小林久乃(以下:小林) 「拙著、『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)を読んでいただいたんですよね。ありがとうございます。30代の時間とお金をぜんぶ婚活に費やしてみたら、その経験値が200ページ近くになりました。でもまだこの世の女性は『結婚しなきゃ』『出産をしなくちゃ』という固定概念に囚われています。『もうそんな時代は終わったよ?』っていう助言と、女性たちの代弁が詰まっています」
Tomy 「一人の女性が経験値を積んで、最終的には『未婚でも既婚でもいいな』と、考えがまとまるまでの経緯がわかりやすく書かれた本ですね。
小林 「お世話になっているベテランの美容家さんから言われた言葉です。それが5分、10分と延びていくと恋愛になるって。これ、自分の気持ちを確認するジャッジメントなんだなって。先生と意見が同じですよね」
Tomy 「それから『ほんの少しの友情と酒があればいい』(P78)。これは独身女性には大事。でもこの言葉を言い聞かせるのではなくて、心の底から思えるようになると、恋愛と結婚は近づきますよね。『年齢とは背番号のことなので気にしない』(P178)も、いい意味でこだわりを捨てましょう、と言っている。
小林 「結婚も出産もそりゃ若いほうがいいんですけど、気にしていても仕方ないですもん。それに俗に言う『もう40代』まで一人で生きる選択をしたのは自分でしょ? って」
Tomy 「あと『オタクであれ』(P182)。男性は誰でもオタクなんですよ。だから興味のない分野でも、話に耳を傾けるのはすごくいい。さらに女性もオタク心理が共感できるなら、一生懸命、自分の好きな分野について話す相手を『可愛い♡』と思えますもんね」
小林 「生きていると辛いことなんて必ず出てくるんですよ。そこで仕事以外に打ち込めるものがあると、絶対に気持ちを助けてくれる。そういう安定剤の意味でも何かに夢中になることは勧めます」
■「常識に囚われた女性にこの本が伴走します! と思って書きました」(小林)小林 「先生の『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)は、処方箋です。傍らに寄り添ってくれる言葉がたくさんあって、辛いときに読み返したい」
Tomy 「普段、クリニックで患者さんの話を聞くときと同じ感覚です。なんとかしてあげたい。僕も、以前のパートナーの死亡や、属性、仕事と大変な時期があって。
小林 「実際、患者さんにも言葉を伝えたんですか?」
Tomy 「伝えて、その反応を見ていました。薬を処方するだけではなあ、と思っていましたから。だから臨床で使っている言葉だと思って欲しい」
小林「 だから伝わってくるものが、一般的な啓発本とは違うんですよね。もう先生、精神科医の域ではなくて、SNS界の聖者だと呼ばせてください。(笑)私も気になった言葉を伝えたいなと思ったんですけど、気づけば本が付箋だらけになっていたくらいです。逆に、先生のお勧めを聞かせてください」
Tomy 「これは帯にも入れている『ストレスを減らすたった一つの方法。それは「手放す」こと』(P14)ですね」
小林 「やっぱり。これ私も自分のTwitterでリツイートしました。そして先生の存在を知ることになったきっかけなんです。めちゃくちゃ強い言葉だなって思いました。ストレスは誰もが抱えるもので、それが原動力になることもわかっているんですけど、やっぱり避けたい。
Tomy 「次点が『他人をガッカリさせいいいのよ』(P15)なんです。誰もがやりたいと思うことはあります。でもその意見を挙げれば誰かが落ち込む、それを当たり前だと思ったほうが楽ですよね」
小林 「処方箋、聖者と先生の書いた本を例えてきましたけど、ここでもう一つ。達観した先輩からアドバイスを受けている感じでもあります」
Tomy 「なんでもいいんですけどね。(笑)決めるのは読者であり、それから患者さん。少しでも病気を治したいと思って僕のところに来てくれているんだから、なんとかしたい。もちろんプロとして期待はしないけれど、上から目線でもなく、同じ土俵に上がっているわけでもありません。隣人愛のような感覚で読んでもらえたらと思います」
撮影/岩瀬有奈 ※撮影は2月に行われたものです