玩具やアニメなど、エンターテインメント事業を手掛けるバンダイが、スポーツテック市場に参入した。五輪を控える日本の事情を踏まえ、子どもたちの運動機会は増えると判断。
スマートフォンアプリと連携して運動量を記録するシューズの開発に踏み切った。腕時計型が活動量計の主流となっている中、なぜ、バンダイは靴で参入するのだろうか。

 バンダイが12月1日に発売する新製品は、小学生向けスポーツシューズ「UNLIMITIV(アンリミティブ)」。靴のソール部分に搭載したセンサーで収集したデータをBluetoothでスマホに送信し、アプリで運動量を確認できる製品だ。
 「楽しんだヤツが、いちばん速い。」がコンセプト。やる気を促進するために、ランキング形式で全国の他ユーザーと記録を競い合ったり、運動した結果をアプリ内のゲームでポイントとして使うことができるようにした。ゲームでは、ポイントに応じて自分のキャラクターを強化できたり、ライバルキャラクターと対戦してステージを進めたりと、楽しみながらトレーニングできる。
 11月1日の新製品発表会の中で、川口勝代表取締役社長は「ウェアラブル端末は世の中に数多くあるが、そのほとんどが大人向け。多くが腕時計型を採用しており、わざわざ身に付けるのは煩わしく感じられる場合がある。一方、われわれの製品は靴なので、普段通りに履くだけでいい」と、同社の製品の強みをアピール。靴でスポーツテック市場に参入する理由を説明した。
 開発を担当したアパレル事業部新規事業チームの中澤洋介マネージャーは、「外に出てもゲームで遊んでいる子どもを見て、ゲームを楽しみながら、やる気を維持したままトレーニングできると考えた」と、開発の背景を語る。

 スポーツテック市場参入の追い風になる要素も多い。2019年に日本で開催されるアジア初のラグビーワールドカップや、20年の東京五輪に向けてスポーツ熱が高まり、スポーツ関連市場は継続的に拡大すると見込まれている。スポーツ庁も、12年に5.5兆円とされていたスポーツ産業の市場規模を20年までに10.9兆円、25年までに15.2兆円に拡大すると発表している。
 また、スポーツシューズ市場も伸びている。矢野経済研究所「スポーツシューズビジネス2018」によると、17年の国内出荷額は4048億円で、15年からの3年間で約111%と年々拡大傾向にある。バンダイは、UNLIMITIVを通して子どもたちの運動能力向上をサポートできるよう、今後もさまざまな取り組みを展開していくという。
 今のところ、UNLIMITIVの販売チャネルは靴販売店としているが、靴だけでなく、ウェアラブルデバイスとして扱われるような状況になれば、「靴販売店だけでなく、家電量販店など、販売する場所は広がる可能性がある」とした上で、「チャンスがあれば、ターゲットは子どもから大人まで広がるだろう。業界の壁を打ち破る製品に育つことを願いながら、バンダイ全体で取り組んでいきたい」と、川口社長は意欲を示した。(BCN・南雲 亮平)
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