大麻草由来の成分を使用した医薬品の解禁と、大麻使用罪の新設を柱とする改正大麻取締法などが12月6日成立。大麻取締法は、大麻草を原料とする医薬品の投与や服用を禁じていたが、てんかんなどの治療に効果が見込まれる成分が大麻草にはあり、医療用大麻の解禁を求める声が高まっていた。



 改正法では、医薬品に関する規定を削除し、大麻を麻薬取締法の「麻薬」に位置づけた。これによって大麻草由来の医薬品も有効性と安全性が確認され、薬事承認されれば国内でも使用が可能となったのだ。



 一方、アメリカでは2019年に州によっては嗜好用としても大麻が解禁。バドワイザーの売り上げを抜くなど衝撃的なニュースもあった。グリーンラッシュといわれる世界的な大麻解禁の流れは止まらないのか?



 現在カナダで経営コンサルタントとして活躍している工藤悠平氏は、日本でも医療用大麻のこれまで解禁を願っていたひとり。著書『マリフアナ青春治療』のなかでも、頸椎ヘルニアの発症と激痛から寛解に向かう過程での医療用大麻との出会いについて語っている。





■頸椎ヘルニアの激痛に耐えられない



 詳細は拙著の中で述べたのだが、2017年頃、公認会計士論文式試験を直前に控えたある日、恐ろしいまでの激痛が肩から右腕にかけて私を襲った。それは頚椎ヘルニアを発症したことによる激痛だった。



 そしてその検査過程でヘルニアの他にも糖尿病なども発見されてしまった。特にヘルニアの激痛は日本国内の医療機関や整体などではどうにもならず、しまいには生活にまで影響が出るほどに症状が深刻化してしまった。



 医者に頼ってたら死んでしまう!と心から感じた。なぜなら、痛み止めとして処方される大量の薬は、いまやアメリカでは人を廃人にしてしまうとまでいわれるオピオイド系の悪名高き薬ばかりだったのだ。

私は自分自身の症状緩和への手段を必死に探し、何とかそれを見つけることができた。



 それが大麻だ。



 大麻について軽く調べただけでも、ガンやエイズにまで効果が認められるという記事さえ出回っている。さらには大麻の害に関してもタバコやアルコールと比較できる程度でしかないという研究結果も散見される。



 これだけきくと、これはただの万能薬なのではないのか!?と思ってしまうのは私だけだろうか?



 しかしながら医療大麻という言葉自体は聞いたことがあってもその詳細や、国内での利用の可否を知る人はなかなか見つからなかった。病院や弁護士に相談したりもしたが、やはり日本国内では使えないとのことだった。現地にて合法であれば海外で使用する分には必ずしも違法とはならないようなのだが、私には日本から頻繁に海外の医療機関に通う余裕もあるはずがなかった。



 その他諸々の事情も含めて日本に留まることに限界を感じた私は、カナダへと導かれてしまった。英語も話せない状態からの突然の不慣れな海外生活、世界中の友人から聞く矛盾した情報。他に類を見ない、といっても差し支えないほどのヘンテコな移住生活を私は始めることとなった。



 拙著は当時私が肌を通して感じた大麻についての情報や世界情勢、異文化交流を出来る限り素直に吐き出したつもりだ。



 





■医療大麻と出会って知ったこと、考えたこと



 私が上記当時、諸々の事情で大麻の医療効果を調べたところ、その効能の可能性については『大麻 効果』と検索するだけでそれなりに様々な情報は入手できていた。

そもそも法律は民意により変えることが出来るし、何が『悪』かなんてものは時代によってコロコロ変化して然るべきものだ。



 そして現代において未だ発掘されていなかった産業があるなら、その有用性の議論をした上で、解禁するかどうかは私たちが考えるべきことなのではないのか、と感じたのだ。



 ところが当時、友人も含めて私から大麻の医療効果を説明しようとしても多くが『大麻アレルギー』を示してしまい、大麻について興味を持ってくれる人自体が少数派だった。大麻に対するイメージが悪く、現在のようにCBD製品という大麻と薬物の緩衝材となるような商品も出回っていなかったこともまた一つの理由だと感じている。



 そして、現在CBD製品はまだまだ法的な課題が多いようだが、今後の日本においてもある程度の産業として成長の可能性があることは、ビジネス各誌が報じる通りだと私も思う。さらに大麻関連の情報産業という観点では大麻ユーザーが本を出版することもまた一つのグリーンラッシュの形でもありそうだ、とも感じている。



 また、拙著のような観点からの書籍は当時日本においては見つからなかったため、本の売れ行きなども日本の大麻解禁がいつ頃になりそうなのかという情報の整理として私自身もとても興味があったということもまた、本書を出版したいと思った動機だ。



 そして上記でも軽く触れたが、私が海外に出たことから世界中のたくさんの人達とリアルな情報交換を重ねるうちに、アメリカやカナダ、ヨーロッパでの大麻に対する実態や、世界各国で大麻が禁止された経緯などに不可解な点が次々見つかった。



 加えて私自身が海外で経験したことも日本に住んでいたらそう簡単に経験できるものではなさそうだ、と感じる日々を今なお送っている。これら全てをひっくるめて話したらそれなりに面白いのではないか、と思ったこともまた執筆のきっかけだ。



 何よりも私は面白半分や悪ふざけで大麻を使用することになったわけではない。それなら出来る限り法律を遵守したうえで堂々と主張することは私達の権利として保障されている。

世界の流れをみていると日本も近々解禁するだろうことはかなりうっすらとではあるが流れとして出始めていることもまた出版への後押しとなってくれたように感じている。



 私の経験がこれからの日本の意識の変化のきっかけとなることを切に願っている。





文:工藤悠平



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