耳を塞がないクリップ型完全ワイヤレスイヤホン(クリップ型オープンイヤーTWS)の市場が盛況だ。2023年は17社だった参入社数が24年に34社と倍増。
24年の販売数量は23年と比較して約3倍に拡大したことが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から明らかになった。
 なお、当記事での「クリップ型オープンイヤーTWS」とは、「BCNランキング」にて、耳に掛けて装着するクリップ型かつ耳を塞がない完全ワイヤレスイヤホンを指す。
 クリップ型オープンイヤーTWS市場は立ち上がって間もないため、メーカー間のシェア争いは激しい。23年は、イヤーカフのように耳に装着する製品で話題となったambieを筆頭に、上位5社で9割近いシェアを占めていた。しかし、24年になるとTOP5の顔触れは変わり、シェアも大きく変動している。上位メーカーによる占有率は下がり、多数のメーカーによるシェア争いが起きたことが分かる。
 24年にメーカーシェア首位となったBOSEは、24年3月に「Ultra Open Earbuds」を発売し、新規参入した。定価は4万円近い価格ながら、年間シリーズ別販売数量ランキングで1位となった。同社はこの1製品のみで17.6%ものシェアを獲得している。
 骨伝導イヤホンで確固たる地位を築いているShokzは、23年は3位だったが、24年は2位に上昇。24年5月発売の「OpenFit(SKZ-EP-00002)」が年間5位にランクインしており、クリップ型オープンイヤーTWSで存在感を高めている。
 市場の先駆け的存在でもあるambieの「ambie sound earcuffs(AM-TW01)」はロングヒットとなっている。
21年12月発売にも関わらず、24年のシリーズ別ランキングで年間2位を獲得した。24年10月には後継機「AM-TW02」が登場。すでに月間ランキングでは上位入りしている。ambieは23年のメーカーシェアが1位、24年が3位とTOP3を維持。25年も上位争いに加わる可能性が高いだろう。
 クリップ型オープンイヤーTWSはまだ普及の途上にある。完全ワイヤレスイヤホン全体のうち、販売数量ベースで同タイプが占める販売数量比率は8.0%。利用者は今後も増えていくだろう。
 BCNが24年5月に実施した消費者調査では、イヤホンの購入予定がある6637人のうち、24.9%がオープンイヤーイヤホンの購入を考えていた。装着感に悩みを抱えているユーザーや、周囲の音に気を付けながら音を聴きたいというニーズを持ったユーザーの支持を受け、25年も市場の拡大は続きそうだ。(BCN総研・カケイ サイト)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースです。
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