東京ゲームショウ(TOKYO GAME SHOW=TGS)2025が9月28日、閉幕した。25日からの4日間、千葉県・幕張メッセで開催された。
出展社総数1136社。過去最大だった2024年を上回り、規模は史上最大。47の国と地域から企業・団体が出展しこちらも過去最多。グローバル化も進んだ。毎年足を運んでいるのだが、毎回その勢いと熱気に圧倒される。カメラと映像の見本市CP+よりも、東京モーターショー改め、Japan Mobility Showよりもはるかに「熱い」。

 会場をぐるっと歩けば、目立つのはずらりと並ぶゲームのプレイコーナー。TGSの主役はPCゲームだ。何十台も並ぶデスクトップのゲーミングPCとモニター。ずらりと並んで来場者がプレイする様子は圧巻だ。会場内は作品に登場するキャラクターのコスプレや着ぐるみが動き回り、練り歩き、お祭り感があふれる。ゲームと言えば、家にこもって一人で黙々とプレーするというイメージが強い。
仲間とコミュニケーションを取るにしてもボイスチャット越しだ。しかし、TGSではため込まれたゲーミングパワーが、リアル空間に解放され渦巻いていた。この産業はまだまだ伸びる。そんな印象を持った。
 TGS会場でメディア向けに配布された「CESA ゲーム産業レポート2025」(プレビュー版)には、世界と日本のゲーム市場概要がまとめられていた。2024年現在の日本のゲーム市場は、73%がモバイルゲームで圧倒的。家庭用ゲームが16%、PCゲームが11%という構造だ。2020年からの5年間の動きをみると、モバイルゲームと家庭用ゲームの比率が徐々に縮小。一方PCゲームは伸びている。モバイルゲーム、家庭用ゲームが伸び悩む中、この5年で市場規模は倍増した。ワールドワイドでは、モバイルゲームが59%、PCゲームが22%、家庭用ゲームが19%と、PCゲームの比率が高い。日本では、歴史的にファミコンやセガサターン、プレイステーションを源流とする家庭用ゲームが強い。
しかし、伸びているのはPCゲームなのだ。
 賑わいが加速するゲーミング市場を狙って、ハードメーカー各社の動きも活発だ。つい先日も、日本のゲーミングPCのパイオニアともいえるサードウェーブが、ゲーミングPCブランドの「GALLERIA(ガレリア)」シリーズの刷新を発表。大規模な発表会を開催した。「S Series」「X Series」「F Series」「E Series」の4シリーズに加え、「GSL(=Galleria Special Line)」を新たに展開する。特に「S Series」は、「性能・冷却・造形美、すべてを極めたフラッグシップ。」をコンセプトに掲げた頂点に君臨するシリーズ。AMDのハイエンドCPU「Ryzen Threadripper」を使ったシステム構築も可能だ。ゲームプレイだけでなく、4K以上の映像編集やゲーム開発、3D CG制作などの重いクリエイティブワークへの活用も想定。同社では筐体が光るモデルと光らないモデルを用意し、ゲーミング用途とクリエイティブ用途の双方に対応する。
 また、「ROG Ally」で、ハンドヘルドのゲーミングPCというカテゴリーを確立したASUSも、Xbox版の携帯型ゲームPC「ROG Xbox ALLY」シリーズを25日から先行展示。来場者の興味を引いていた。ラインアップは「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」の二つ。
本体カラーがホワイトの「ROG Xbox Ally」は、カジュアルゲームやハイビジョンの720pゲームタイトルに最適化。4コア8スレッドの「AMD Ryzen Z2 A プロセッサ」に16GBのメモリーと512GBストレージを搭載した。また、本体カラーがブラックの「ROG Xbox Ally X」は、フルハイビジョンの1080pゲームなどでも快適に遊べる、よりハイパワーなモデル。8コア16スレッドの「AMD Ryzen AI Z2 Extremeプロセッサ」に24GBメモリーと1TBのストレージを搭載。トリガーボタン自体に振動を伝えるインパルストリガーも備えた。いずれも本体左側に配置した「Xboxボタン」で、Xbox Game Barをすぐに起動。ゲームやアプリの切り替えもスムースに行えるのが特徴だ。
 ゲーミングで盛り上がるPCだが、AIもまたPCのあり方を変える大きな要素。「ゲーミングやAIの活用」という明確な目的のもと、PCを買い求める動きは今後加速するだろう。もう「OSのサポート終了」という本質とはかけ離れた理由で、PCの買い替えを促す必要はなくなるかもしれない。(BCN・道越一郎)
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