●EOS後の需要は「前倒し」から「余韻」へ
――Windows 10 EOS前後の需要の波を総括してください。
松原コンサルタント(以下、敬称略) 需要は想定より早く動きました。デスクトップPCが4月ごろから、ノートPCが8月ごろから伸び、秋のEOS直前にピーク。その後も店頭では12月ごろまで、ゆるやかな需要増が続きました。法人の切り替えが先行し、約1カ月遅れで個人が続くという順番もはっきり出ました。一方のオンラインは早めに例年レベルへ戻っています。
横塚本部長(以下、敬称略) 市況としてはブラックフライデーや年末の値上げ前の需要が重なったこともあり、ECで値上げ反映が早く、家電量販店で在庫回転の都合などで反映が遅れる、そんなタイムラグが確認できたといえます。
――今年に入ってからは、いかがですか。
松原 端的に言うと、メモリーやSSDなど、パーツの値上がりが大きい。AIサーバー向け半導体の生産が優先され、PC向けの供給バランスが崩れているため、メーカー努力だけでは吸収しきれないレベルです。
横塚 だからこそ、当社は他社に先駆けて1月中旬~下旬に価格改定を決断しました。春商戦前にスタンスを明確にすることで、学生や決算期の法人がお客様の予算設計を早めに立てられるよう、透明性を重視したのです。
●AI PCは将来への備え? それとも今すぐ使える価値?
――パーツの値上がりという新たな課題が浮上してきた中、どのような策でPCを拡販していきますか。
松原 改めてNPU搭載のAI PC(Copilot+ PC)を前面に押し出していきます。AI PCが非搭載PCと違うのはエッジ(ローカル)でAI処理が完結する点です。セキュリティーとプライバシーを確保しつつ、画像や動画の高度処理やMicrosoft 365の業務支援を滑らかに体験できます。クラウド課金を抑えられる可能性もあります。将来的なAI機能の進化に備える伸びしろという意味でも、NPUは次の5~6年を見据えた必須装備になっていくはずです。
横塚 「リコール(Recall)」や「ライブキャプション」など、AI PCならではの機能を実機で体験していただくと「AI PCって結局、何が変わるの?」という疑問に対して、解を得ることができるかと思います。特に学生には、「調べ物や資料作成の時短=タイパ(タイムパフォーマンス)向上」という価値が直感的に伝わります。
――実機が体験できる取り組みも行っているのですか。
横塚 2月20~23日にJR東京駅でポップアップストアを実施します。昨年のKITTE丸の内での企画に続くもので、AI機能のデモに特化します。家電量販店でもヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダデンキを含めて計9店舗で大規模な専用スペースを活用し、エントランスビジョンでのCM出稿などの認知度向上も並走します。新生活に向けて学割を中心とした応援セールを展開しているほか、インフルエンサーの瀬戸弘司さんを起用した交通広告を4月末まで実施します。
松原 体験価値の“ハブ”としては、アンバサダーを募って体験会を開いたり、CopilotとPCの組み合わせで、いまのPCで何が変わるかを具体的に提示していきます。買い替えサイクルは平均7.7年です。古いPCの遅さに慣れてしまっている層に、最新モデルの起動や処理の速さを肌で感じてもらうことが重要と判断しています。
――ただ、AI PCは価格が高いというイメージもあります。高止まりする価格に対して性能を落として安く見せる選択肢は?
松原 取りません。最新のCPUやNPUを積極的に採用し、価格に見合う価値を提供するのが当社の方針です。デスクトップPCで省スペースのタワー型スモールフォームファクター、ノートPCでNPU搭載のAI PCが想定以上の手応えでした。SOHOやシニア層まで「次の数年を見据えた購入」にシフトしています。
横塚 市場が混沌としがちな今だからこそ、「最新体験を手頃に」ではなく「最新体験を確実に」届ける。そこにブランドとしての一貫性を置いています。
――これからPCを買い替える人へのアドバイスは?
松原 価格は今後もしばらく上昇基調という見立てで、買うならメモリーとSSDは余裕を持ってですね。後からの増設が難しいケースも多いので、長く使う前提で「積めるだけ積む」が結果的にコスパを高めます。
横塚 学生はAI PCの基準を満たすモデルを第一候補にしたほうがいいと推奨します。業務ではMicrosoft 365との連携で、メールの要約や資料のたたき台づくりが日常化します。ハイブリッドAIの時代に、ローカルでAI処理できる価値はますます高まるといえます。
――今後の市場の見通しは?
松原 今年は正直、厳しい。ただ厳しいからこそ新技術で勝負の年です。AI PCは単なるスペック競争ではなく、生産性という実益で評価される段階に入ります。
横塚 当社は「百聞は一見にしかず」を合言葉に、リアル体験の場づくりを一段と強化します。EOS後の「コスト高騰とAIシフトの転換期」を、お客様と一緒に乗り越えていきたいと考えています。
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