小林久乃(以下:小林) 「本を出してから取材でも恋愛、結婚に関する相談事がグッと増えたし、読者の方からSNSにDMをもらうようになりましたけど、婚活女性たちは追い詰められている人が多いように感じます。みんな一様に『結婚ができなくて』と劣等生の感覚なんだと思うんですよね。ではなぜ自分を責めるのかな、と女性たちの話しを推測していくと、男性のことを条件で選んでいるパターンが多いことに気づきました。みんなハイスペ男子を狙いすぎ」
Tomy 「条件面から選ぶのは仕方ないですよ。だって、結婚はビジネスみたいなものですからね。
小林 「彼氏探しですか。お恥ずかしながら、私の場合、酔っ払っている時に出会うことがほとんど。お酒の力を堂々と借ります。ほら、酔っていると気が大きくなっているし、細かいことも気にならないし、選択肢が増えるから」
Tomy 「婚活を考えているなら、そのシチュエーションはダメです(笑)。人間は酔っていると自制心が弱っていますから、予想外の方向に流されてしまう」
小林 「でも居酒屋は大きな出会いの場ですよ?」
Tomy 「居酒屋ってすごくオープンな場所ですよね? 友達同士ならいいですけど、そういうところで出会った女性のことを、どこまで男性は大事にしてくれるんでしょうか。婚活の一環ですけど、どこで出会うのかはすごく大事なんです」
■恋愛=婚活は最終的には生身の人間の勝負だと思っている(小林)小林 「その意見、非常に心に沁みます……。ちなみにTomy先生は、どんなところでパートナーに出会うんですか?」
Tomy 「僕たちゲイは世界が特殊なんですよね。だからアプリで出会うことがほとんど」
小林 「あんまり経験がないんですよね、アプリ恋愛。恋愛=婚活は最終的には生身の人間の勝負だと思っているので、どこかで胡散臭さを感じているのかもしれません。
Tomy 「アプリの良さは最初からお互いの求める条件が分かっていることです」
小林 「そこに尽きますよね」
Tomy 「出会いはめんどくさいものなんですよ。お互い探り合い。『この人は結婚したいのか? それともヤリモクなのか』と考えて、それでも他愛のない話を続けて、気が合うと思ったら『ご飯に行こう』とデートに誘って『いいよ』となる。この『いいよ』が何を示唆しているのかわからないからモヤモヤするんですよ」
小林 「そう、そのあたりのステージをすっ飛ばしたい」
Tomy 「でもアプリなら、お互いに条件がマッチングしているので、その辺が明白ですよね。相性という意味でのマッチングならいつでもできるけれど、目的は(カップルでも)しづらいものです」
小林 「私もアプリそのものを否定はしないです。アプリ婚活が向いている人もいるだろうし、働いているから時短もできるし利点は多いんです。どんな出会い方でもいいんですけど、条件で男性の存在を求めてしまう女性の気持ちはどう消化すればいいんでしょうね?」
Tomy 「男性の譲れない条件を2~3個くらい決めておく」
小林 「初期設定は低めにしておいたほうがいいということですよね。それはわかります」
Tomy 「顔が良くて、スマートな男性だから『すぐに好きになれますか?』と聞かれても無理でしょう。結婚は毎日顔を合わせることだから、手前に並んだ条件だけでは成功しません。ビジネスは失敗します」
小林 「これだけはこだわりたい! という条件をクリアしているかどうかだけチェックすればいいですよね。つき合っているうちにだんだん印象も変わると思うし。あとは女性に自分を振り返って欲しいのです。
Tomy 「確かに己を振り返ることも大事。あとね、男女お互いにそうだと思うんですけど、楽しそうに生活をしている人と『人生を歩みたいな』と思うものなんですよ。実は不幸せなのに、そのことを必死で隠している人なんかには近づきたくないですから」
撮影/岩瀬有奈 ※撮影は2月に行われたものです