元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”(『女子鉄ひとりたび』著・木村裕子より)。季節はまさに夏本番! 乗りテツなら必需品の「青春18きっぷ」を使ったお得で大胆な旅の楽しみ方を、達人である彼女がおしえてくれます。
■こんなオシャレなリゾート列車にも乗れるのが嬉しい♡
東京・名古屋・大阪の三大都市からも、日帰り圏内の長野エリア。
北部の山岳地帯を走るJR大糸線と篠ノ井線は、いつ行っても絶景を見せてくれる癒し路線だ。
この両線の長野~南小谷(みなみおたり)間を走る観光列車「リゾートビューふるさと」は、美しい風景を堪能するのにうってつけ。前面・側面の窓は眺望を楽しめるよう大型のものが採用されていて、車窓には北アルプスの山並みが流れていく。標高が高い場所を走り、避暑地としても最適な路線だ。
真夏のある日、年々暑さを増す東京からとにかく逃げたくなり、「青春18きっぷ」でひたすら中央線を西進して長野を目指した。「リゾートビューふるさと」は快速列車なので、指定席券520円を追加購入するだけで「青春18きっぷ」でも乗車ができるバリューな列車なのである。
長野駅のホームでは、モンベル製の登山着を着た女性アテンダントさんが乗客を迎えていた。夏はこの恰好が制服になるそうだ。
出発すると、手作りのブローチ、箸置き、手書きのメッセージカードなどを配りながら巡回する。近年、このような女性的感性を投影したサービスが、各社で広がっている。
車内では安曇野(あずみの)地域の方言による民話の語り、尺八・太鼓の演奏など、地域に根ざしたイベントも実施され、お祭りのような時間が流れていく。
客席には車内販売も回ってくる。少し前までは新幹線や特急などの大部分で実施されていた車内販売も、今ではレアな存在となった。座席にいながら買い物ができるのも、今や付加価値の高いサービスとなっている。元・車内販売員の私は、その所作が気になってつい見入ってしまう。それはお局(つぼね)のような視線ではなく、当時の自分との違いを見つけると新鮮な気持ちになれるからだ。
とくに観光列車の車内販売は、スタイルに自由度があって面白い。例えば、手書きメニューやPOP、お客さんの呼び込みにアドリブも盛り込まれていて個性的。この列車にワゴンは見当たらず、ピクニックに持っていくような木のカゴに商品を並べて回っていた。
最近は決められたマニュアル通りにやるのではなく、お客さんを楽しませるためなら、多少のルール逸脱は許容されるようだ。
元気にきびきび販売している後輩たちの姿を見ると、なんとも頼もしく感じるし、楽しんでやっている気持ちが伝わってくる。そんな販売ができることがちょっぴり羨ましい。
この列車のメニューで強く推したいのが、信玄餅(しんげんもち)アイス。濃厚なバニラに黒蜜と餅が入る絶品アイスだ。最近はバニラや抹茶だけでなく、りんご味、コーヒー味、沿線の有名店とコラボした商品も増えて、そのレパートリーが楽しい。
■こんなオシャレなリゾート列車にも乗れるのが嬉しい♡
松本駅で方向転換すると、列車は大糸(おおいと)線に入る。ここからは、北アルプスの大パノラマを見ながらの旅となる。その山々を眺めていると、車内の冷房の風まで新鮮で美味しく感じるから不思議だ。
穂高(ほたか)駅では約30分の停車。私の「リゾートビューふるさと」の旅は、今回はここまで。高原リゾートの穂高をじっくり堪能しにいく。
駅の改札では、近くの穂高神社に仕える本物の巫女(みこ)さんが乗客を待っていた。
神社に向かう途中、銀色のオブジェがたくさん並び、不思議なオーラを放つお店があった。巫女さんに聞くと、
「前から気になっているものの、よくわからない」との回答。
地元の人でも近寄りがたいということは、もう間違いない。私の大好きなB級飲食店なのだろう。
穂高観光が一通り終わったら、行ってみるとしよう。
神社参拝後、駅に戻ると、ちょうど穂高地区の観光名所を巡る周遊バスが出発するところだった。すぐさま乗り込み、まずは地域有数の観光地「大王(だいおう)わさび農場」へ向かう。
このバスはフリー乗降制度を採用していて、停留所ではない場所でも「ここで降りたい」と言えば降ろしてくれる。乗るときも歩道で手を挙げると止まってくれて、ヒッチハイクみたいだ。ローカル地方ではこの制度を採用している場所も多いが、普段、都会で暮らしていると何とも新鮮に映る。
大王わさび農場は、施設全体がとにかくわさび尽くし。わさびに関するあらゆる食材やお土産物が、あっちにもこっちにもあって、その数の多さに圧倒される。わさび味のビールまであり、普段はそんなに飲まない私も、思わず注文。ツンとしたわさびの香りがするのに辛味はなく爽やかで、おつまみと一体化したようなビールだ。
園内でわさび蕎麦を食してみたかったのに、この日のレストランは観光客で超満員。諦めて再びバスに乗り込み、運転手さんに聞いてみると、この先にある複合施設の「安曇野(あずみの)の里」でもわさび蕎麦を扱っていて、地元のお母さんらが提供しているとのこと。さらにその近くの公園では、北アルプスの伏流水の湧水公園があるとも教えてくれた。
普段は止まらない場所で下車して公園へ行くと、地元の子供たちがパンツ一枚で楽しそうに水浴びしている。
私も同じように服を脱いで、思いっきりジャブジャブしたいところだけど、靴下だけ脱いで足を浸した。やわらかい水はキンキンに冷たく、たくさん歩いて気だるい体を癒していく。東京ではお金を出して買うような清冽な水で遊べるとは、なんとも贅沢だ。
リフレッシュしたのち、ランチのわさび蕎麦をいただく。
(16番線へ続く)次回は謎の不思議オーラ発生源を解明!
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