●市場の主役になりつつあるアクションカメラ その中でも目立つ「全景カメラ」が急成長
すでに珍しいガジェットではなくなったアクションカメラだが、いまだに市場は拡大を続けている。全国の家電量販店やネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2025年8~10月における販売数量の前年同期比は121.3%と2桁成長を遂げている。
一般的なハンディタイプの同期間における販売数量の前年同期比が64.4%であることを踏まえると、ビデオカメラ市場の構造がダイナミックに変化していることが鮮明にうかがえる。
さらに一歩踏み込んで市場を分析すると、アクションカメラに限定した市場でも、ある変化が生じていることが分かる。それが全天球カメラ(360°全景カメラ)の躍進だ。「121.3%」というアクションカメラ全体の販売台数前年比を360°全景カメラに絞ってみると241.9%とより驚異的な伸びを記録しているのだ。
●全景カメラ市場で61.8%のシェアでトップを走るInsta360
改めて、360°全景カメラがどういうものかを説明しておく。全天球カメラや360°カメラなどと呼ばれることもある新機軸のカメラで、上下左右前後の全方位の映像を一度に記録できるのが特徴だ。複数の超広角レンズが搭載されており、合成技術なども駆使しながら、情報量の多い映像を残し、幅広い用途でニーズが広がっている。
2010年代からカテゴリー自体はあったものの、プロユースや一部のサイクリングやスノーボードを本格的に楽しむ人にユーザーは限定されていた。しかし、20年代に入り、動画撮影の需要が増したことやメーカーが新規参入してきたことなどを受け、一気に市場規模が膨らんでいる。
そんなホットな市場で圧倒的な支持を集めているのが、「Insta360」シリーズを展開しているArashi Vision(Insta360)だ。25年8~10月の販売台数シェアは61.8%と過半数を占めており、アクションカメラ市場をけん引してきたDJIやGoProにも大きく差をつけている。
●機種別ランキングではトップテンの中に7製品がランクイン
同期間における機種別の販売台数ランキングでも、Insta360は、ベストテン中7製品を占めるなど、存在感を示している。トップは25年4月に発売された「Insta360 X5 ミッドナイト・ブラック」。次いで同モデルのエッセンシャルキットがランクインした。
「Insta360 X5」シリーズは最新のフラグシップモデルながら、直近で最も売れているモデルだ。旧式のX4やX3、そして秋に発売されたばかりのX4 Airなど、より価格を抑えたモデルもランクインしているが、性能が最も高い最新モデルが売れ筋というのは印象的だ。
●「Insta360一強」はなぜ?イノベーションのスピードで他社を圧倒
では、なぜ全景カメラの市場でInsta360が一強となっているのか。
Insta360は中国・深センで15年に誕生したブランドだ。日本法人が設立されたのは19年で、まだ5年程度しか経っていない。ただ、その短期間で、スタンダードモデルであるXシリーズのアップデートをハイスピードで行い、切り口の異なる新製品も次々と世に送り出してきた。他社の追随を許さないイノベーションのスピードは同社の大きな特徴となっている。
●業界の常識を打ち破る斬新な発想と技術力の高さ
もう少し分解して、技術力と製品力の両軸から同社の人気の理由を分析してみよう。
まず、技術力においては、全景カメラの新しい分野の製品だからこそ避けられない課題を新しい発想をもって解決してきた。例えば、最新モデルにして売れ筋のX5は、業界で初めてデュアル1/1.28インチ大型センサー+AIトライコアのアーキテクチャ(AIチップ3基)を採用することで、3基のAIチップによる強力な処理能力で、低光量環境下でも非常にクリアでノイズの少ない高画質な撮影を実現している。
業界では一般的に「シングルチップの全景カメラのアーキテクチャと処理能力では、複雑なリアルタイムノイズリダクションアルゴリズムを処理できない」という考えがあったが、二つのセンサーチップを追加するという新発想で新たな価値を生み出して見せた。
また、全景カメラは「カバーする画角が広く、シーンが複雑であるため、色彩をリアルで階調豊かに表現することは難しい」という共通認識もあったが、X5はAI カラーマッピングモデルをトレーニングし、カメラがさまざまなシーンに動的に適応できるようにすることで、従来モデルを上回る色彩表現の高さを実現した。
●ニーズを先読みして製品に反映。市場拡大にも大きく貢献
次に製品力においては、ユーザーニーズをとことん研究してきた成果が生きている。これは現状のニーズを正確に把握するだけでなく、潜在的なニーズを掘り起こすことも含まれる。開発マネージャーが製品をブラッシュアップするために、スノーボードの公認インストラクター資格を取得したというエピソードからも、その没入度が相当なものだということが分かる。
ユーザーから評判の高い編集機能も、まさにそうした研究の賜物だ。アクションカメラは総じて撮影から編集までのプロセスが複雑で、新規参入ハードルが高かった。だが、Insta360はAI アルゴリズムとソフトウェアの改良を重ねることで、専門知識を有していなくても満足度の高い撮影と編集ができることを業界の基準にした。
いまや全景カメラは、動きの激しいアクティビティで活用するだけでなく、一般的な観光旅行でも活用されるようになってきている。これらのニーズの変化による市場規模の成長は、先読みして誰でも使いやすい環境を整えたInsta360の功績も大きいだろう。
マーケティングの観点でも緻密な戦略が練られている。日本市場だけに絞っても、ユーザーの裾野を広げるための活動は多岐にわたる。製品のユーザーインターフェースやコンテンツで正確な日本語翻訳を行っていることはもちろん、国内で支持を集めるクリエーターとのコラボやアンバサダーの採用は、多くの人が製品を手に取るきっかけになっている。
全景カメラは歴史が浅いカテゴリーということもあり、まだまだ進化の伸びしろは大きい。来年もハードウェアとソフトウェアの両面でさらなるアップデートが行われていくはずだ。Insta360は来年も続々と新製品を展開していく予定とのこと。ユーザーの要望に応える、あるいは想像もしていなかった価値を生み出すプロダクトの登場に期待したいところだ。(フリーライター・小倉 笑助)
【注目の記事】
話題のコンデジ 家電量販店にオススメ製品を聞いてみた ビックカメラ新宿東口店
話題のコンデジ 量販店にオススメ製品を聞いてみた ケーズデンキ 東京ベイサイド新浦安
人気集めるコンデジ 量販店にオススメ製品を聞いてみた エディオン横浜西口本店
【2025年最新】旅行をもっと楽しく!旅先で後悔しない「デジタルアイテム」
アクションカメラを守る! ハクバの「DJI」「Insta360」専用「耐衝撃×撥水」液晶保護フィルム











![[USBで録画や再生可能]Tinguポータブルテレビ テレビ小型 14.1インチ 高齢者向け 病院使用可能 大画面 大音量 簡単操作 車中泊 車載用バッグ付き 良い画質 HDMI端子搭載 録画機能 YouTube視聴可能 モバイルバッテリーに対応 AC電源・車載電源に対応 スタンド/吊り下げ/車載の3種類設置 リモコン付き 遠距離操作可能 タイムシフト機能付き 底部ボタン 軽量 (14.1インチ)](https://m.media-amazon.com/images/I/51-Yonm5vZL._SL500_.jpg)