「OPPO Find X8」のカメラ部。
ハッセルブラッドのロゴマーク「H」が光る
ハッセルといえば、知る人ぞ知るプロ向け中判カメラの一大ブランド。スウェーデンのヨーテボリに本社を構える。フィルム写真の全盛時代、スタジオカメラマンにとって必携の機材が「ハッセル」のカメラだった。特徴はフィルムを装填するフィルムバックが、フィルムを入れた状態で交換できること。フィルムでの撮影は、現像するまでどう写っているかの確認ができない。そのため、フィルムを装填するフィルムバックにポラロイドのインスタントフィルムを詰め、テスト撮影を行うのが常だった。ライティングや構図、露出などを確認するためだ。
ハッセルブラッドを象徴するフィルムカメラ、500C。
最後部にあるフィルムパックが交換できる
OPPO Find X8の製品発表会で、半分以上の時間を費やしたのがカメラ機能の説明だった。例えば、三つのアウトカメラは、35mmフィルムカメラ換算(以下同)で焦点距離15mm相当の超広角レンズ、24mm相当の広角レンズ、70mm相当の望遠レンズを備え、いずれも5000万画素。特に望遠レンズは、W型プリズムを搭載。光を3回屈折させる構造で焦点距離を稼ぎ、7.9mmと薄いスマホのボディーに、3倍の光学ズームを搭載することに成功した。また、10倍以上のデジタル高倍率ズームでは生成AIで補正を行い、鮮明な画像を可能にするという。ハッセルとの協業で「HNCS(Hasselblad Natural Colour Solution)」をビルトインし、より自然な色味を実現する。ハッセルを協業先に選んだ理由について、オウガ・ジャパンの河野謙三 専務取締役は「写真や色味の考え方がOPPOと近しいものだったから」と説明する。
OPPO Find X8の特徴を説明するオウガ・ジャパンの河野謙三 専務取締役
かつてスタジオカメラマンの象徴的アイテムだったハッセル。
ソニーが13年10月に発売した「レンズスタイルカメラ QX-10」。
無線接続したスマホを、モニタ―として使うことを前提としたカメラ
スマホに押され市場を失ってきたデジカメ。次々に「陣地」を奪われている。最初にコンパクトカメラ。次にエントリー一眼レフ、そしてエントリーミラーレス一眼……。もはやデジカメの国土は何十万円もする、高額な「高級ミラーレス一眼」しか残っていないかのように見える。
サムスンが12年11月に発売したAndroid搭載の「GALAXY Camera」。
その後、同社は15年にカメラ事業から撤退した
カメラメーカーも、座して死を待っているわけではなかった。Android搭載モデルでスマホの機能を取り入れようとしたり、レンズのみの形状でスマホと組み合わせて使うことで、スマホとの共存を狙ったりと、さまざまな試みがなされてきた。ところが残念ながらすべて失敗に終わった。それほど、スマホという名のカメラの存在は強大だ。カメラメーカーが生き残っていくためには、これまでにない新たなカメラの姿を見つけるしかないだろう。まず必須なのは通信機能と大きなモニターだ。次代のカメラは、かつてサムスンが試みたAndroid搭載モデルにヒントがあるように思う。
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