画面の反射に悩まされている。今メインで使っているノートPCは非光沢の液晶画面なのだが、微妙に照明の光を反射して使いづらく思う場面が多い。
その都度画面の角度を調整しながらだましだまし使っている状態だ。しかし、最近では紙のように反射を抑えたディスプレーを備える製品もあるという。TCLのタブレット「NXTPAPER 11 Plus」もその一つ。この低反射ディスプレーが使い勝手にどれくらい影響するのか、試した。

 NXTPAPER 11 Plusのディスプレーは11.5インチ、2220×1440 ピクセル、120Hz。TCLのNXTPAPER 4.0という低反射液晶ディスプレーを採用しているのが最大の特徴だ。ちょっと見ただけでもそのマット感が気持ちいい。光を全く反射しないわけではないが、非常に抑えられているのがよくわかる。光をどの程度反射するものか、試しに意地悪な実験をしてみた。8.4インチで光沢ディスプレーの他社製タブレットと、NXTPAPER 11 Plusを並べて置き、ビデオ用の簡易LED照明をすぐそばまで近づけた。どの程度「テカる」ものなのか。上のタブレットは光沢ディスプレーだけに、照明のLEDがしっかり見えてしまうほど「モロ」に反射してしている。
その部分の映像は全く見えない。しかし下のNXTPAPER 11 Plusは、多少光を反射して白っぽくはなるものの、映像はきちんと確認できる。撮影の都合で斜めから写しているので、ややコントラストは落ちてしまっているが、肉眼で見ると色はもっと鮮やかだ。もともと光沢液晶のほうが色味が鮮明になるものだが、それに近い色再現ができている。TCLは世界有数のディスプレーパネルメーカーでもあり、なかなかの出来栄えだ。
 ディスプレーの反射が少ないと何がいいのか。ズバリ、使用時のストレスが全く違うのだ。反射の多いディスプレーでは、どうしてもコンテンツに集中できない。反射を避けるため、その都度角度を変えたりしなければならず面倒だ。反射する部分が残っていれば、そこが気になってとてもストレスを感じる。そもそも反射が少なければ問題ない話だ。ディスプレーが光を反射するかしないか。
この違いはとても大きい。手に持って使用するスマートフォン(スマホ)であれば、反射光が目立たないように調整しながら使うこともできる。一方、タブレットやPCは机に置いて使う場合が多い。そんな時にあれこれと調整せず、すぐにクリアな画面が楽しめるのは、地味ながらとても素晴らしいことだ。
 スマホとPCの中間的な存在ともいえるタブレットは、動画視聴や電子書籍を楽しむためのデバイスとして優れている。特に11インチ程度の大きさがあれば、スマホよりも広い画面でそこそこ迫力もあり十分に楽しめる。LCCを使って海外旅行する際の暇つぶしアイテムとしてもうってつけだ。あらかじめ何本かダウンロードしておいた映画を持っていけば、モニターなしの座席でも十分楽しく、空の旅を満喫できるだろう。旅客機のテーブルにタブレットを置いて映画などを観たりする場合、ディスプレーの置き場所や角度がかなり限定される。ディスプレーの角度に困る場合が結構ある。しかし、光の反射を気にする必要がなければ、タブレットを置いてすぐにコンテンツを楽しめるわけだ。
 NXTPAPER 11 Plusには、側面に「NXTPAPER KEY」という、他のタブレットにはない、光るボタンが配置されている。
初期設定では、1度押しで「NXTPAPERモード」の切り替え画面にアクセスできる。高解像度で明るい「通常モード」、やわらかい色調で、より反射を抑えた「カラーペーパーモード」、モノクロでさらに反射を抑えた紙のような使用感の「インクペーパーモード」の3つが用意されている。用途に応じて切り替えて使用できるわけだ。ボタンを長押しすれば、「通常モード」と「カラーペーパーモード」をダイレクトに切り替えられる。また、ボタンの2度押しで、AIが文書作成を手伝う「ライティングアシスト」モードが起動。メールや招待状の作成ほか、ビジネス文書の作成をアシストしてくれる。
 AI機能が充実しているのも特徴だ。前述した「ライティングアシスト」に加え、動画や音声などにリアルタイムで字幕を付ける「リアルタイム字幕」や議事録などを自動生成する「スマートボイスメモ」、テキストの翻訳やリライト、要約を生成する「テキストアシスト」、さらにテキストや画像、音声などを翻訳する「スマート翻訳」など盛りだくさん。アウトカメラにはAIで自動的にシーンを認識する「AIシーンディテクション」機能も搭載している。
 そのほか、重さ490gと軽量。厚さ6.5mmと板のような薄さを実現。鞄のちょっとした隙間に突っ込めるため、持ち運びも苦にならない。
バッテリーは8000mAhと大容量でUSB-PD 33W充電に対応する。256GBのストレージに8GBメモリー、さらに8GBの仮想拡張メモリーも備える。SOCはMediaTekのHelio G100だ。また、別売りの純正スタイラスペン「T-Pen」を使えば、紙とペンを使うような感覚で文字や絵の手書き入力が可能。重いゲームは手に余るが、NXTPAPER 11 Plusは普段使いの相棒としては申し分ないタブレットと言えるだろう。(BCN・道越一郎)

【注目の記事】
世界有数のテレビ生産基地、中国・深センのTCLで日本戦略を聞く【道越一郎のカットエッジ】
紙のような画面のタブレットと55万円の三つ折りスマホ、ファーウェイがリリース【道越一郎のカットエッジ】
激推し「8インチタブレット」、立って座って使い分け【道越一郎のカットエッジ】
中国のアリエクに購入品の修理は依頼できる?──去年買ったタブレット「iPlay 50 mini Pro」のタッチパネル不良で【道越一郎のカットエッジ】
8インチタブレットの画面が剥がれて買い替えたら容量爆増で快適だった【道越一郎のカットエッジ】
編集部おすすめ