろしを目当てに訪れる人が多いのも納得です!
 店員さんによると「お店のエース級の売れ行きです」。午前中に売り切れてしまう日もあるのだとか。
●わざわざ現地にいく価値がある!
 はんごろしが購入できるのは、徳島市から車で約1時間20分ほどの那賀町相生(あいおい)地区にある小さな物産館「農産物直売所あいおい」です。
 目標は、店舗前に掲げられた「はんごろし」の大きな看板。丸っとしたフォントもかわいらしいですね。

 道路を挟んだ向かいにはダム湖と温泉があり、温泉は日帰り入浴も可能です。ダム湖の対岸には小さなキャンプ場やちょっとした広場もあるので散策にもぴったり。
 直売所でお弁当とはんごろしを買ってピクニックするのもおすすめです。春や夏はダム湖でカヌーもできるので(要予約)、いつかチャレンジしたいと思っています。
自然がいっぱいの那賀町は遊び場がたくさん
(筆者撮影)
 また、直売所から車で5分ほど走れば、「那賀町山のおもちゃ美術館」にも行ける好立地にあります。美術館には木でできたさまざまな遊具や玩具があり、老若男女問わずに楽しめる空間となっています。実は筆者も以前訪れた際、木のおもちゃの積み上げ個数で歴代1位タイを記録し、今でもひそかな自慢にしています。
 はんごろしはもちろん、はんごろしを食べに来るついでに、見どころいっぱいの那賀町相生をぜひ散策してみてはいかがでしょうか。(フリーライター・甲斐イアン)
■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。
21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
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