日本の地名は世界でも稀に見るほどバリエーションが豊富。
 地名の由来を探ると、多様な地形、自然を愛でる表現性、ふるさとを思う民俗性など、この国の原点が見えてくる。


 読者のみなさんの故郷はどちらですか? 地名は・・・?
 日本人ならなぜか初対面でも話が弾む出身地・県民性・そして地名雑学‼️
 ようこそ! 地名の奥深い世界へ‼️



■歴史的に重要な地名も

《茨城県の由来》国巣を滅ぼした「茨」が地名に

『常陸国風土記』によると、昔、茨城の山中には、穴を住居とする国巣(くず)と呼ばれる人々が暮らしていた。国巣は時に応じて周辺の村々を襲い、物を盗むことをくり返していたことから、黒坂命(くろさかのみこと)という武人が彼らを穴に追い込み、「 茨蕀(うばら)」をつめて滅ぼした。
 あるいは、これを滅ぼすために「茨の城」を造ったことから、この地を「茨城(うばらき)の郡(こおり)」と呼ぶようになったという説話が由来とされる。
 明治に入り、茨城、新治、印旛に分かれたが、茨城と新治が統合し、「茨城県」となる。



《地名の由来》



◉潮来(いたこ):水戸黄門が改称

 古来「伊多久」「板久」と書かれ「いたく」と呼ばれた。
 常陸の方言で潮を「いた」と読むことから、元禄11(1698)年、「水戸黄門」で知られる徳川光圀が「潮来」に改称したという。
 また、平安時代にはすでに「潮来」の地名があったという説も。



◉鹿嶋(島):(かしま)

 鹿島神宮の名にちなむ常陸国一宮である鹿島神宮にちなむ。自治体としての鹿嶋市は平成7年(1995)に誕生したが、佐賀県鹿島市と区別するため「嶋」の字が用いられた。なお、鹿島神宮の「カシマ」については、神の住処説など諸説ある。



◉常陸(ひたち):「ひたみち」説が有力

 孝徳天皇の時代、この地は人々が往来する道が湖や海の渡し場によって隔てられておらず、郡や郷の境界が山から河へ、峰から谷へ次々に続いていることから「直通(ひたみち)」と呼ばれ、これが変化したという説が有力だ。



◉水戸(みと):海や湖水への入り口

 古くはこの地点まで湊が入り込んでいたことから、海や湖水の入り口につけられる「水の戸」という名称が地名の由来。


 また、「江戸」と同じ地形にあったことから、かつて「水戸」を「江戸」と呼んだともいわれる。



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(2020年一個人5月号から

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