昨年5月には、大手家電流通協会と共同でエアコンや石油ファンヒータ、石油ストーブなど家電4品目の販売データと温度データを付け合わせる調査を実施。6月から8月のエアコンの販売台数と平均気温の変化は連動性が高いことがわかった。例えば7月には、平均気温が平年より2℃高くなると、エアコンの販売数が約1.5倍に増加するという相関関係が把握できた。また「エアコンはお盆を過ぎたら販売台数が減少する」という家電業界ではよく聞かれる話も、データにより裏付けられたという。
気象庁の気象データは、気温に関していえば2週間先までの予測が可能だ。エアコン販売の現場では、販売ピークの平準化を図ることで、品切れや設置工事のひっ迫による売り逃しや機会損失を減らしたり、倉庫から店舗への配送量の調整や、在庫管理、適切な店舗スタッフの配置に活かしたりできる。
IoTやAI(人工知能)などのICTの進展を受け、政府も国がもつビッグデータのビジネスシーンでの積極的な運用を後押ししている。気象データはこれまで、メーカーや小売業、農業分野などでの生産性の向上につながる潜在力はあったものの、ビジネスの現場で十分具体的には使われてこなかった。
そこで、気象サービス事業者、ITベンダー、産業界の団体・大手企業などで構成する「気象ビジネス推進コンソーシアム」では、これまで東京で4回、大阪で2回、札幌、仙台、名古屋、福岡で1回のセミナーを開催し、利用できる気象データとともに、実際の活用事例などを紹介している。
今のところ飲料や食品メーカーでの導入事例が多く、小売り分野の販促では、米ドラッグストアチェーンWalgreens向けにIBMが提供したシステムなどに限られ、事例数は少ない。気象データと販売データは密接な関係があり、AIなど最新テクノロジーを駆使することで精度の高い予測に活かせるようになっている。
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